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陽動編
歓迎会 中編
しおりを挟む目の前の聖女…歓迎会に参加するため到着した彼女を見て、本日のドレスコードとか何も知らない大抵の人は…可愛らしく可憐、そう思うだろう
確かに見た目だけなら可愛らしくはあるが、今日の歓迎会は超カジュアル、服装は制服と決まっている
内緒ででマイズとお揃いの衣装にすると意気込んでたルイ王子が、ドレスコード制服で撃沈してて面白かったとガルロ先輩が爆笑するくらい今日の衣装は制服なんだ…
そう、しっかりと告知しての開催なのに…夜会で本気出しましたみたいな格好…宝石もフリルも盛り盛りのプリンセスラインドレスで普通参加するか?
美しいカーテシーも霞むピンクのドレスのインパクトがやばい
よく見ると、迎えに行ったマイズがなんかゲッソリした顔してるのもやばいし…フワフワキラキラドレスを着てる聖女に対して顔色一つ変えずに微笑んでエスコートしてる第二王子もやばい…
「あ!お招き頂きありがとうございます、レオンハルト殿下…ううん、レオくん♡聖女ルチア、ただいま到着しました!」
「あ、………あ、うん、ああ、よく来てくれた
る、ルイ王子もさぞお喜びになるだろう…えっと、す、素晴らしい煌めきだな…うん、そろそろ歓迎会も始まる楽しんでくれ…?」
「きゃ!似合ってるだなんて嬉しいです♡お気に入りのドレスで参りましたの…♡ふふ、はい♡楽しんでいきますね」
そんな会話を終えて、聖女は中庭へ第二王子にエスコートされていった
聖女が動くたび、フワっさ、フワっさってフリルから音が聞こえそうな状況…レオンハルト殿下が必死にツッコミをいれないように耐えているのがなんとなく分かる…
ドレスのインパクトで同時刻に到着した同級生も言葉を失ってるのがわかった
顔面が可愛いからこそなんとか見ることができる場違いって感じの格好…
そう言えば、どうして第二王子はそんな聖女に制服じゃないの?って言わないのだろう…自分は制服着てるのに
……………自分が輝くためなら他はじゃがいもみたいなものなんだよって騒いでたクソ妹なら場違い空気読めないコーデもあり得るから…まだ何も始まってないのになんかやだなって…そんな気持ちになる
あと、聖女は物凄く浮かれてる、攻略対象の顔しかたぶん今は見えてないんだろうなって事も…理解した
レオンハルト殿下の隣に佇むおれには一瞬たりとも目を向けないのだから…マイズの首にあるネックレスにも、レオンハルト殿下の首を今日も彩るポチ太郎アクセサリーにも…多分目を向けてない
今日の主役はまるで自分と言いたげに第二王子からエスコートされて会場へ進むのだから…
「ルディ、あの聖女の格好がやばいのはもちろんなんだが、例の好感度上昇アイテム?だったか?あの臭い香水の匂いも3割増で臭う…恐ろしく臭い…
あれで俺たちの好感度が上がるとは到底思えないが、ルイ王子に気に入られたい…そんな気持ちがダダ漏れに見えるよ」
「え、あの香水付けてんのか?聖女…
なんでおれにはその匂いわかんないんだろう…いや、3割増ってだけで情報としてはいい
臭すぎて気絶しそうならヘルリ達に演出だと言って風魔法使って貰うから教えて欲しい」
わかったとレオンハルト殿下は頷き、ちょっとじっとしててと、おれの首筋に顔を埋めてきた……
………………深呼吸している音が聞こえる
え、何してんの!?ん?も、もしかしてそんなレベルで臭かったのか!?
……………………
………………
…………
「これより、ベラニード国よりわが国にご留学なされたルイ王子の歓迎会パーティーを開始する!
乾杯の挨拶は何故か俺、留学されたルイ王子の隣の席!初日に人見知りな王子との会話に成功し、現在はルイ王子の゙友であるガルロ.サロンドが仰せつかった!
本当に人見知りで儚い存在だ、挨拶は列にならず一人ずつなんとなく来てくれよな!
あと、ルイ王子以上に変な汗をかいて緊張ている俺にも優しくしてくれ!今日は殿下が無礼講だと言うんだから!では皆の者!グラスを掲げよ!
乾杯!!!!!」
「「「「乾杯!」」」」
カジュアル?な乾杯の挨拶をガルロ先輩が会場自分より爵位高い人ばっかじゃん!!!と、本当に変な汗をかきながら行い歓迎会が始まった
広々とした中庭には季節の花々が咲き誇り美しい会場を彩る、けど料理を邪魔しない絶妙にいい香りがリラックス感も演出
中庭に用意された多くのテーブルには、マイケルとヘルリがどこかで段取りし本気で準備してくれた素晴らしい料理が並ぶ…一部はおれが作ってみんなに提供していた前世のジャンクフードっぽい所を見ると、今日聖女を料理からも揺さぶりを掛けてくれてるのがわかる
そう言えば、「マイケルの実家ですごいものを見ました」って言ってたヘルリは何を見たんだろうか?
そのうち教えてくれると嬉しい
各々料理を楽しみつつ、人見知り?なルイ王子に圧をかけないよう爵位順にご挨拶に伺い、歓迎の言葉を述べる感じのスタイルで歓迎会は進行していく
ルイ王子は女性怖いー!!とか言ってたけどちゃんと逃げずに女性相手にも王子スマイルで留学中よろしく!と自己紹介出来ている…
もちろん、本人の希望通りマイズとガルロ先輩に両サイドを固めてもらった上で…だ
心なしかマイズと手を握りたそうにそわそわしている気もする…マイズの聖母のような美しさにはきっと精神面安定の効果があるんだろう…たぶん
開始後の聖女は…というと、第二王子に挨拶の順番を教えられてはいるのか、自分が先!と割り込むことも無く、会場に用意された料理やデザート等を食べつつ近くに居たマイケルやイグニスに絡みに行っていた
今の所静かだ、マイケルが涙目になったり、イグニスがおれにはわからない香水の香りで泣きそうになってる事以外はまだ静か…聖女の化けの皮は剥がれていない
レオンハルト殿下と共に、婚約者として主催者側の挨拶をしつつ、和やかでいい雰囲気の歓迎会を堪能し、その時を待つ
聖女がルイ王子と向かい合うその時を
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