利己的な聖人候補~とりあえず異世界でワガママさせてもらいます

やまなぎ

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3 魔法学校の聖人候補

555 冒険者ギルドで情報収集

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555

セジャムにある冒険者ギルドは、ひどく混雑していた。

もちろん混雑の原因は超高額報酬が期待できるレアな魔物、ヒールロックの目撃情報が流れたせいだ。問い合わせが殺到しているためだろう、入り口近くの掲示板に、現在冒険者ギルドが把握している情報が大きく張り出されており、それを囲んでたくさんの冒険者が立っている。

ただ、識字率の低さのためか、長い文章を読みなれていない人たちは、やはり受付に聞きに行くことになる。そのため窓口は多くの冒険者たちに取り囲まれ、気の短い屈強な男たち相手に、受付のお姉様方は対応に追われている。どうもほかの仕事がまったくできていない状況のようだった。

私とトルルは背の高い冒険者たちをかき分け、掲示板の前に立ち、まずは開示された情報を読んでみることにした。

それによると、ヒールロックがセジャム近郊ダンジョンの第11階層で目撃されたことは事実だった。発見は6日前だったらしいが、そのときには冒険者の中に《鑑定》ができる者がおらず“未発見の魔物”として報告されたそうだ。そのあと、それがヒールロックと特定されたのは3日前だという。発見数の少ない希少な魔物のため、確認に時間がかかった様子だ。

「発見されただけで、まだ討伐されたわけじゃないみたいだね。ほら、最初の討伐者に冒険者ギルドと薬師ギルドから懸賞金が出てる」

高額の懸賞金に目を輝かせるトルル。そんな気はしていたが、やはり誰もまだ11階層の攻略には成功していないし、ヒールロックも倒せていない。

“ダンジョン図”も、まだ6階層までしか使用に耐える精度の高いものがないそうで、それより深い階層へ向かう冒険者には、《鑑定》スキルを持つ者の同行を強く推奨していた。討伐が難しい難敵が出たことで、これより深い階層にはさらなる高い攻撃力を持った希少な魔物が出てくる可能性が高まったため、敵を知ることができる鑑定眼を持つ者の力がより重要になってきたのだ。

(正確な“ダンジョン図”を作るためにも、情報が得やすい《鑑定》を持っている人に行ってほしいってことだね。それに冒険者だって、情報が多いほうが攻略しやすいだろうし……《地形探査》も本当は欲しいだろうな)

きっと今頃、魔術師ギルドには《鑑定》を使える魔法使いへの依頼が殺到しているのだろう。ということは、私たちと同行してくれる冒険者のパーティーもいるはずだ。

「トルル、私はとりあえず、いま手に入る“ダンジョン図”を買ってくるね。それで、オルダンさんがどのあたりまで進んでいるか見当がついて、私たちが追っていけそうなら、ダンジョンに入ることを考えましょう」

まだ未完成の“ダンジョン図”は比較的安い。しかも、いま一番高値が期待できるヒールロックに関する情報まだがほとんどないので、第六階層までの地図が550ポルだった。

「高いーー! “ダンジョン図”ってそんなにするの?」

トルルがびっくりしているが、550ポル(五十五万円)ぐらいなら、“ダンジョン図”としてはかなり安価なのだ。もしこれにヒールロックの詳細情報が付加され、すべての階層も明らかになった“完全版”が出たら、この値段の五倍いや十倍になる可能性もある。

「今回は急いでオルダンさんに追いつかなきゃいけないから、次の階層へ進むための最短距離を最初に知っておかないといけないでしょう。ケチってられないわ」

私は地図を見てしっかり脳内に記憶してからトルルに持っているようにとその地図を渡した。トルルは私の記憶力に驚いていたが、そういうことにしておこう。私の《完全脳内地図把握パーフェクト・ナビゲーション》は激レアのスキル。あまり教えたくはないのだ。

やっぱり渡した地図を見たトルルは顔をしかめている。そう、このダンジョン、ひとつの階層の広さがかなりあるのだ。

「これ、セジャムの町の半分以上の広さがあるよ。どこにいるか探すだけでも大変そうだなぁ……」

それに関しては《索敵》を応用した探索法を試してみようと思っているが、これも伏せておこう。でも、確かにこの広さでは移動にかなりの時間が取られてしまう。オルダンさんのいるパーティーが先を急いでいて、深い階層へ進んでいるとすると追いつくだけでもかなりの時間がかかってしまうだろう。

(こちらは効率的に動かないと、だなぁ……)

「ともかく早くダンジョンに入らないと追いつけないよね。それに、追いつく追いつかないの前に、オルダンさんの身が心配だよ。入ったこともないダンジョンで魔物に囲まれたら、何が起こっても不思議じゃないでしょう? やっぱり、急いで探してあげなきゃ、ね、マリスさん!」

すっかり行く気のトルルをなだめながら、私たちは得られた情報を持って、今度は魔術師ギルドへと移動した。

(すぐ近くで助かるわ)

予想通り、依頼書が貼られた掲示板には《鑑定》が使える魔術師募集の張り紙がひしめいていた。〝地形関連スキルがあればなお良し〟といった文言も多く、皆ヒールロックを当て込んでいるのか、かなり高額の報酬を謳っている。

掲示板に貼られた大量の〝ダンジョン攻略パーティー募集〟の依頼票を見ていった私は、ほかとちょっと違う、ある求人依頼票に目を止めた。

(ここなら、大丈夫なんじゃないかな)
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