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3巻
3-3
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ルミナーレ様の補足によると、ゴール家は武門の家系で、マリリア様も幼い頃から修練を積み、姫の護衛が務められるよう訓練を重ねてきた方だそうだ。いまは日常的にドレスを着るようになったが、昔は性別を隠して剣術大会に出て優勝してしまうような方だったという。
(ちょっと会うのが楽しみになってきたかも……)
「あの方ならば姫と共に他国へ嫁がれることも、むしろ喜んでおられると思いますよ。国を離れるより、姫と離れる方がずっとつらいのではないでしょうか」
(それだけ親しい間柄なのか。これも使えそうかな)
「ルミナーレ様はご結婚のとき、どのようなお品物を交換されたのですか?」
そう聞くと、おふたりは顔を見合わせて笑った。
「お父様は、お母様にはなにを贈っても似合うから決められないと言って、ティアラにイヤリングにネックレスにと、ありとあらゆる最高の装飾品を用意されたの。すべてを身に着けるために儀式の時間が長くなって大変だったそうよ。でも、それはそれは美しくて、そのときの絵姿は巷でも飛ぶように売れたと聞いているわ」
うっとりとその様子を語るアリーシア様と、泰然と微笑まれるルミナーレ様。
確かに完璧に着飾られたルミナーレ様ならば、さもありなんと思わせるエピソードだ。そして、やっぱりドール家の資産はハンパない。
それにしても絵姿が売り物になるほど、貴族の華麗な式典への庶民の関心が高いとは知らなかった。これも覚えておこう。
ルミナーレ様からは実際の式(結婚式だけど)を行った側の貴重な体験談や、当日の動きや事前準備について、いろいろとためになるお話を伺うことができた。
やはりシド帝国の儀式は、細部にこだわるよりも言祝ぐことを重要視するため、あまり堅苦しくはないようだ。結婚式のリハーサルも一日で済んだという。
(今回はそうはいかないよね)
セイツェさんによれば、様式に厳密に則るならば足運びから一歩の歩幅まできっちりと合わせなければならないというし、ロームバルト側は当然それを基準に考えているはずだ。花嫁にはかなり負担が大きいし、リハーサルと準備には時間をかける必要がある。
言い忘れていたが、今回も私は黒子である。あくまでこの仕事を請け負ったのは〝サイデム商会〟であり、私はたまたま親しい貴族の女性がいたので、参考のためにお話を伺いに訪問しただけである。今回のような大きな式典準備において、子供がトップに近いポジションでかかわっていると知られれば、いかにも外聞が悪いため秘密なのだ。
(まぁ、ルミナーレ様にはバレバレだろうけど、それを言ったり顔に出したりする方ではないので、しらばっくれておこう)
「どんな素晴らしいお式になるのか、楽しみにしているとサイデムに伝えてね」
離宮退出の折、あくまで優雅にルミナーレ様はおっしゃった。
さて、ではつぎは本命、今回の花嫁に会いに行こう。
ゴール伯爵家は多くの貴族が屋敷を構える、いわゆる貴族街と呼ばれる地域にあった。
やたらと大きくて立派という印象の全体にゴツゴツした武門の家らしい雰囲気漂う門扉には、家の紋章なのだろうか、バラと剣が彫り込まれていた。あとから聞いた話では、ゴール家の先祖が戦場で〝白いバラが赤く染まるまで敵を屠った〟という故事にちなんでのことだという。なかなかにすごいお家柄だ。
訪問を告げると、なぜか中庭に通された。
(ちなみに、さすがに私だけで初めての貴族宅へ行くのはおかしく思われるので、今回のプロジェクトに参加するサイデム商会女性用品部門のエマさんとサーラさんに同行をお願いしている)
そして私のお供はさっきから私の髪型を直すのに余念がないセーヤ。今日は特に美味しいものを食べる予定がないので、交代したらしい。
「今日もお美しい御髪でございます。完璧です!」
エマさんとサーラさんが若干引いているのは感じるが、私は慣れてしまっているので好きにやらせている。
「こういう子なので、気にしないでください。さあ参りましょう」
美しく剪定された木々に囲まれた中庭では、物語の中から抜け出てきたかのような麗しい騎士然とした背の高い青年を中心に、数人が剣の稽古中だった。傍目から見ていても、青年の実力は周囲を一段上回っており、しかも屈強な男たちを相手に檄を飛ばしている。
「そんなことで姫がお守りできると思うなよ! そこ! 剣の返しが遅い! 常に二撃に備えよ!」
横を見るとエマさんとサーラさんが、ウットリと青年を眺めている。
(まあ、これだけカッコいいところを見せられたらね……かっこいい……あれ、まさか)
訓練がひと段落すると、さわやかな笑顔で青年がこちらに走ってきた。
「お待たせしてもうしわけない。式についての打ち合わせだとか。ご足労をお掛けいたしました」
この目の前で汗をぬぐっている、いわゆる少女歌劇から抜け出てきたかのような美青年こそ、マリリア・ゴール伯爵令嬢、その人なのだった。
(リアルにいるんだ……お芝居に出てくるような男性より素敵な男装騎士って)
エマさんとサーラさんは、相手が女性だとわかっても、相変わらずポーッとしたままなので、私が話を進める。
「本日は、お忙しい中お時間を取っていただきありがとうございます。今回の婚礼につきまして、まずはマリリア様のご意向のご確認と式の概要のご説明に参上いたしました。私はメイロード・マリス、こちらはサイデム商会で今回の式を取り仕切るエマとサーラでございます」
「恐縮です。私は皇女ベラミ様つき護衛役筆頭を務めておりますマリリア・ゴールです。つい先ほど、ルミナーレ様からメイロードさまの天才ぶりについて《伝令》があり、すべてお任せすれば間違いないというお言葉をいただきました。よろしくお願いいたします」
(おお、さすがルミナーレ様。神対応ありがとうございます!)
