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陽動編
歓迎会 前編
しおりを挟むルイ王子の歓迎会当日
雲一つない本気で素晴らしい快晴に恵まれ、会場となる迎賓館は即席で準備したとは思えない程、多くの美しい花々と装飾で彩られている
陽動作戦が本来の目的だから…もう少し…こう、こじんまりとした感じに収まるかと思ってたけど、こんなにも大掛かりな準備とか費用とか…
どこから湧いてきたんだ?王子二人が関わると予算もすごいことになるのか?って不安で不安で…
大丈夫なのかな?って気持ちでドキドキしていた
そんな気持ちのおれに気付いたのか、レオンハルト殿下がある情報を教えてくれる
実はルイ王子に対して、我が国の友好国でありリジャール王妃の生家もあるベラニード国から、今回の留学で無駄に人見知りなのか意欲の足りないのか分からないが、ルイ王子が変わるきっかけがあれば全力で行ってほしいとかそんな話を元々されていたらしい
だからこそ留学後、人見知りなんでお気持ちだけで!!とか言って逃げていた歓迎会を、自らの意思で受け入れるって部分に意欲を感じる…!
そう、受け取られ国王陛下やリジャール王妃達が喜ばれて、宰相であるおれの父様も巻き込んでかなり支援する事になった…と
…なるほどだからこんなにも短期間で会場の装飾とか色々想像上な豪華さで完璧なのか…
うん……元々の目的が陽動作戦用です!なんて言えない…!そんな空気が立ち込めてる中、ルイ王子だけ雰囲気が違った
「あー!なんかもうやばい、乙女ゲームって言うだけで鳥肌立ってきたー!
マイズさん!!マイズさんが側に居てくれたらなんかもうヒロインがやって来ようと僕は逃げ出さずに戦えますんで!側に居て下さい!しがみついてていいですか!?
あ、ルディヴィスさんがBLゲームな場面見せてくれてもいいです!僕に癒しをください!」
「ちょ、近いですよルイ王子!?私にも都合があります、それにルディヴィスが最初からここに居ては計画も何も無いでしょう?
私も聖女に招待状を渡した手前、一応迎えに行かないと行けない気がしますし…嫌ですけど、一応ね、嫌ですけど!紹介まで戻ってきたら側にいますから?一度離れて下さい」
全くモサモサしてない、普段のルイ王子とは比べ物にならないくらいThe王子様!!なルイ.ベラニード王子が超絶イケメンフェイスに涙を浮かべ、マイズよ側に居てくれ、びーえる見せてくれ?と叫んでいる…
びーえる…BとLのローマ字だよな?BL…ブラックライトな関係?もしや光魔法と闇魔法のコントラストが見たいのか?よくわからない…わからないが後で見せるから歓迎会頑張れ!って応援しておいた
マイズもため息をつきつつ、腰にしがみついてるルイ王子の頭を撫でて頑張れってしてる…すごく面倒見がいい…!見た目の美しさも相まって聖母に見える
レオンハルト殿下にもびーえるって何かの呪文か?とか囁かれつつ、最終的な流れを確認し歓迎会の開催時間を迎えた
…………………
……………
………
「お招き頂きありがとうございます!レオンハルト殿下、招待状に入ってたこのアクセサリー…どこの商品から仕入れているか是非ともお聞きしたいですわ
皆さんもすごく気になっていて…」
「ははは!それは企業秘密だな!まぁとりあえず楽しんで行ってくれ!今日は堅苦しいパーティーではないから、ルイ王子も緊張しているようだし」
「レオンハルト殿下自ら出迎えなど、本当にルイ王子と友情を深めて居たのですね」
そんな会話をレオンハルト殿下の隣で聞きつつおれも婚約者として挨拶する
本日の歓迎会は本当に堅苦しい物じゃない、全員が制服で参列し、迎賓館の中庭に用意されたガーデンパーティ会場て各々楽しく立食と交流、ルイ王子とお知り合いになる…そんな感じの物だ
歓迎会を断り、何故かいる筈なのに学園内でも観る機会などなかったルイ王子を歓迎する場、人見知りという噂も元々あった為、厳格にお出迎えするよりよアットホームな感じで準備しているんだと、主催者であるレオンハルト殿下が話す
そう、ルイ王子の歓迎会を主催したのはレオンハルト殿下、本来乙女ゲームでは王家主催だが今回はレオンハルト殿下って事にしている
招待状にもレオンハルト殿下主催と明記し、婚約者であるおれも招待された側で婚約者としてレオンハルト殿下の側に控える…そんな感じ
殿下が出迎え!?と驚く人も勿論いる、それについては、せっかくならルイ王子を歓迎しているのを全身で表したいからという表向きな理由を説明し、裏には聖女を揺さぶる為にも出迎えたいと動いてくれている
聖女的には時期遅れでルイ王子が登場するパーティーがある!?ズレてるけどやっぱりシナリオ通り!と、呑気に参列して欲しいから
優しげな微笑みを浮かべ、参加を呼びかけたほぼ同じクラスや二学年の高位貴族のみんなへおれも挨拶をしつつ、ルイ王子以上に本日の主役かもしれない聖女を待った
制服で来てくれる皆の手首や指、耳元には同封した試作品のアクセサリーが華やかに揺れている…試作品とは言え見た目はもちろん売り物っぽいけど、それでもおまけとして入れたそれをみんな素敵だねって着用してくれるのは素直に嬉しい…
どんどん参加者が会場に来る中、一際美しい装飾を施された白く輝く馬車が迎賓館前に停まる
御者が扉を開くと、そこからマイズ、第二王子が降りてきた
そして、第二王子にエスコートされる様に降りてきたのは…制服で参加と全員の招待状に明記したにも関わらず、ピンクのプリンセスラインドレスに大粒の宝石が輝くネックレス、イヤリングにティアラ…可愛らしい表情を引き立たせるメイクバッチリの聖女
昼間なのに何処の夜会に行くのだろうという格好…勿論聖女の招待状にも制服って書いてあるし、マイズからも制服と言われたはずなのに…
他の参加者が制服じゃないの!?と驚いていそうな状況にも関わらず、誇らしげにカーテシーを披露する聖女が登場した
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