悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです!こっちに来ないで下さい

たなぱ

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現実編

合同魔法演習 中編

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合同魔法演習とは
騎士科の先輩がリーダーとなり、全校生徒がランダムにチームに割り振られて即席パーティーで課題をこなすというもの
課題は毎年異なり、それぞれの知識と普段授業で学んだ事をいかに活かせるかを評価される、そして学年や貴族と騎士、爵位の壁を超えて協調性も養う場だ

去年も思ったけど、普段からちゃんと授業聞いてる?って先生からの挑戦状っぽさもあるのがちょっと好き
そんな事を考えてたら目の前でガルロ先輩が懐をガサゴソし始めた…何か探してるのか…?


「………っと、あった、あった!
今年の課題はこれだ!みんな近くへ来てくれ!実際に見てほしい」


ガルロ先輩はおれたちを近くに呼び、懐からある物を取り出した、それはガルロ先輩の手に収まるほどの見たこともない呪文が薄っすら刻まれた小箱…つなぎ目も開け口も無いその箱が課題?


「このなんかよくわからん文字が描かれた箱が今回の課題だ!制限時間…今日の授業終了までに、先生が用意したこの箱を全員で協力し、開けることができれば課題クリアになる」

「…えっと………それには何が入ってるんですか?開け方のヒントとかは…?」

「全くわからない!!、俺たちリーダーとして選ばれた生徒には全員同じような箱が配られているが、全部大きさも色も違っていた、もしかしたらそれぞれ開け方すら違うのかもしれないな…!

先生からの司令はこうだ、学んだ事を活かして見つけ出し、協力して何が何でもこれを開けろ…!これはある意味小テストである!
そして聞いて驚くな?中にはなんと、何かが入っているらしい!!!」



1年生の子が質問した答えに、おおおって皆、同じ反応をする、そうか…何かが入ってる!いや、何かって何!?
そんな事を言ったのは誰だったか…開け方教えてくれたら課題じゃないと、ガルロ先輩豪快に笑うからみんなで笑った
先生が言うには、開けたチームにのみ、その何かを手に入れる事ができ、山分けしていいらしい…
山分けできるものって何?ってみんながどこかわくわくした感じに箱を見つめ直した瞬間、隣のチームで雷が落ちた

ついでにうおおおおって、歓喜の声も聞こえてくる…おそらく、歓声と威力からしてレオンハルト殿下の落雷魔法だろう…雷で箱破壊し試してるのかな?




「…………………まぁ、開けないことには中身を貰えない!他のチームをみてみろ?もう課題は始まってるんだ、俺たちも早速考えるぞ!」


そう言われて改めてみんな箱に集中した

イグニスが聖女と同じチームなのは乙女ゲームと一緒、でも演習課題が違う…ゲームの合同魔法演習って、魔力コントロールでの的あてが課題だった気がするけど…さっき感じた胸騒ぎを今は感じないし…

とりあえず授業の単位にも評価にも関わってくる課題をこなそう、同じチームのみんなに迷惑を掛けるわけにはいかない、おれも意識を課題の箱に向けた






…………………
…………
……





とりあえず箱を全員で回し見る所から始まった

見た目はただの綺麗な箱
授業で習う魔法陣用の文字とも違った見たこともない文字がびっしりと模様の様に書かれている
隣のクラスの女子さんが箱を振ってみたいと振るが音はしない…みっちり何かが入っているのか?それとも何かしらの魔法が掛かっているのか…

周囲からは大きな物音もかなりする為、攻撃魔法で箱を壊して開けようとしているチームも多いんだろう、たぶん
その流れが気になったのか、1年生の子が試しに自分達も攻撃魔法で割れないか試してみたいと、風魔法で箱に攻撃を仕掛けてくれた
流石騎士科って感じにコントロールの取れた鋭い風の刃が箱を襲い、地面が抉れる………



しかし、箱は無傷に見えた



「………これは………僅かな欠けもなく無傷です、あの威力の魔法で傷一つ付かないんですね…力で開けられるものなのか…力では開けられないものなのか……どうなんでしょうね?」


マイズが箱を拾い、みんなに見せるように箱を傾け、撫でているが本当に無傷らしい
周りの爆音からしても、力で開けるのは難しいのか…?呪文の種類が分かれば解呪とかできる人はできるんだろうけどその種類がわからない

おれたちのチームは、周囲の箱を壊そうって爆音響く盛り上がりを他所に、力以外で考えることにした


見た目は木の箱に見える、水に濡れるのか?魔力で作り出した水だったらどうなる?
木材特有の膨張はするのか?傷はつかなくても燃えるのか?
みんなで箱を囲みながら静かに色々箱に対してアプローチしつつ、話し合う…そんな事をしていると、集中している合間合間に自ずと周囲の音声も耳に入ってくる


 
「え?鍛錬場で見せてた技?それは人違いだね、ネオイグニスくん!!!聖女様がキミの素晴らしい拳が箱を粉砕する所見たいって!」

「え、ちがっ…イグニスくんの技が…」

「呼びましたか!!!箱の聖女サマァ!!!」

「箱の聖女ってなによ!?呼んでないわよ!」




………………隣の隣から元気なイグニスの声が聞こえる気がするけど気のせいだろう
必死にネオイグニスくんに香水臭くて嫌だという聖女を押し付けるので必死な声が聞こえるような…なんか漫才みたいな声が…………きっと気のせいだ…たぶん
頑張れイグニス、明日はデザートも奢ってやるから頑張れ

















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