破顔一笑する美青年のどこにも初々しい花嫁の感じがないことに、若干の不安と戸惑いを感じつつ、ともかく話を進めることにした。天気も良いのでテラスで話をすることになり、早速お茶が運ばれてきたので、手土産のクッキーをテーブルに差し出すと、マリリア様の表情が一気にやわらぎ、とてもうれしそうな表情を浮かべる。
「これは可愛らしい菓子ですね。姫が喜びそうです。ぜひ、ベラミ姫にこれと同じものを差し上げたいのですが、それは可能でしょうか?」
その姿は、まさに片時も姫を忘れず、いかなるときも姫を労る騎士そのものだ。
「もちろん、それはうれしく恐れ多いことでございます。もしよろしければ、姫のために他のお菓子もご用意いたしますのでおもうしつけください」
「ありがとうございます。ベラミ姫は今回のご結婚について、いろいろとお悩みもあられるご様子で……ここのところ食欲もあまりなく、なかなか明るい気持ちになれないのか、表情も精彩を欠いておられます。そんな姫を少しでもお慰めしたいのですが、無骨者の私にはなかなか……」
そう言って憂い顔を浮かべるマリリア様が、これまた美しく素敵オーラ全開。
(アリーシア様が〝カッコいい〟と言っていた意味がよくわかるわ。これは、かなりの破壊力ね。こちらのお嬢さんふたりも完全にやられているし……)
「マリリア様はこれまでずっと、男装でお仕えしてこられたのでしょうか」
「ええ、私は姫の護衛役筆頭でございますから、動けなくては話になりませんでしたからね」
この美形騎士が皇宮を闊歩する姿は、これまでさぞや多くの宮廷女子のハートを撃ちまくってきたことだろう。だがマリリア様は姫より三つ年上の二十歳。嫁いでからは護衛役ではなく、姫の侍従としてつきしたがうことになるので、〝婚約式〟が終われば男装することはないだろうという。
「もしものときには、もちろんいついかなるときでもこの身を呈してお守りするつもりではありますが、この国を遠く離れられる姫のために、これからは姫の側でお寂しくないように心を砕くことが、私の生涯の仕事となりましょう」
(心から姫を愛する騎士なんだなぁ、マリリア様って)
マリリア様が日常的にドレスを着るようになったのは、お輿入れが決まってからだそうだ。
「まだ慣れなくて裾を踏み、怒られてばかりです」
そう言ってさわやかに笑っておられるが、今回の〝婚約式〟の主役がそれでは済まされない。
「マリリア様、今回のご婚礼にはシド帝国の威信がかかっております。まして、お相手はしきたりにきびしいロームバルト王国の方。裾さばきどころか、歩くその一歩の歩幅まで見られているとお思いくださいませ」
マリリア様は驚いた顔を見せ、それから少し笑みを浮かべた。
「私の婚約者は、私と同じような立場の方でお互いの主人を守る忠誠心の深さで繋がっている方だ。剣術の腕ももうしぶんなく、細かいことにもこだわらぬ御仁なのだが……」
「それはそれ、これはこれです。マリリア様の不手際は、姫の恥になるのですよ」
「それは困る‼」
さすがにマリリア様の顔つきが変わった。姫大事の彼女にとって姫に恥をかかせるなど、あってはならないことなのだろう。
「承知した。姫のためとあらば、どのような苦難も乗り越えてみせよう。式までにきちんとできるよう指導を頼む」
若干の悲壮感さえ漂うキリッとした表情で、その決意のほどが窺えるが、まさか女性の仕草をいちから教えることになるとは……
(しかしこの人、こんなときにもまったく隙のないカッコ良さだなぁ。これは惚れるわ)
取り急ぎセイツェさんに指導マニュアルを作成してもらい、歩き方から特訓することになった。思ったより前途多難だ。
(ベラミ姫のお菓子も作ることになっちゃったしな。しかも、できれば一緒に行って説明しながら姫を楽しませてほしいと依頼されちゃったし、仕事は増えるばかりだなぁ)
いかにマリリア様が素敵だったのかを嬉々として語り合うエマさんとサーラさん。その横で、私は果物がお好きだという姫のためのお菓子を考えながら、軽いため息交じりで帰りの馬車に揺られて窓の外を眺めていた。
この世界はひと月三十日の十二か月である。とてもわかりやすくてよろしい。
「で、私の誕生日はいつなのか、おじさまならご存じかと思いまして聞きにきました」
キッペイにふたり分のお弁当を渡しながら、私はおじさまに尋ねる。〝商人ギルド〟の昼休みを狙ってきたのだが、おじさまはまだデスクで仕事中だった。当然、私との会話も筆を走らせながらだ。でもこの質問には、さすがにおじさまの筆を持つ手が止まった。
「お前は、それすら忘れたままだったのか……そうか……」
おじさまはとても言いにくそうだ。
(そんな気はしていたんだけど、やっぱり。ある意味、この世界に私が〝生まれた〟に等しい日、激痛と共に転生したその日)
「私(というかメイロードのだけど)の誕生日は七の月十日なんですね」
それは私たちが襲われて、メイロードの両親(と実はメイロード自身も)が亡くなった日だ。確かにいまとなっては最も祝いづらい日と言えるだろう。
「お前もつらいから特に祝おうとしていないのだと思っていた。そうか、自分の誕生日すらも忘れたままだったか……」
私とおじさまは毎年両親の墓に献花をしている。その日が誕生日では、確かにお互い祝う気分にはなりにくい。おじさまが言わずにいたのも、わたしに気を遣ってのことだろう。
「次の誕生日は十歳、キリもいいし盛大に祝おうな」
「ええ、そういたしましょう。いまから楽しみですね、メイロードさま!」
おじさまを手伝うキッペイまで一緒になって盛り上げてくれようとしている。
(ありがとう、おじさま、キッペイ)
この話題を続けているとさらに気を遣わせそうなので、話題を変えよう。
「どうやら私、ベラミ皇女様とお会いすることになりそうです。マリリア様にどうしても私のお菓子を献上したいと言われまして、来週お伺いすることになったんですよ」
おじさまはちょっと顔をしかめた。
「皇宮との接点ができるのは悪くないが、相手がすぐ嫁いでしまう皇女ってところが弱いな。できればベラミ姫の母親である正妃とのコネが欲しい。期待してるぞ、メイロード」
「冗談じゃないですよ。私は別に皇宮と繋がりなんか欲しくないですって。今回もマリリア様のキラキラな騎士ぶりに断りきれなくなったというか……」
「なんだそれ?」
「マリリア様って武門のお家柄で、姫の護衛役として育てられた方なので、つい最近まで基本男装されていたんです。その姿が芝居から抜け出てきたような美しい騎士ぶりで、ハンサムな男性にしか見えないんですよ。そんなお顔で〝姫のためにお願いいたします〟とか言われると、その……断りづらいんですよ!」
おじさまは困惑気味だが、その反応は本人を見ていないのだからわからなくもない。いやこの乙女な気持ち、そもそもおじさまには理解不能かもしれない。
「問題はいくつかあるのですが、いま一番困っているのはマリリア様の所作がほぼ男性ということです。しかも武道の影響なのか、外股でO脚気味なんです」
「O脚? それはなんだ? それにそれのどこが問題なんだ?」
