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現実編

合同魔法演習 後編

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 合同魔法演習が開始されてからおおよそ3時間、今日の授業は午前中で終わりの為、後1時間程で演習終了となってしまう

 先生から、箱を協力して開けろっていう課題をクリアするため、各チームは必死に考えている最中だ
 もう3時間位経つけど、まだ箱を開けたって歓喜の声が上がらないからまだ何処もクリアしていないのだろう…先生からの通知も無いし…てか通知あるものなのか?競争じゃないのかも?
 あと生徒数多すぎて、ついでに演習上も広すぎて周囲のチーム以外が何をしてるのかわからない


 ドォォォンッッッ……!!!!!
 背後で凄い音がする…周囲の音からも察するに、ほとんどのチームは協力して破壊しようとしているのか、時間経過と共に段々と破壊音が大きくなっている
 全力で威力の高い魔法を使いまくっているみたいだ



 そんな中、破壊じゃない攻略法を考えるおれたちは…机と椅子を作っていた
 おれが土と水魔法で机と椅子をある程度作り、マイズが闇魔法でコーティングする
 これは女生徒への気遣い!制服に土が付いたら可哀想っていう部分への配慮だ

 ガルロ先輩主体で作り出した円卓に魔法陣を刻む
 騎士科の生徒が授業で学ぶ集合技に使用する魔法陣を描いてもらいたいから、そして机と椅子を置く地面、そこも役割分担で綺麗に整え花や草木を幻影で出せるチームメイトが美しく地面も装飾する

 なんで課題の為に、おれたちのチームが机と椅子なんて作っているか…それには深い訳がある
 箱が何に反応するのか調べている時、ある事に気付いたから…

 箱に話しかけたり、添い寝してみたり…試行錯誤中、水魔法で箱を溺れさせている時に…水が入る隙間があれば闇の魔法で編んだ糸、入らないかなってマイズが放った闇魔法、それが箱の角に吸い込まれた気がしたのがきっかけ…


 なんか角にすうって入っていった…?


 おやおやおやってもう一度マイズにやってもらったり、他のチームメイトにやってもらっても同じ結果だった
 角に魔力が若干吸い込まれるような現象が起きる


 そこでピンときた、おれたちチームは8人、箱の角は8カ所…
 この課題が始まって直に、ガルロ先輩に詳しく聞いたら箱は箱でも他チームが持ってるのは色も形も違う…それは正方形じゃないタイプもある事だった
 もしかしてみんなで箱の角に同じ威力で負荷を掛けるのが正解なんじゃ無いのか…?って何故かそう考えてしまったんだ



 みんなに相談すると、現状何も進んでないし、何でもやってみないとわからないって事で現在箱に均一に負荷を掛けるための準備し、机と椅子作戦を決行する

 他のチームから見たらおれたちなんか浮いてそうだなって思うけどまあいい
 魔法演習場でここだけが中庭っぽくなっている
 芝生と色とりどりの花々、その中央に円卓と椅子が設置されている…なんと周囲を蝶々まで飛ぶ平和仕様!幻影で蝶々まで出せちゃう女性陣凄い!
 そんな訳で準備は整い、全員が席に付き、円卓を囲んだ

 中央には箱を設置し、箱を囲むように円状に魔法陣が各席へ伸びる仕様…この魔法陣にこれから各自が魔力を流すんだ


「…………フム………中々いい机だ…なんか作り慣れてる感じの……このままここでお茶でもしたくなるな!箱からケーキがでてきたら最高だ!」

「ガルロ先輩ったらいやですわよ!?そのケーキ散々振ったり箱ごと水に浸したりしてるじゃありませんこと!?
 でも皆さんでお茶するのは賛成ですわ…ケーキ…クッキーと紅茶も欲しいですわね」

「ルディヴィスならこの場でクッキーくらいなら焼けるだろうけどしちゃ駄目だよ?流石に授業中にクッキー作り始めたら怒られちゃうからね!」


 箱に魔力を流すよりもみんなしてお茶会したくなってる、本当に紅茶とケーキがあれば周りが爆音でもここだけ中庭のガセボなのだから…
 マイズの言葉に、さ…流石におれもそこまではしないよ!火種担当の妹が隣のチームだから拉致ってこないと焼けない!って答えるとみんな笑ってくれた

そう言え先生が、互いの魔力を感じあって一つに合わせ、協力し合う事で一人では使えない大きな魔法を使用することができるって授業で言ってたな…
互いに力がバラバラでは一つの魔力として扱えない…だから魔力コントロールを常日頃意識しどうのこうの…


たぶん、先生はこれを言いたかったんだ


箱に向かって各自が魔法陣に魔力を流す、騎士科で学ぶ集合魔法の魔法陣が光り輝き…8つの角に魔力を流し込む少しずつ、みんなで同じ量を同じだけ角に届けるように…
確実にそれぞれの魔力を角が吸い上げるような…不思議な光景が広がり、……………そして弾けた


そう、文字通り弾けたのだ


その光景を見て、箱を開けろっていう課題じゃなかった!?って顔をみんなしていたと思う…
目の前で小箱が…本当に弾けてる…なんて表現したらいいのか分からないが、机の上にバラバラ弾けて散らばった



「「「「「「「「…………はっ?」」」」」」」」
気がつけば全員同じ反応をしている…だって箱を開けたら何か入ってて、山分けでもらえる筈だったのにその箱が開かずに弾けてるんだから
先生…?これって…?なに?山分け要素は何処にあるの?




『ザザザ…………全生徒へ告ぐ、ただいまの時刻を持って合同魔法演習は終了時刻となった
各チームのリーダーは校舎入口にて課題の提出を行うように………繰り返す…………』


丁度、授業の終わりでもあったらしい…
え?先生…?このバラバラになった灰みたいなの提出すんのうちのチーム?箱の形保ってないよ?
達成感が今ひとつって掴めないまま、ガルロ先輩が課題の提出に向かう…灰みたいなのを持って

なんかこう…不完全燃焼というか…もっとやったー!って盛り上がる所なんじゃないの???って思ったがんだけど!?




とりあえずリーダーが課題を提出するまではチームごとに待機になる…
おれたちのチーム以外は、「悔しい!」「開けられなかった!」「殿下かっこいい!」「ネオイグニスくん超ガチムチ!」と、とても盛り上がっていて温度差が半端なかった



「なんか…うん、お疲れ様…?本当にお茶しながら待ってみる?」

「そ、そうですわね!一応開けた…粉砕した?記念にお茶しましょう!」


せっかくいい感じに机と椅子作ったし!もうほぼ自由時間だし!と、全員一致でおれたちのチームはガルロ先輩を待ちながら皆でお茶をする事になった

周りのチームがなになに?なにしてんのこのチームって目で見てくる中、収納魔法からお菓子と茶葉を取り出す
合同魔法演習…乙女ゲームみたいに聖女が力を披露する…そんな展開実際は起きなかったな…あの胸騒ぎは何だったんだろう



そんな事を思い出してしまったのが不味かったのかもしれない………
このまま何もなく終わるはずだったのに…




「いやぁぁぁぁーーー!!!!!!!」

「シャルティ!シャルティ!?!おいどうした!?」



各チームがそれぞれ反省会とかしてる現場で、紅茶に口をつけようとした瞬間、シャルティの叫び声とレオンハルト殿下の声が聞こえた









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