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反撃編
カウントダウン 秘密 中編
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Side ジェイス
僕は始め、太陽のように眩しく可愛らしいルチアが苦手だった
孤児院に到着してからら母上から皆に紹介されている間、ルチアは僕をずっと見ていて…眩しすぎるほど素敵な笑みを浮かべて僕を見つめる姿が本当に嫌だった
ただでさえ兄上が改心して素晴らしい人になられて太陽みたいな存在が王宮にもいるのに、どうして孤児院に来てまで太陽を見ないといけないんだ…こんなの拷問だって本気で考えてしまったっけ?
母上が孤児院を運営するシスターや牧師方と話をする間、「今日は普通の子供に返って遊んでもいいのよ」って言葉の意味もあの時の僕にはわからなくて…
兄上の影に隠れているとはいえ、一応第二王子の僕を遠巻きに見る孤児の子…
直に話しかけて来ることもなく、物珍しそうに眺めてくる…ルチアもその1人…
その表情は皆キラキラしていて、心地悪い…親のない彼らの視線が王宮に居場所の無い僕よりも幸せそうに思えてしまって、憎かった
本当に未熟な子供だったと今では思う、何も言われてない、されてないのに…キラキラした目で見られるのが苦痛で…何故か孤児の子供達に馬鹿にされてるって勝手に思い込んでしまう僕が居て…
ルチアが一番最初に話しかけようと近付いて来てくれたのに、それが憎くて恐ろしくて怖くて…
僕は無意識にルチアを突き飛ばした…そして護衛達を放置してその場から逃げたんだ
一度も来たことが無い教会に併設された広い孤児院で、逃げるを選択肢した僕は直に迷子になった
…階段があるのも知らずに走ってたらさ、そのまま床に転げ落ちるっていう残念な状況に陥って…馬鹿みたいだよね?
ぶつけた身体が痛い、擦りむいた腕も足も痛い、なんで母上は僕をこんな所に連れてきたんだよ!!!そう、床に転がりながら恨んだ記憶がある…
「ねぇ、大丈夫?」
床に蹲り全てが嫌で嫌で…悲しかった…けど、その時心が晴れるような優しげな声が聞こえたんだ
そう、僕を助けてくれたのはルチアだった
「あ、ほら…やっぱりケガしてる…いきなり走ると危ないんだよ?見せて、あたしが秘密のおまじないで直してあげる
あ!今日は側妃様から不敬とかないからジェイス王子と遊んであげてって言われてるからね!
不敬だーとか怒らないでよ?」
なんで僕がキミを突き飛ばしたのにここにいるだよとか、自業自得なんだから放っておいてくれよとか、色々考えてたけど上手く言葉に出せなかった
ルチアはしゃがみ込んで、僕を抱き締めて小さい子をあやすみたいに背中を撫でながら何かを唱える
何するんだって振りほどきたかったけど、心が晴れるような声が、優しい体温が僕を包みこんでくれる気がして心地良くて…出来なかった
不思議な呪文、それが女神様への祈りの言葉だと理解する頃には全身の痛みが嘘のように消えていたんだ
「よし!これで大丈夫!もう痛くないでしょ?もう走っちゃ駄目だよ?
えっと、…………本当はジェイス王子と楽しく遊びたかったけど…王子が遊びたくないなら無理しないから…興味津々に囲んじゃってごめんなさい」
混乱する僕を前にルチアは悲しい顔をして…全然悪くないのに謝って、立ち去ろうとする
何をされたのか分からなかった
けど、本当に痛みがない所か、目に見えて身体にあった怪我が消えていて…心の中を黒く染めていた嫌な気持すらも消えている気がしたんだ
その時、僕は思ったよ…ここでルチアに謝らなきゃもう二度と会えない気がするって…絶対に後悔するって…もっとキミの事を知らないといけないんだって…
そう思って叫んでた
「ねぇ、待って!!!ごめん…僕が悪かった…だから…ごめん…あの、もっとキミと話したい!!!」
必死に振り絞った言葉でルチアは止まってくれた
振り向いた彼女の笑顔を僕はずっと覚えてる…女神様かと見間違ったあの笑顔を…
これが僕とルチアの出会い
……………………
………………
…………
ジェイス第二王子はそこまで話すと、何処か懐かしむように少しだけ俯き、用意されていた菓子の中で最もシンプルなクッキーを一つ食べ紅茶を飲む
おれは既に混乱していた
きっとレオもシャルティ達も同じ気持ちだろうってなんとなく思う…混乱の原因…それは、ジェイス第二王子が誰の話をしているのかわからないって事
聖女ルチアの子供の頃の話だって事は分かる、だってそう言ってから話してるから…でもさ…今とあまりにも違い過ぎないか?
桃香も異世界してるなら聖女の中身はずっと桃香だ…それなのに、赤子をあやす??桃香に子供を可愛がる気持ちなんてあるのか?
それに、第二王子が5歳頃なら同年代の聖女も5歳…その時に使ったと思われる怪我を直した力はなんだ?魔力は10歳まで使用できないのに、祈りで直すなんて事…できるのか?
「ふぅ…………ここまでが出会いの話、ふふ、みんな不思議そうな顔をしてるね?無理もないか…
……じゃあ、ここからはその後…僕がルチアと交わした約束の話をしたいな…
質問があったら最後にちゃんと答えるよ
キミ達がたぶん思ってる…一番の疑問、どうして僕がいくら庶民の出とは言え、常識のない振る舞いをする聖女の味方をしているのか…それについても話そう
でも、一つだけ…僕が話すことは全て事実だ、夢物語でも妄想でも何でもない…本当に起きた出来事…そこだけちゃんと理解して欲しい」
ジェイス第二王子は悲しそうに微笑み、少しの間を置いて教えてくれた…聖女ルチアとの約束を
僕は始め、太陽のように眩しく可愛らしいルチアが苦手だった
孤児院に到着してからら母上から皆に紹介されている間、ルチアは僕をずっと見ていて…眩しすぎるほど素敵な笑みを浮かべて僕を見つめる姿が本当に嫌だった
ただでさえ兄上が改心して素晴らしい人になられて太陽みたいな存在が王宮にもいるのに、どうして孤児院に来てまで太陽を見ないといけないんだ…こんなの拷問だって本気で考えてしまったっけ?
母上が孤児院を運営するシスターや牧師方と話をする間、「今日は普通の子供に返って遊んでもいいのよ」って言葉の意味もあの時の僕にはわからなくて…
兄上の影に隠れているとはいえ、一応第二王子の僕を遠巻きに見る孤児の子…
直に話しかけて来ることもなく、物珍しそうに眺めてくる…ルチアもその1人…
その表情は皆キラキラしていて、心地悪い…親のない彼らの視線が王宮に居場所の無い僕よりも幸せそうに思えてしまって、憎かった
本当に未熟な子供だったと今では思う、何も言われてない、されてないのに…キラキラした目で見られるのが苦痛で…何故か孤児の子供達に馬鹿にされてるって勝手に思い込んでしまう僕が居て…
ルチアが一番最初に話しかけようと近付いて来てくれたのに、それが憎くて恐ろしくて怖くて…
僕は無意識にルチアを突き飛ばした…そして護衛達を放置してその場から逃げたんだ
一度も来たことが無い教会に併設された広い孤児院で、逃げるを選択肢した僕は直に迷子になった
…階段があるのも知らずに走ってたらさ、そのまま床に転げ落ちるっていう残念な状況に陥って…馬鹿みたいだよね?
ぶつけた身体が痛い、擦りむいた腕も足も痛い、なんで母上は僕をこんな所に連れてきたんだよ!!!そう、床に転がりながら恨んだ記憶がある…
「ねぇ、大丈夫?」
床に蹲り全てが嫌で嫌で…悲しかった…けど、その時心が晴れるような優しげな声が聞こえたんだ
そう、僕を助けてくれたのはルチアだった
「あ、ほら…やっぱりケガしてる…いきなり走ると危ないんだよ?見せて、あたしが秘密のおまじないで直してあげる
あ!今日は側妃様から不敬とかないからジェイス王子と遊んであげてって言われてるからね!
不敬だーとか怒らないでよ?」
なんで僕がキミを突き飛ばしたのにここにいるだよとか、自業自得なんだから放っておいてくれよとか、色々考えてたけど上手く言葉に出せなかった
ルチアはしゃがみ込んで、僕を抱き締めて小さい子をあやすみたいに背中を撫でながら何かを唱える
何するんだって振りほどきたかったけど、心が晴れるような声が、優しい体温が僕を包みこんでくれる気がして心地良くて…出来なかった
不思議な呪文、それが女神様への祈りの言葉だと理解する頃には全身の痛みが嘘のように消えていたんだ
「よし!これで大丈夫!もう痛くないでしょ?もう走っちゃ駄目だよ?
えっと、…………本当はジェイス王子と楽しく遊びたかったけど…王子が遊びたくないなら無理しないから…興味津々に囲んじゃってごめんなさい」
混乱する僕を前にルチアは悲しい顔をして…全然悪くないのに謝って、立ち去ろうとする
何をされたのか分からなかった
けど、本当に痛みがない所か、目に見えて身体にあった怪我が消えていて…心の中を黒く染めていた嫌な気持すらも消えている気がしたんだ
その時、僕は思ったよ…ここでルチアに謝らなきゃもう二度と会えない気がするって…絶対に後悔するって…もっとキミの事を知らないといけないんだって…
そう思って叫んでた
「ねぇ、待って!!!ごめん…僕が悪かった…だから…ごめん…あの、もっとキミと話したい!!!」
必死に振り絞った言葉でルチアは止まってくれた
振り向いた彼女の笑顔を僕はずっと覚えてる…女神様かと見間違ったあの笑顔を…
これが僕とルチアの出会い
……………………
………………
…………
ジェイス第二王子はそこまで話すと、何処か懐かしむように少しだけ俯き、用意されていた菓子の中で最もシンプルなクッキーを一つ食べ紅茶を飲む
おれは既に混乱していた
きっとレオもシャルティ達も同じ気持ちだろうってなんとなく思う…混乱の原因…それは、ジェイス第二王子が誰の話をしているのかわからないって事
聖女ルチアの子供の頃の話だって事は分かる、だってそう言ってから話してるから…でもさ…今とあまりにも違い過ぎないか?
桃香も異世界してるなら聖女の中身はずっと桃香だ…それなのに、赤子をあやす??桃香に子供を可愛がる気持ちなんてあるのか?
それに、第二王子が5歳頃なら同年代の聖女も5歳…その時に使ったと思われる怪我を直した力はなんだ?魔力は10歳まで使用できないのに、祈りで直すなんて事…できるのか?
「ふぅ…………ここまでが出会いの話、ふふ、みんな不思議そうな顔をしてるね?無理もないか…
……じゃあ、ここからはその後…僕がルチアと交わした約束の話をしたいな…
質問があったら最後にちゃんと答えるよ
キミ達がたぶん思ってる…一番の疑問、どうして僕がいくら庶民の出とは言え、常識のない振る舞いをする聖女の味方をしているのか…それについても話そう
でも、一つだけ…僕が話すことは全て事実だ、夢物語でも妄想でも何でもない…本当に起きた出来事…そこだけちゃんと理解して欲しい」
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