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数日後、俺たちはギルドで依頼を探してみることにした。


「うーん……なかなかいい依頼がないな……」


困っていると、受付嬢の女性が話しかけてきた。


「何かお探しですか?」


「何かやりがいのある依頼はありますか?」


俺の質問に彼女は少し考える素振りを見せた後、一枚の依頼書を差し出してきた。


「これはどうですか?」


その依頼書は『ベヒーモスの討伐』というものだった。場所はここから少し離れた場所にある山らしい。


「これなら丁度良さそうですね」


俺が答えると、受付嬢はニッコリと笑った。


「頑張ってくださいね!」


こうして俺たちは新たな依頼を受けることになったのだった……。

ベヒーモスがいる山に到着した俺たちは早速討伐を始めた。しかしなかなか見つからないでいた。するとシロが何かに気づいたような素振りを見せた。


(どうしたんだろう?)


不思議に思っていると、突然咆哮が聞こえたかと思うと目の前に巨大な生物が現れた。その姿はまさに神話に登場する怪物そのものといった感じだった。


「こいつは……!」


驚きながらも剣を構えると、シロが先に攻撃を仕掛けた。だがベヒーモスはビクともしない様子でシロを吹っ飛ばしてしまった。


「シロ!!」


急いで駆け寄ると、シロはフラフラになりながらも立ち上がった。かなりダメージを受けているようだが、まだ戦えるらしい。俺はベヒーモスに向かって走り出した。だが次の瞬間、目の前から奴の姿が消えたかと思うと俺の体は宙に浮いていた……。どうやら蹴り飛ばされたらしい……


(まずいな……このままでは……!)


慌てて体勢を立て直そうとするが間に合わない……! そう思った瞬間、俺を守るようにシロが現れた。そしてそのまま爪を振るうとベヒーモスを攻撃した。それによりバランスを崩したベヒーモスだったが、すぐに体勢を立て直すとシロに向かって突進してきた。


「シロ!」


俺を守ろうとしてダメージを受けるが、それでも必死に耐えている。それを見た俺は立ち上がると、今度は自分が攻撃を仕掛けることにした。剣を握りしめると勢いよく駆け出す。そしてすれ違いざまに斬りつけた後、一気に畳み掛ける!


「これで……どうだっ!!」


しかしベヒーモスは怯むことなく反撃をしてきた。咄嗟に避けようとするが間に合わず攻撃を受けてしまった。


「ぐぁっ……」


吹き飛ばされた俺は地面に叩きつけられた後、痛みに悶絶する。


(ここまでか……!)


『ご主人様、諦めないでください!』


不意に頭の中に声が響いた。


(誰だ?)


『僕はシロです! 今は一時的に意識だけの存在になっています』


(シロが喋ってるのか?)


『はい、そうです。それより早く立ち上がってください!』


(だがダメージが大きいんだ……)


そう言いかけたところで、シロが再び語りかけてきた。


『この状況を打破するには僕とご主人様が融合することが必要です』


「融合?」


『はい、僕とご主人様の肉体を融合させることにより、身体能力や魔力が大幅に強化されます』


「本当にそんなことが可能なのか?」


『もちろんです! さあ早く!』


半信半疑ではあったが他に方法がなさそうだったので、俺は覚悟を決めることにした。シロは頷くと目を閉じる。すると眩い光が放たれ始めたかと思うと、体が徐々に変化していった。やがて光が収まるとそこにいたのは一匹の獣人だった──。


(これが……俺とシロの融合した姿なのか……?)


自分の体を確認すると、全身を覆うように白い毛が生えており、手足には鋭い爪が生えていた。そして目の前には巨大な怪物がいる……。だが不思議と恐怖はなかった。むしろ力が漲ってくるのを感じた俺は雄叫びを上げた。


「ウオォォォォーーーン!!」


次の瞬間、俺の体は凄まじい速さで動き出し、一気に間合いを詰めるとベヒーモスの腹に拳を叩きつけた!


「グギャオォォッ!!」


口から大量の血を吐き出しながら吹っ飛ぶベヒーモス──その姿はもはや虫の息だった。その様子を見た俺はトドメを刺すべく走り出した。


「これで終わりだぁぁ!」


叫びながら跳び上がると、ベヒーモスの顔面に向かって思い切り拳を振り抜いた! グシャッという音と共に頭が潰れたベヒーモスはそのまま倒れ伏した。


「ふぅ……」


俺は息をつくと、その場に座り込んだ。すると頭の中にシロの声が聞こえてきた。


『ご主人様、大丈夫ですか?』


「ああ、問題ないよ」


そう答えるとシロは嬉しそうに笑った。


『良かったです!』


「それにしても凄いなこの力……正直驚いたよ」


『それなら良かったです!』


シロは嬉しそうに答えた後、不意に真剣な表情を浮かべた。


『これで融合は解けましたし、街に戻りましょうか』


「そうだな」


頷くと俺たちは帰路につくことにしたのだった……。
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