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陽動編

好感度の秘密

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「ハンバーガーをこの世界でまた食べれるなんて夢にも思わなかった!」と、ルイ王子はせっかく泣き止んだのに、また号泣しながら完成したハンバーガーセットをもしゃもしゃと美味しそうに食べる…
その姿は、流石攻略対象者だけあって物凄くイケメンではあるんだけど、なんとなく…普通の一人の男って感じに見えた

レオンハルト殿下達がナイフとフォークでハンバーガーを美しく食べる中、器用にハンバーガーを両手で持って食べる姿は、まさにおれと同じ異世界転生をしてきた証だろう

シャルティの火力あってこその素晴らしいぶ厚めのパティは表面の炙り具合とバンズ部分の香ばしい焼き加減が本気で最高に仕上がっている
シャキシャキのレタスとトマト…溢れ出る肉汁にスパイスの旨味、ポテトのほくほくした美味しさ…そしてジャンクフード特有の野菜食べてない感…

そこから導き出される答えは「おかわり」だ
話よりまず飯!そんな雰囲気
さっきまでピザ食べてたよね?って聞きたくなるほどみんなおかわりしてくれる
育ち盛りだもんね、わかる…すごくわかるよ…!!




ゆっくりとピザの次はハンバーガーを心ゆくまで堪能したルイ王子は改めてソファに座り直し、おれたちに向かい合う
その目は先ほどまでと違い、乙女ゲームに関わり合いたくないという感じかしない真剣な目に見えた



「こんなにも美味しい至高のジャンクを提供下さる方が悩んでるのに僕だけ逃げるなんてそんな事は出来ません…!!
協力します、何でも聞いてください!あの聖女に近寄って自爆してみて?とか、ベラニード国であの聖女引き取って以外なら何でも!!」

「え………うん、ありがとう?」



ジャンクフードパワーでルイ王子の協力得れちゃうのか!?やっ、やったぜ???
キラキラと目を輝かせるルイ王子がある意味仲間?になった瞬間だった




……………
………




とりあえず、協力してくれると言うならしてほしい、情報だけでも欲しおれは改めて質問しまくる

どこまであの乙女ゲームについて知っているか、これまで強制力のような状況がシャルティやレオンハルト殿下達にも少なからずあるが、今後の展開で注意すべき事はゲームの展開に存在したか、聖女様を信仰するような人々がいる事実に何か心当たりはあるか…等など、自分の中で情報が足りなかった部分を聞いてみたんだ


その結果


「僕も好き好んであの乙女ゲームをやってた訳じゃないですし、製作者でもない…全てを知ってる訳じゃないけど、ある程度は知ってる事があるのでジャンク神のお役に立てればと思います

エンディング的には殆ど覚えてますが、今の現状…どのエンディングにも当てはまりそうに無いような感じがしますね
全体的に強制力はわずかにある…そんな程度な気がします…この学園に放り込まれたのは事実でもその後は逃げてたら今の所接触に至ってないですし、強制力がもつとあれば僕含めて攻略対象みんなもっと別人になりますから…

あと、注意する事…注意した方がいいこと的にはヒロインとの好感度アップの方法…でしょうか?」


「強制力少しはやっぱりあるんだな…それだけでも分かってよかった、というか、好感度アップの方法?
……おれもあの乙女ゲームをある程度は見せられてきたけど、見た感じ交流とかして選択肢で上がっていくんじゃないのか?」



ルイ王子は首を横に振る
ある程度は交流での選択肢を決める事で上がるのは正しいが、他にも上げる方法があると言うのだ
実際にゲームをプレイしていないとわからない事、所々ゲームの画面を見せられて特定のスチルと一部の流ればかりを見せられてきたおれでは分からなかった事………


「あの乙女ゲームでは、ステータス画面でアイテムの使用も出来ました…好感度アップの装備って言うんですかね?それを使う事によって格段に好感度が上がりやすくなる…そんな消耗品については知ってますか?」


ルイ王子の言葉におれは首を横に振ることしか出来ない、知らない…なにそれ?
そんな状況も画面もおれは見たことが無かった…ステータス画面とかあのゲーム見れたのか?いや、ゲームだものステータスくらいはあるのか?
てか、好感度アップの装備って何?
わからないと反応に困るおれを他所にガタリと席が動くのを感じた


「る、ルイ王子……?その好感度アップアイテムとかって……こう、すげぇくっさい香水とかもあったりしませんか……?」

「ど、ドロドロに煮詰めたみたいな甘ったるい花みたいな香水!!俺も心当たりがあるんですが……」



イグニスとマイケルが居てもたっても居られないという風にルイ王子に問いかける
そう言えばずっと言ってたっけ?あの香水聖女臭いって…え、あの臭いってまさか…


「あ、たぶんそれも好感度アップの一つですね…臭いって表現は初めて聞きましたが
ゲームのレオンハルト殿下とかのセリフに『キミの香りはまるで咲き誇る花々の様に甘くいい匂いがするね』とかあるんでそれじゃないでしょうか?
マイズさんとかは項に顔を埋めてその甘い花の香りに酔いしれた…とかそんな表現もありました」


「うっ…」と変な声が聞こえ、そちらを向くとマイズがちょっと具合悪そうな顔でハンカチを鼻に当てたり、レオンハルト殿下がうげぇって顔をしているのがわかった…
二人ともその花の香水?に心当たりがあるみたいだ
イグニスとマイケルはうわぁって顔をして、身近にあったハンバーガーソースの入った壺の中身の香りを吸って吐いてを繰り返している
そんなにその花の香水は臭いのか?どんなレベルで臭いんだ?
どのくらい臭いか気になるが、ルイ王子は話を続ける


「香水とかの好感度アップアイテムは使い切りなんです
定期的にステータス画面で取り付けが出来るけど、それがゲームのスチルとかには反映されないので知らなくてもししょうがないと思います

…………もう一つ、こっちの方がある意味ジャンクフード神、ルディヴィスさんが知りたい事だと思うのですが…
選択肢の中で好感度を大きく上げるプチイベントと言うんでしょうか?そう言うのがあるんです、スチルとかは出てこない好感度を上げる為だけの展開…
それは、どんな程度の怪我でもいい…それを聖女様であるヒロインに癒される事で上がります

このプチイベントについては知ってますか?もしかしたらプチイベントの効果が聖女に救われたと信仰に繋がる…その可能性を感じます」



プチイベント
聖女に怪我を治させるなど治癒される事で救われる好感度上昇…知らない、そんな情報もおれは知らない

臭い香水以上に、思い当たる節があって怖くなった







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