「このままだと、決定的にドレス姿が似合いません‼ いいですか、儀式用のドレスというのは究極の女性美を体現するようなシルエットなんです。しかもそれを優雅にまとって、衆人環視の中で儀式通りに静々と歩かなければならないんです。この姿勢や歩き方の矯正がどれだけ大変かわかります? 現在特訓中なんですけど、身についた動きを短期間でまったく違うものに変えるのは相当きびしいですよ」
セイツェさんの矯正カリキュラムにしたがってマリリア様は特訓中ではあるが、武道の訓練をやめる気はないとのことなので、頑張っているわりに、三歩進んで二歩下がる感じだ。
ベラミ姫の機嫌が良くなれば、マリリア様のモチベーションも上がりそうなので、ともかく私はお菓子作りを頑張ってみよう。
マリリア様は現在婚礼の準備のため、警護役からは外れている。それでもベラミ姫から最も近しい存在として信頼されているため、皇宮の出入りは顔パスだ。ドレス姿のまま颯爽と歩くマリリア様の姿に、女官たちが例外なくなんとも複雑な表情を浮かべている。
(アイドル騎士の急な結婚に、みなさんショックなんだろうなぁ。心中は歌劇団の男役引退みたいな感じなのだろうか……)
マリリア様自身、身のこなしがまだ完全に男性のままなので、ドレス姿がまったく板についておらず、どうにも不釣り合いだ。
(お美しいんだけど、所作がどう見ても女装をさせられている男性っぽいんだよね。しかもご本人はまったく気にしてない)
そんなことに悩んでいるうちに、到着したひときわ立派な扉の先にはマリリア様の大事な姫が優雅に座っていた。
「マリリア、来てくれたのですね。三月後の婚礼の準備で忙しいと聞いていますよ。無理せずとも良いのに……」
言葉ではそう言いながらも、ベラミ姫はとてもうれしそうだ。やはり、一時期とはいえ心を許せる相手と離れ離れになるのはつらいのだろう。
「とんでもございません。長くお会いできないと、私こそ姫の御身が心配で準備が捗りません。少しでも姫のお側にありたいのです。このような格好をすることになりましたが、姫の護衛役であることが私の誇り。どうか、これからも〝婚約式〟までの間は、ご拝顔に参上することをお許しください」
ベラミ姫は彼女を思う騎士の願いに苦笑しながらうなずいた。
「ふふ、困った人ですね。でもありがとう。私もあなたに心配をかけないように気をつけるわ。不安は多いけれど、彼の地に行ってもあなたが側にいると思うだけで、なにもかも乗り越えられる気がします」
(これでマリリア様がいつもの騎士姿だったら、まるっきり騎士と姫のラブストーリーだなぁ……ああ、おつきの方々も、皆さんポーッとしてる。マリリア様、ハンサムが過ぎますって!)
「ところでそちらの可愛い方はどなたなのかしら?」
後ろに控えていた私を見てベラミ姫が声をかけてくださった。
「お初にお目にかかります。この度のマリリア様の〝婚約式〟にかかわることになりましたサイデム商会のメイロード・マリスと申します。マリリア様が私の作る菓子に目を留められ、ベラミ姫に献上したいとの仰せをいただき、本日お届けに上がりました」
「メイロードはこう見えて、素晴らしい菓子を作るのですよ。あまりの愛らしさと美味しさに、これならば姫も喜んでくださるに違いないと思い、私の〝婚約式〟の準備に忙しいところ無理を言ってしまいました」
豪快に笑うマリリア様につられて、皆笑顔になっている。
「まぁ、マリリアったら……ごめんなさいね、メイロード。マリリアは私のこととなると平気で無茶を言うのよ」
マリリア様の作戦は図に当たったようで、場が明るい雰囲気になってきた。さすが姫の騎士というところか。
「いえ、私はたまたま上級貴族の方と面識がございまして、〝婚約式〟の参考にお話を伺う役を承っただけにございます。私も喜んでお作りいたしました」
いいタイミングで、ソーヤがワゴンに載せた菓子を運び込むとみなさんから歓声が上がった。今回は楽しませることがテーマなので、見た目の美しさにこだわったお菓子だ。
(よし! 掴みは上々!)
ワゴンにはフルーツ好きのベラミ姫のためのタルト二種。これを作るにあたっては、少し前のフルーツ牛乳作りの経験が役に立った。あのときは、かなりの数の果物の実物を手にして味見をした。腐っているとしか思えない匂いのものから、顔が真ん中に寄って戻らなくなりそうな酸っぱいものまで、とりあえず試食したのだ。
その経験から、一台目のタルトは、タルト生地との相性が良く色が美しいものを厳選し、少し大きめに果実をカットして散りばめた。ナパージュでツヤを出しているので赤、黄、緑、オレンジなどが色あざやかで宝石のように美しい見た目に仕上がっている。この技法も、まだこの世界にはないようなので、姫も知らないだろう。
ふたつ目は赤いタルト。ベリー系を中心にいろいろな赤い果実をびっしりと載せたタルトに仕立てた。上には飴で作ったリボンも添えている。とても美しく気品高い雰囲気のお菓子だ。それに、アイスボックス・クッキーを数種類。タルトにはマジックバッグで持ち込んだソルベとアイスクリームも添えてみた。
「まあ、なんて美しいのかしら! どれも見たことがないお菓子ね。素晴らしいわ。食べるのがもったいないぐらい!」
姫の周りに傅く女官の皆さんもウキウキした表情だ。やはり女性は皆、この美味しそうなお菓子の前に相好を崩さずにはいられないようで、場の雰囲気はさらに盛り上がる。
(よしよし、いい雰囲気)
「お茶には、こちらの〝薔薇の雫〟はいかがでございましょう?」
それは香りの良い薔薇の花びらと紅茶をブレンドしたもの。女性用品部門の新製品として研究中のものだ。かなり高価なので、まだ製品化には至っていない。名前も(仮)だ。でも、味とビジュアルはすでにほぼ完成している。ソーヤが特注のガラス製ポットに茶葉を入れお湯を注ぐと、中で美しく薔薇の花びらが踊る。
「綺麗……とてもキレイだわ!」
ベラミ姫がうっとりとガラスポットを眺めるのを、マリリア様が満足げに見る。
(本当にこの女騎士様はベラミ姫が大事なのね)
私はふたりの主従関係の強さを微笑ましく思いながらサーブを続けた。
私の指示にしたがってソーヤが美しく盛り付けたディセールと紅茶が姫の前に置かれると、姫はおつきの方々の分も用意するように言った。
「皆で食べた方が、きっと美味しいわ。そうでしょう?」
この姫はとても気を遣う、細やかな神経の行き届いた方のようだ。その繊細さをマリリア様は心配されているのだろう。でも、細やかなだけではない、自分よりも周囲へ目を向けるこの方からは芯の強さも感じられる。さすがは皇女様だ。
「素晴らしい香りね、この紅茶」
注がれた紅茶から、馥郁たる薔薇の香りが部屋に広がっていく。ジューシーなフルーツとカスタードクリーム、そしてサクサクのタルト生地。つぎは甘酸っぱいベリーに生クリームとカスタードの二層とタルト生地。添えられた冷たいミルク感たっぷりのアイスクリームとさわやかな柑橘の香りのソルベ。
そこには確かな癒しがあった。皆がニコニコと楽しげに美味しさを語り合い、笑い合っていた。
穏やかなティータイムの成功にホッとしていると、私のそばに来たマリリア様が極上のハンサム・スマイルで微笑み、そっと告げた。
「ありがとうございます、メイロードさま。私が姫にして差し上げたかったこと以上をあなたはしてくれた。姫にはこんな風に穏やかでやさしい時間が必要だったのです。あなたは本当に素晴らしい方だ」
(わ、わ、騎士スマイル、まぶしい!!)
「ありがとうございます、マリリア様。姫のためにも〝婚約式〟を成功させましょうね。式の成功は、ベラミ皇女殿下への餞でもあるのですから」
「ああ、わかっている。頑張るさ!」
そう言って愛おしそうに姫を見るマリリア様。その横顔はドレスを着ていても、やっぱり騎士そのものなのだった。
(ちゃんと花嫁ができるのかなぁ、大丈夫なのかな?)
花嫁のベール製作のため、早くデザインを考えなくてはならない。セイツェさんにベールの提案はしたものの、ベールのデザインについての知識は、じつのところ私にはなかった。
(作ったことがないものだからね。テレビや雑誌で目にしたことはあるけど、直接は見たことないもんなぁ。どうしたらいいんだろう)
だが、このアイデアは形にしなくてはならない、しかも早急に。この式にふさわしいクオリティのものを作るとすれば、かなりの日数がかかることだけは確実なのだ。時間がない。とにかく時間がない。披露宴についてのアイデアも早く考えないと三か月の準備期間などあっという間だ。
国の威信を懸けてのイベントとなるこの式典、品物を揃えるだけでもそう簡単にはいかない。すでにフルコースの晩餐会のための食器やカトラリー、クロスといった絶対必要とわかっているものは発注済みだが、そこから先のプランはまだ真っ白だ。
「大体、私は結婚式に出席すらしたことがないんだもん。頭の中のぼんやりしたイメージだけじゃ、具体的なプランを考えるには、どうしたって無理があるのよ! このままじゃ無理無理、絶対無理!」
追い詰められた私は、あるものを異世界から召喚しようと決めた。
私は《異世界召喚の陣》という、対価さえ支払えば元いた世界の商品をなんでも召喚できる特殊スキルを持っている。いままでいろいろなものを召喚してきたが、ひとつあえて召喚せずにいたある商品分野があった。
それは書籍だ。
これには深く悩ましい理由がある。
《異世界召喚の陣》での購入には、私がいまいるこの世界と乖離した知識や技術に対して、きびしい価格補正がかけられるからだ。消耗品についてはほとんど補正されないが、たとえばペットボトル入りの調味料を買おうとすると、十倍近い値段を支払わなければならない。
この世界にないものを持ち込むことは慎重にせよ、との神様の意図を感じる補正なので、私も中身だけを購入するようにしてきた。
(そのほうが圧倒的に安いしね)
だが書籍はまず、中身だけという指定ができないので完全品しか買うことができない。その時点で、定価の約十倍という補正が確定している。しかも、異世界知識の宝庫であるため、補正価格もあからさまに高い二百倍以上になるはずだ。つまり、最低でも定価の二千倍出さなければ手に入らない。
(二千倍……鼻血が出そうな超高額商品なんだよねぇ。高い、高すぎる!)
いくら私がお金に困らなくなったとはいえ、このエグい補正値のついた商品は軽々しく買えるものではない。日本語の書籍なら、たとえこの世界にあっても理解されないだろうが、雑誌などの絵図や写真から推察されることはあるはずだ。まったく違う世界の知識を大量に流布する原因になる可能性もゼロではない。そんなわけで、異世界からの書籍購入はずっと封印していたのだ。
だが、私が結婚式のノウハウや衣装、ベールのデザイン、そういったものを手掛かりなしで考えていくのはさすがに無理がある。元の世界の私は二十代になったばかりだったのだ。まだ結婚は意識もしたことがなかったし、知識もものすごく断片的で浅いものしかない。
なのに、今回求められているのは、斬新さと優雅さを併せ持ったシド帝国オリジナルの式。関係者への取材だけでは、まったく情報が足りないし、私にはどうしても知識の補強が必要なのだ!
私は意を決して《異世界召喚の陣》を展開する。金貨も用意した。
(千ポル払ってやりますよ! だって必要なんだもん‼)
私は腕を陣の中に入れ、少し震える手で一冊の本を取り出した。それは超有名結婚情報誌。にこやかに笑う幸せそうな花嫁の姿がまぶしい表紙の一冊が、わたしの手の中にあった。
「百万円の情報誌……さあ、役に立ってもらいましょう!」
私は早速、その分厚い雑誌を読みにかかった。そして、絶対に元は取ってやる! という決意に燃え、夜遅くまでそのまま読み続けたのだった。
「結婚って大変だわ」
結婚情報誌を読み込みすぎてだいぶ私はアテられた。だが、すごくためにもなった。私はびっしり書きだしたメモを再度チェックする。
「ベールには細かい刺繍を入れると、優雅さと上品さが格段に上がるわね。これは、すぐに発注しなきゃ間に合わないわ。手刺繍を私が求める品質で全面に入れるとすると、いまでもギリギリのタイミングだよね」
ドレスの基本はAライン。シンプルだが美しく上品さが際立つデザインに決めた。マリリア様は長身スレンダーなので、これが一番似合うと思う。
さらにこの世界ではまだ知られていないロングトレーンを採用することにした。長く裾を引くドレスは、とても優雅でゴージャスな印象を与えるはずだ。
「こちらも早く発注しないと!」
演出についても、いくつかプランを思いついた。どれも以前の世界ではありがちだが、絶対ここでは経験がないと思われるものだ。加えて、逆にこの世界ならではの演出も取り入れる。
後日、早速今回のプロジェクトで実際に仕事をする女性部門の方々に、私が考えた演出プランを説明してみた。
(ちょっと会うのが楽しみになってきたかも……)
「あの方ならば姫と共に他国へ嫁がれることも、むしろ喜んでおられると思いますよ。国を離れるより、姫と離れる方がずっとつらいのではないでしょうか」
(それだけ親しい間柄なのか。これも使えそうかな)
「ルミナーレ様はご結婚のとき、どのようなお品物を交換されたのですか?」
そう聞くと、おふたりは顔を見合わせて笑った。
「お父様は、お母様にはなにを贈っても似合うから決められないと言って、ティアラにイヤリングにネックレスにと、ありとあらゆる最高の装飾品を用意されたの。すべてを身に着けるために儀式の時間が長くなって大変だったそうよ。でも、それはそれは美しくて、そのときの絵姿は巷でも飛ぶように売れたと聞いているわ」
うっとりとその様子を語るアリーシア様と、泰然と微笑まれるルミナーレ様。
確かに完璧に着飾られたルミナーレ様ならば、さもありなんと思わせるエピソードだ。そして、やっぱりドール家の資産はハンパない。
それにしても絵姿が売り物になるほど、貴族の華麗な式典への庶民の関心が高いとは知らなかった。これも覚えておこう。
ルミナーレ様からは実際の式(結婚式だけど)を行った側の貴重な体験談や、当日の動きや事前準備について、いろいろとためになるお話を伺うことができた。
やはりシド帝国の儀式は、細部にこだわるよりも言祝ぐことを重要視するため、あまり堅苦しくはないようだ。結婚式のリハーサルも一日で済んだという。
(今回はそうはいかないよね)
セイツェさんによれば、様式に厳密に則るならば足運びから一歩の歩幅まできっちりと合わせなければならないというし、ロームバルト側は当然それを基準に考えているはずだ。花嫁にはかなり負担が大きいし、リハーサルと準備には時間をかける必要がある。
言い忘れていたが、今回も私は黒子である。あくまでこの仕事を請け負ったのは〝サイデム商会〟であり、私はたまたま親しい貴族の女性がいたので、参考のためにお話を伺いに訪問しただけである。今回のような大きな式典準備において、子供がトップに近いポジションでかかわっていると知られれば、いかにも外聞が悪いため秘密なのだ。
(まぁ、ルミナーレ様にはバレバレだろうけど、それを言ったり顔に出したりする方ではないので、しらばっくれておこう)
「どんな素晴らしいお式になるのか、楽しみにしているとサイデムに伝えてね」
離宮退出の折、あくまで優雅にルミナーレ様はおっしゃった。
さて、ではつぎは本命、今回の花嫁に会いに行こう。
ゴール伯爵家は多くの貴族が屋敷を構える、いわゆる貴族街と呼ばれる地域にあった。
やたらと大きくて立派という印象の全体にゴツゴツした武門の家らしい雰囲気漂う門扉には、家の紋章なのだろうか、バラと剣が彫り込まれていた。あとから聞いた話では、ゴール家の先祖が戦場で〝白いバラが赤く染まるまで敵を屠った〟という故事にちなんでのことだという。なかなかにすごいお家柄だ。
訪問を告げると、なぜか中庭に通された。
(ちなみに、さすがに私だけで初めての貴族宅へ行くのはおかしく思われるので、今回のプロジェクトに参加するサイデム商会女性用品部門のエマさんとサーラさんに同行をお願いしている)
そして私のお供はさっきから私の髪型を直すのに余念がないセーヤ。今日は特に美味しいものを食べる予定がないので、交代したらしい。
「今日もお美しい御髪でございます。完璧です!」
エマさんとサーラさんが若干引いているのは感じるが、私は慣れてしまっているので好きにやらせている。
「こういう子なので、気にしないでください。さあ参りましょう」
美しく剪定された木々に囲まれた中庭では、物語の中から抜け出てきたかのような麗しい騎士然とした背の高い青年を中心に、数人が剣の稽古中だった。傍目から見ていても、青年の実力は周囲を一段上回っており、しかも屈強な男たちを相手に檄を飛ばしている。
「そんなことで姫がお守りできると思うなよ! そこ! 剣の返しが遅い! 常に二撃に備えよ!」
横を見るとエマさんとサーラさんが、ウットリと青年を眺めている。
(まあ、これだけカッコいいところを見せられたらね……かっこいい……あれ、まさか)
訓練がひと段落すると、さわやかな笑顔で青年がこちらに走ってきた。
「お待たせしてもうしわけない。式についての打ち合わせだとか。ご足労をお掛けいたしました」
この目の前で汗をぬぐっている、いわゆる少女歌劇から抜け出てきたかのような美青年こそ、マリリア・ゴール伯爵令嬢、その人なのだった。
(リアルにいるんだ……お芝居に出てくるような男性より素敵な男装騎士って)
エマさんとサーラさんは、相手が女性だとわかっても、相変わらずポーッとしたままなので、私が話を進める。
「本日は、お忙しい中お時間を取っていただきありがとうございます。今回の婚礼につきまして、まずはマリリア様のご意向のご確認と式の概要のご説明に参上いたしました。私はメイロード・マリス、こちらはサイデム商会で今回の式を取り仕切るエマとサーラでございます」
「恐縮です。私は皇女ベラミ様つき護衛役筆頭を務めておりますマリリア・ゴールです。つい先ほど、ルミナーレ様からメイロードさまの天才ぶりについて《伝令》があり、すべてお任せすれば間違いないというお言葉をいただきました。よろしくお願いいたします」
(おお、さすがルミナーレ様。神対応ありがとうございます!)
破顔一笑する美青年のどこにも初々しい花嫁の感じがないことに、若干の不安と戸惑いを感じつつ、ともかく話を進めることにした。天気も良いのでテラスで話をすることになり、早速お茶が運ばれてきたので、手土産のクッキーをテーブルに差し出すと、マリリア様の表情が一気にやわらぎ、とてもうれしそうな表情を浮かべる。
「これは可愛らしい菓子ですね。姫が喜びそうです。ぜひ、ベラミ姫にこれと同じものを差し上げたいのですが、それは可能でしょうか?」
その姿は、まさに片時も姫を忘れず、いかなるときも姫を労る騎士そのものだ。
「もちろん、それはうれしく恐れ多いことでございます。もしよろしければ、姫のために他のお菓子もご用意いたしますのでおもうしつけください」
「ありがとうございます。ベラミ姫は今回のご結婚について、いろいろとお悩みもあられるご様子で……ここのところ食欲もあまりなく、なかなか明るい気持ちになれないのか、表情も精彩を欠いておられます。そんな姫を少しでもお慰めしたいのですが、無骨者の私にはなかなか……」
そう言って憂い顔を浮かべるマリリア様が、これまた美しく素敵オーラ全開。
(アリーシア様が〝カッコいい〟と言っていた意味がよくわかるわ。これは、かなりの破壊力ね。こちらのお嬢さんふたりも完全にやられているし……)
「マリリア様はこれまでずっと、男装でお仕えしてこられたのでしょうか」
「ええ、私は姫の護衛役筆頭でございますから、動けなくては話になりませんでしたからね」
この美形騎士が皇宮を闊歩する姿は、これまでさぞや多くの宮廷女子のハートを撃ちまくってきたことだろう。だがマリリア様は姫より三つ年上の二十歳。嫁いでからは護衛役ではなく、姫の侍従としてつきしたがうことになるので、〝婚約式〟が終われば男装することはないだろうという。
「もしものときには、もちろんいついかなるときでもこの身を呈してお守りするつもりではありますが、この国を遠く離れられる姫のために、これからは姫の側でお寂しくないように心を砕くことが、私の生涯の仕事となりましょう」
(心から姫を愛する騎士なんだなぁ、マリリア様って)
マリリア様が日常的にドレスを着るようになったのは、お輿入れが決まってからだそうだ。
「まだ慣れなくて裾を踏み、怒られてばかりです」
そう言ってさわやかに笑っておられるが、今回の〝婚約式〟の主役がそれでは済まされない。
「マリリア様、今回のご婚礼にはシド帝国の威信がかかっております。まして、お相手はしきたりにきびしいロームバルト王国の方。裾さばきどころか、歩くその一歩の歩幅まで見られているとお思いくださいませ」
マリリア様は驚いた顔を見せ、それから少し笑みを浮かべた。
「私の婚約者は、私と同じような立場の方でお互いの主人を守る忠誠心の深さで繋がっている方だ。剣術の腕ももうしぶんなく、細かいことにもこだわらぬ御仁なのだが……」
「それはそれ、これはこれです。マリリア様の不手際は、姫の恥になるのですよ」
「それは困る‼」
さすがにマリリア様の顔つきが変わった。姫大事の彼女にとって姫に恥をかかせるなど、あってはならないことなのだろう。
「承知した。姫のためとあらば、どのような苦難も乗り越えてみせよう。式までにきちんとできるよう指導を頼む」
若干の悲壮感さえ漂うキリッとした表情で、その決意のほどが窺えるが、まさか女性の仕草をいちから教えることになるとは……
(しかしこの人、こんなときにもまったく隙のないカッコ良さだなぁ。これは惚れるわ)
取り急ぎセイツェさんに指導マニュアルを作成してもらい、歩き方から特訓することになった。思ったより前途多難だ。
(ベラミ姫のお菓子も作ることになっちゃったしな。しかも、できれば一緒に行って説明しながら姫を楽しませてほしいと依頼されちゃったし、仕事は増えるばかりだなぁ)
いかにマリリア様が素敵だったのかを嬉々として語り合うエマさんとサーラさん。その横で、私は果物がお好きだという姫のためのお菓子を考えながら、軽いため息交じりで帰りの馬車に揺られて窓の外を眺めていた。
この世界はひと月三十日の十二か月である。とてもわかりやすくてよろしい。
「で、私の誕生日はいつなのか、おじさまならご存じかと思いまして聞きにきました」
キッペイにふたり分のお弁当を渡しながら、私はおじさまに尋ねる。〝商人ギルド〟の昼休みを狙ってきたのだが、おじさまはまだデスクで仕事中だった。当然、私との会話も筆を走らせながらだ。でもこの質問には、さすがにおじさまの筆を持つ手が止まった。
「お前は、それすら忘れたままだったのか……そうか……」
おじさまはとても言いにくそうだ。
(そんな気はしていたんだけど、やっぱり。ある意味、この世界に私が〝生まれた〟に等しい日、激痛と共に転生したその日)
「私(というかメイロードのだけど)の誕生日は七の月十日なんですね」
それは私たちが襲われて、メイロードの両親(と実はメイロード自身も)が亡くなった日だ。確かにいまとなっては最も祝いづらい日と言えるだろう。
「お前もつらいから特に祝おうとしていないのだと思っていた。そうか、自分の誕生日すらも忘れたままだったか……」
私とおじさまは毎年両親の墓に献花をしている。その日が誕生日では、確かにお互い祝う気分にはなりにくい。おじさまが言わずにいたのも、わたしに気を遣ってのことだろう。
「次の誕生日は十歳、キリもいいし盛大に祝おうな」
「ええ、そういたしましょう。いまから楽しみですね、メイロードさま!」
おじさまを手伝うキッペイまで一緒になって盛り上げてくれようとしている。
(ありがとう、おじさま、キッペイ)
この話題を続けているとさらに気を遣わせそうなので、話題を変えよう。
「どうやら私、ベラミ皇女様とお会いすることになりそうです。マリリア様にどうしても私のお菓子を献上したいと言われまして、来週お伺いすることになったんですよ」
おじさまはちょっと顔をしかめた。
「皇宮との接点ができるのは悪くないが、相手がすぐ嫁いでしまう皇女ってところが弱いな。できればベラミ姫の母親である正妃とのコネが欲しい。期待してるぞ、メイロード」
「冗談じゃないですよ。私は別に皇宮と繋がりなんか欲しくないですって。今回もマリリア様のキラキラな騎士ぶりに断りきれなくなったというか……」
「なんだそれ?」
「マリリア様って武門のお家柄で、姫の護衛役として育てられた方なので、つい最近まで基本男装されていたんです。その姿が芝居から抜け出てきたような美しい騎士ぶりで、ハンサムな男性にしか見えないんですよ。そんなお顔で〝姫のためにお願いいたします〟とか言われると、その……断りづらいんですよ!」
おじさまは困惑気味だが、その反応は本人を見ていないのだからわからなくもない。いやこの乙女な気持ち、そもそもおじさまには理解不能かもしれない。
「問題はいくつかあるのですが、いま一番困っているのはマリリア様の所作がほぼ男性ということです。しかも武道の影響なのか、外股でO脚気味なんです」
「O脚? それはなんだ? それにそれのどこが問題なんだ?」
