10 / 30
10
しおりを挟む
数日後、俺たちはギルドで依頼を探してみることにした。
「うーん……なかなかいい依頼がないな……」
困っていると、受付嬢の女性が話しかけてきた。
「何かお探しですか?」
「何かやりがいのある依頼はありますか?」
俺の質問に彼女は少し考える素振りを見せた後、一枚の依頼書を差し出してきた。
「これはどうですか?」
その依頼書は『ベヒーモスの討伐』というものだった。場所はここから少し離れた場所にある山らしい。
「これなら丁度良さそうですね」
俺が答えると、受付嬢はニッコリと笑った。
「頑張ってくださいね!」
こうして俺たちは新たな依頼を受けることになったのだった……。
ベヒーモスがいる山に到着した俺たちは早速討伐を始めた。しかしなかなか見つからないでいた。するとシロが何かに気づいたような素振りを見せた。
(どうしたんだろう?)
不思議に思っていると、突然咆哮が聞こえたかと思うと目の前に巨大な生物が現れた。その姿はまさに神話に登場する怪物そのものといった感じだった。
「こいつは……!」
驚きながらも剣を構えると、シロが先に攻撃を仕掛けた。だがベヒーモスはビクともしない様子でシロを吹っ飛ばしてしまった。
「シロ!!」
急いで駆け寄ると、シロはフラフラになりながらも立ち上がった。かなりダメージを受けているようだが、まだ戦えるらしい。俺はベヒーモスに向かって走り出した。だが次の瞬間、目の前から奴の姿が消えたかと思うと俺の体は宙に浮いていた……。どうやら蹴り飛ばされたらしい……
(まずいな……このままでは……!)
慌てて体勢を立て直そうとするが間に合わない……! そう思った瞬間、俺を守るようにシロが現れた。そしてそのまま爪を振るうとベヒーモスを攻撃した。それによりバランスを崩したベヒーモスだったが、すぐに体勢を立て直すとシロに向かって突進してきた。
「シロ!」
俺を守ろうとしてダメージを受けるが、それでも必死に耐えている。それを見た俺は立ち上がると、今度は自分が攻撃を仕掛けることにした。剣を握りしめると勢いよく駆け出す。そしてすれ違いざまに斬りつけた後、一気に畳み掛ける!
「これで……どうだっ!!」
しかしベヒーモスは怯むことなく反撃をしてきた。咄嗟に避けようとするが間に合わず攻撃を受けてしまった。
「ぐぁっ……」
吹き飛ばされた俺は地面に叩きつけられた後、痛みに悶絶する。
(ここまでか……!)
『ご主人様、諦めないでください!』
不意に頭の中に声が響いた。
(誰だ?)
『僕はシロです! 今は一時的に意識だけの存在になっています』
(シロが喋ってるのか?)
『はい、そうです。それより早く立ち上がってください!』
(だがダメージが大きいんだ……)
そう言いかけたところで、シロが再び語りかけてきた。
『この状況を打破するには僕とご主人様が融合することが必要です』
「融合?」
『はい、僕とご主人様の肉体を融合させることにより、身体能力や魔力が大幅に強化されます』
「本当にそんなことが可能なのか?」
『もちろんです! さあ早く!』
半信半疑ではあったが他に方法がなさそうだったので、俺は覚悟を決めることにした。シロは頷くと目を閉じる。すると眩い光が放たれ始めたかと思うと、体が徐々に変化していった。やがて光が収まるとそこにいたのは一匹の獣人だった──。
(これが……俺とシロの融合した姿なのか……?)
自分の体を確認すると、全身を覆うように白い毛が生えており、手足には鋭い爪が生えていた。そして目の前には巨大な怪物がいる……。だが不思議と恐怖はなかった。むしろ力が漲ってくるのを感じた俺は雄叫びを上げた。
「ウオォォォォーーーン!!」
次の瞬間、俺の体は凄まじい速さで動き出し、一気に間合いを詰めるとベヒーモスの腹に拳を叩きつけた!
「グギャオォォッ!!」
口から大量の血を吐き出しながら吹っ飛ぶベヒーモス──その姿はもはや虫の息だった。その様子を見た俺はトドメを刺すべく走り出した。
「これで終わりだぁぁ!」
叫びながら跳び上がると、ベヒーモスの顔面に向かって思い切り拳を振り抜いた! グシャッという音と共に頭が潰れたベヒーモスはそのまま倒れ伏した。
「ふぅ……」
俺は息をつくと、その場に座り込んだ。すると頭の中にシロの声が聞こえてきた。
『ご主人様、大丈夫ですか?』
「ああ、問題ないよ」
そう答えるとシロは嬉しそうに笑った。
『良かったです!』
「それにしても凄いなこの力……正直驚いたよ」
『それなら良かったです!』
シロは嬉しそうに答えた後、不意に真剣な表情を浮かべた。
『これで融合は解けましたし、街に戻りましょうか』
「そうだな」
頷くと俺たちは帰路につくことにしたのだった……。
「うーん……なかなかいい依頼がないな……」
困っていると、受付嬢の女性が話しかけてきた。
「何かお探しですか?」
「何かやりがいのある依頼はありますか?」
俺の質問に彼女は少し考える素振りを見せた後、一枚の依頼書を差し出してきた。
「これはどうですか?」
その依頼書は『ベヒーモスの討伐』というものだった。場所はここから少し離れた場所にある山らしい。
「これなら丁度良さそうですね」
俺が答えると、受付嬢はニッコリと笑った。
「頑張ってくださいね!」
こうして俺たちは新たな依頼を受けることになったのだった……。
ベヒーモスがいる山に到着した俺たちは早速討伐を始めた。しかしなかなか見つからないでいた。するとシロが何かに気づいたような素振りを見せた。
(どうしたんだろう?)