「このままだと、決定的にドレス姿が似合いません‼ いいですか、儀式用のドレスというのは究極の女性美を体現するようなシルエットなんです。しかもそれを優雅にまとって、衆人環視の中で儀式通りに静々と歩かなければならないんです。この姿勢や歩き方の矯正がどれだけ大変かわかります? 現在特訓中なんですけど、身についた動きを短期間でまったく違うものに変えるのは相当きびしいですよ」
セイツェさんの矯正カリキュラムにしたがってマリリア様は特訓中ではあるが、武道の訓練をやめる気はないとのことなので、頑張っているわりに、三歩進んで二歩下がる感じだ。
ベラミ姫の機嫌が良くなれば、マリリア様のモチベーションも上がりそうなので、ともかく私はお菓子作りを頑張ってみよう。
マリリア様は現在婚礼の準備のため、警護役からは外れている。それでもベラミ姫から最も近しい存在として信頼されているため、皇宮の出入りは顔パスだ。ドレス姿のまま颯爽と歩くマリリア様の姿に、女官たちが例外なくなんとも複雑な表情を浮かべている。
(アイドル騎士の急な結婚に、みなさんショックなんだろうなぁ。心中は歌劇団の男役引退みたいな感じなのだろうか……)
マリリア様自身、身のこなしがまだ完全に男性のままなので、ドレス姿がまったく板についておらず、どうにも不釣り合いだ。
(お美しいんだけど、所作がどう見ても女装をさせられている男性っぽいんだよね。しかもご本人はまったく気にしてない)
そんなことに悩んでいるうちに、到着したひときわ立派な扉の先にはマリリア様の大事な姫が優雅に座っていた。
「マリリア、来てくれたのですね。三月後の婚礼の準備で忙しいと聞いていますよ。無理せずとも良いのに……」
言葉ではそう言いながらも、ベラミ姫はとてもうれしそうだ。やはり、一時期とはいえ心を許せる相手と離れ離れになるのはつらいのだろう。
「とんでもございません。長くお会いできないと、私こそ姫の御身が心配で準備が捗りません。少しでも姫のお側にありたいのです。このような格好をすることになりましたが、姫の護衛役であることが私の誇り。どうか、これからも〝婚約式〟までの間は、ご拝顔に参上することをお許しください」
ベラミ姫は彼女を思う騎士の願いに苦笑しながらうなずいた。
「ふふ、困った人ですね。でもありがとう。私もあなたに心配をかけないように気をつけるわ。不安は多いけれど、彼の地に行ってもあなたが側にいると思うだけで、なにもかも乗り越えられる気がします」
(これでマリリア様がいつもの騎士姿だったら、まるっきり騎士と姫のラブストーリーだなぁ……ああ、おつきの方々も、皆さんポーッとしてる。マリリア様、ハンサムが過ぎますって!)
「ところでそちらの可愛い方はどなたなのかしら?」
後ろに控えていた私を見てベラミ姫が声をかけてくださった。
「お初にお目にかかります。この度のマリリア様の〝婚約式〟にかかわることになりましたサイデム商会のメイロード・マリスと申します。マリリア様が私の作る菓子に目を留められ、ベラミ姫に献上したいとの仰せをいただき、本日お届けに上がりました」
「メイロードはこう見えて、素晴らしい菓子を作るのですよ。あまりの愛らしさと美味しさに、これならば姫も喜んでくださるに違いないと思い、私の〝婚約式〟の準備に忙しいところ無理を言ってしまいました」
豪快に笑うマリリア様につられて、皆笑顔になっている。
「まぁ、マリリアったら……ごめんなさいね、メイロード。マリリアは私のこととなると平気で無茶を言うのよ」
マリリア様の作戦は図に当たったようで、場が明るい雰囲気になってきた。さすが姫の騎士というところか。
「いえ、私はたまたま上級貴族の方と面識がございまして、〝婚約式〟の参考にお話を伺う役を承っただけにございます。私も喜んでお作りいたしました」
いいタイミングで、ソーヤがワゴンに載せた菓子を運び込むとみなさんから歓声が上がった。今回は楽しませることがテーマなので、見た目の美しさにこだわったお菓子だ。
(よし! 掴みは上々!)
ワゴンにはフルーツ好きのベラミ姫のためのタルト二種。これを作るにあたっては、少し前のフルーツ牛乳作りの経験が役に立った。あのときは、かなりの数の果物の実物を手にして味見をした。腐っているとしか思えない匂いのものから、顔が真ん中に寄って戻らなくなりそうな酸っぱいものまで、とりあえず試食したのだ。
その経験から、一台目のタルトは、タルト生地との相性が良く色が美しいものを厳選し、少し大きめに果実をカットして散りばめた。ナパージュでツヤを出しているので赤、黄、緑、オレンジなどが色あざやかで宝石のように美しい見た目に仕上がっている。この技法も、まだこの世界にはないようなので、姫も知らないだろう。
ふたつ目は赤いタルト。ベリー系を中心にいろいろな赤い果実をびっしりと載せたタルトに仕立てた。上には飴で作ったリボンも添えている。とても美しく気品高い雰囲気のお菓子だ。それに、アイスボックス・クッキーを数種類。タルトにはマジックバッグで持ち込んだソルベとアイスクリームも添えてみた。
「まあ、なんて美しいのかしら! どれも見たことがないお菓子ね。素晴らしいわ。食べるのがもったいないぐらい!」
姫の周りに傅く女官の皆さんもウキウキした表情だ。やはり女性は皆、この美味しそうなお菓子の前に相好を崩さずにはいられないようで、場の雰囲気はさらに盛り上がる。
(よしよし、いい雰囲気)
「お茶には、こちらの〝薔薇の雫〟はいかがでございましょう?」
それは香りの良い薔薇の花びらと紅茶をブレンドしたもの。女性用品部門の新製品として研究中のものだ。かなり高価なので、まだ製品化には至っていない。名前も(仮)だ。でも、味とビジュアルはすでにほぼ完成している。ソーヤが特注のガラス製ポットに茶葉を入れお湯を注ぐと、中で美しく薔薇の花びらが踊る。
「綺麗……とてもキレイだわ!」
ベラミ姫がうっとりとガラスポットを眺めるのを、マリリア様が満足げに見る。
(本当にこの女騎士様はベラミ姫が大事なのね)
私はふたりの主従関係の強さを微笑ましく思いながらサーブを続けた。
私の指示にしたがってソーヤが美しく盛り付けたディセールと紅茶が姫の前に置かれると、姫はおつきの方々の分も用意するように言った。
「皆で食べた方が、きっと美味しいわ。そうでしょう?」
この姫はとても気を遣う、細やかな神経の行き届いた方のようだ。その繊細さをマリリア様は心配されているのだろう。でも、細やかなだけではない、自分よりも周囲へ目を向けるこの方からは芯の強さも感じられる。さすがは皇女様だ。
「素晴らしい香りね、この紅茶」
注がれた紅茶から、馥郁たる薔薇の香りが部屋に広がっていく。ジューシーなフルーツとカスタードクリーム、そしてサクサクのタルト生地。つぎは甘酸っぱいベリーに生クリームとカスタードの二層とタルト生地。添えられた冷たいミルク感たっぷりのアイスクリームとさわやかな柑橘の香りのソルベ。
そこには確かな癒しがあった。皆がニコニコと楽しげに美味しさを語り合い、笑い合っていた。
穏やかなティータイムの成功にホッとしていると、私のそばに来たマリリア様が極上のハンサム・スマイルで微笑み、そっと告げた。
「ありがとうございます、メイロードさま。私が姫にして差し上げたかったこと以上をあなたはしてくれた。姫にはこんな風に穏やかでやさしい時間が必要だったのです。あなたは本当に素晴らしい方だ」
(わ、わ、騎士スマイル、まぶしい!!)
「ありがとうございます、マリリア様。姫のためにも〝婚約式〟を成功させましょうね。式の成功は、ベラミ皇女殿下への餞でもあるのですから」
「ああ、わかっている。頑張るさ!」
そう言って愛おしそうに姫を見るマリリア様。その横顔はドレスを着ていても、やっぱり騎士そのものなのだった。
(ちゃんと花嫁ができるのかなぁ、大丈夫なのかな?)
花嫁のベール製作のため、早くデザインを考えなくてはならない。セイツェさんにベールの提案はしたものの、ベールのデザインについての知識は、じつのところ私にはなかった。
(作ったことがないものだからね。テレビや雑誌で目にしたことはあるけど、直接は見たことないもんなぁ。どうしたらいいんだろう)
だが、このアイデアは形にしなくてはならない、しかも早急に。この式にふさわしいクオリティのものを作るとすれば、かなりの日数がかかることだけは確実なのだ。時間がない。とにかく時間がない。披露宴についてのアイデアも早く考えないと三か月の準備期間などあっという間だ。
国の威信を懸けてのイベントとなるこの式典、品物を揃えるだけでもそう簡単にはいかない。すでにフルコースの晩餐会のための食器やカトラリー、クロスといった絶対必要とわかっているものは発注済みだが、そこから先のプランはまだ真っ白だ。
「大体、私は結婚式に出席すらしたことがないんだもん。頭の中のぼんやりしたイメージだけじゃ、具体的なプランを考えるには、どうしたって無理があるのよ! このままじゃ無理無理、絶対無理!」
追い詰められた私は、あるものを異世界から召喚しようと決めた。
私は《異世界召喚の陣》という、対価さえ支払えば元いた世界の商品をなんでも召喚できる特殊スキルを持っている。いままでいろいろなものを召喚してきたが、ひとつあえて召喚せずにいたある商品分野があった。
それは書籍だ。
これには深く悩ましい理由がある。
《異世界召喚の陣》での購入には、私がいまいるこの世界と乖離した知識や技術に対して、きびしい価格補正がかけられるからだ。消耗品についてはほとんど補正されないが、たとえばペットボトル入りの調味料を買おうとすると、十倍近い値段を支払わなければならない。
この世界にないものを持ち込むことは慎重にせよ、との神様の意図を感じる補正なので、私も中身だけを購入するようにしてきた。
(そのほうが圧倒的に安いしね)
だが書籍はまず、中身だけという指定ができないので完全品しか買うことができない。その時点で、定価の約十倍という補正が確定している。しかも、異世界知識の宝庫であるため、補正価格もあからさまに高い二百倍以上になるはずだ。つまり、最低でも定価の二千倍出さなければ手に入らない。
(二千倍……鼻血が出そうな超高額商品なんだよねぇ。高い、高すぎる!)
いくら私がお金に困らなくなったとはいえ、このエグい補正値のついた商品は軽々しく買えるものではない。日本語の書籍なら、たとえこの世界にあっても理解されないだろうが、雑誌などの絵図や写真から推察されることはあるはずだ。まったく違う世界の知識を大量に流布する原因になる可能性もゼロではない。そんなわけで、異世界からの書籍購入はずっと封印していたのだ。
だが、私が結婚式のノウハウや衣装、ベールのデザイン、そういったものを手掛かりなしで考えていくのはさすがに無理がある。元の世界の私は二十代になったばかりだったのだ。まだ結婚は意識もしたことがなかったし、知識もものすごく断片的で浅いものしかない。
なのに、今回求められているのは、斬新さと優雅さを併せ持ったシド帝国オリジナルの式。関係者への取材だけでは、まったく情報が足りないし、私にはどうしても知識の補強が必要なのだ!
私は意を決して《異世界召喚の陣》を展開する。金貨も用意した。
(千ポル払ってやりますよ! だって必要なんだもん‼)
私は腕を陣の中に入れ、少し震える手で一冊の本を取り出した。それは超有名結婚情報誌。にこやかに笑う幸せそうな花嫁の姿がまぶしい表紙の一冊が、わたしの手の中にあった。
「百万円の情報誌……さあ、役に立ってもらいましょう!」
私は早速、その分厚い雑誌を読みにかかった。そして、絶対に元は取ってやる! という決意に燃え、夜遅くまでそのまま読み続けたのだった。
「結婚って大変だわ」
結婚情報誌を読み込みすぎてだいぶ私はアテられた。だが、すごくためにもなった。私はびっしり書きだしたメモを再度チェックする。
「ベールには細かい刺繍を入れると、優雅さと上品さが格段に上がるわね。これは、すぐに発注しなきゃ間に合わないわ。手刺繍を私が求める品質で全面に入れるとすると、いまでもギリギリのタイミングだよね」
ドレスの基本はAライン。シンプルだが美しく上品さが際立つデザインに決めた。マリリア様は長身スレンダーなので、これが一番似合うと思う。
さらにこの世界ではまだ知られていないロングトレーンを採用することにした。長く裾を引くドレスは、とても優雅でゴージャスな印象を与えるはずだ。
「こちらも早く発注しないと!」
演出についても、いくつかプランを思いついた。どれも以前の世界ではありがちだが、絶対ここでは経験がないと思われるものだ。加えて、逆にこの世界ならではの演出も取り入れる。
後日、早速今回のプロジェクトで実際に仕事をする女性部門の方々に、私が考えた演出プランを説明してみた。
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