不思議に思っていると、突然咆哮が聞こえたかと思うと目の前に巨大な生物が現れた。その姿はまさに神話に登場する怪物そのものといった感じだった。
「こいつは……!」
驚きながらも剣を構えると、シロが先に攻撃を仕掛けた。だがベヒーモスはビクともしない様子でシロを吹っ飛ばしてしまった。
「シロ!!」
急いで駆け寄ると、シロはフラフラになりながらも立ち上がった。かなりダメージを受けているようだが、まだ戦えるらしい。俺はベヒーモスに向かって走り出した。だが次の瞬間、目の前から奴の姿が消えたかと思うと俺の体は宙に浮いていた……。どうやら蹴り飛ばされたらしい……
(まずいな……このままでは……!)
慌てて体勢を立て直そうとするが間に合わない……! そう思った瞬間、俺を守るようにシロが現れた。そしてそのまま爪を振るうとベヒーモスを攻撃した。それによりバランスを崩したベヒーモスだったが、すぐに体勢を立て直すとシロに向かって突進してきた。
「シロ!」
俺を守ろうとしてダメージを受けるが、それでも必死に耐えている。それを見た俺は立ち上がると、今度は自分が攻撃を仕掛けることにした。剣を握りしめると勢いよく駆け出す。そしてすれ違いざまに斬りつけた後、一気に畳み掛ける!
「これで……どうだっ!!」
しかしベヒーモスは怯むことなく反撃をしてきた。咄嗟に避けようとするが間に合わず攻撃を受けてしまった。
「ぐぁっ……」
吹き飛ばされた俺は地面に叩きつけられた後、痛みに悶絶する。
(ここまでか……!)
『ご主人様、諦めないでください!』
不意に頭の中に声が響いた。
(誰だ?)
『僕はシロです! 今は一時的に意識だけの存在になっています』
(シロが喋ってるのか?)
『はい、そうです。それより早く立ち上がってください!』
(だがダメージが大きいんだ……)
そう言いかけたところで、シロが再び語りかけてきた。
『この状況を打破するには僕とご主人様が融合することが必要です』
「融合?」
『はい、僕とご主人様の肉体を融合させることにより、身体能力や魔力が大幅に強化されます』
「本当にそんなことが可能なのか?」
『もちろんです! さあ早く!』
半信半疑ではあったが他に方法がなさそうだったので、俺は覚悟を決めることにした。シロは頷くと目を閉じる。すると眩い光が放たれ始めたかと思うと、体が徐々に変化していった。やがて光が収まるとそこにいたのは一匹の獣人だった──。
(これが……俺とシロの融合した姿なのか……?)
自分の体を確認すると、全身を覆うように白い毛が生えており、手足には鋭い爪が生えていた。そして目の前には巨大な怪物がいる……。だが不思議と恐怖はなかった。むしろ力が漲ってくるのを感じた俺は雄叫びを上げた。
「ウオォォォォーーーン!!」
次の瞬間、俺の体は凄まじい速さで動き出し、一気に間合いを詰めるとベヒーモスの腹に拳を叩きつけた!
「グギャオォォッ!!」
口から大量の血を吐き出しながら吹っ飛ぶベヒーモス──その姿はもはや虫の息だった。その様子を見た俺はトドメを刺すべく走り出した。
「これで終わりだぁぁ!」
叫びながら跳び上がると、ベヒーモスの顔面に向かって思い切り拳を振り抜いた! グシャッという音と共に頭が潰れたベヒーモスはそのまま倒れ伏した。
「ふぅ……」
俺は息をつくと、その場に座り込んだ。すると頭の中にシロの声が聞こえてきた。
『ご主人様、大丈夫ですか?』
「ああ、問題ないよ」
そう答えるとシロは嬉しそうに笑った。
『良かったです!』
「それにしても凄いなこの力……正直驚いたよ」
『それなら良かったです!』
シロは嬉しそうに答えた後、不意に真剣な表情を浮かべた。
『これで融合は解けましたし、街に戻りましょうか』
「そうだな」
頷くと俺たちは帰路につくことにしたのだった……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
915
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる