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乙女ゲーム編
抗えぬ感情
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Side ヘルリ
幼い頃、人狼化魔法を実の父に無理矢理サングイス公爵家の庭に迷い込み…そこで救われてからもう十年…
感謝してもしきれないほどボクはルディヴィス様に、シャルティ様に…そしてサングイス公爵家の皆様に現在も救われている
特にボクの主となってくれたルディヴィス様は凄い方だ
幼い頃、実の父により身体に無理に発動を促され、植え付けられた人狼化魔法…差別されるきっかけともなる一部の獣化…
抵抗すれば激痛と共に身体が狼となってしまう…苦痛でしかないその魔法による後遺症はここ数年でほとんどコントロール出来るようになっている
無論、無意識に犬耳や尻尾など出てしまうが、ルディヴィス様が全面的に好意的に受け入れてくれてから、サングイス公爵家ではどの部分が獣化しても可愛いと褒められ、差別されたりする事も無い
無理に抵抗して激痛に泣くことも無い幸せな環境だと言える
自らの意思である程度好きに耳や尻尾、又はちゃんと人狼化すらも出来るようになったのは受け入れてくれる人が居てくれた事も大きい
何よりルディヴィス様が人狼化魔法が安定するようにと、沈静化に特化した闇の魔石をボクの為に作ってくれたから
ボクの首にはサングイス公爵家への忠誠を兼ねて自ら欲しいと希望したチョーカーが付いている
そのチョーカーに装飾品として付けられているのがルディヴィス様が作った魔石だ
チョーカーはボクの誇りであり、大切な存在に生涯仕えるという忠誠心を表した大切な宝物…それを否定される日が来るなんて思ってもみなかった
ましてや優しく素晴らしい淑女であるシャルティ様を否定する言葉を聞くなんて…全く想像していなかったんだ…
「サングイス公爵家に仕えてるヘルリくん…だよね…?」
シャルティ様が課題で必要な物があり…図書館に用事があると、ボクとマイケルさんを連れて図書館に来たことが今思うと少し違和感があった
図書館に着いた瞬間、シャルティ様はこれを探してるのと30冊ほど本のリフトアップをボクに手渡し、そして何故か心ここにあらずといった感じになってしまった
あまりにも急な変化に驚きマイケルはシャルティ様を保健室に連れていき、ボクは必要な本を借りて合流する…そんな役割分担で動き始めた時、背後からこの可愛い声が聞こえたんだ
振り向くとあまりにもキレイな空色の瞳に薄く色付いた唇と頬、こんなにも可愛い女性がこの国に居たのかと驚く程可憐な美少女がボクに話しかけていた
「確かに自分はヘルリ、サングイス公爵家に仕える従者ですが…あなたは…?」
「ふふ…あたしはルチアって言うの、始めまして!この国の聖女なんだ
ねぇ、ヘルリくん…急にごめんね?あたし、キミを助けたくて…話しかけたの…
あたし…知ってるんだこの国を救う聖女だから…ヘルリくんが公爵令嬢に酷い目に遭ってること、辛い思いしてる事…そして人狼化魔法に苦しんでいる事…」
『ニゲナケレバ………』
………………聖女というこの美少女が何を言ってるのか分からなかった
公爵令嬢に酷い目に遭わされている…?誰のことを言っているんだ?ボクが知ってるシャルティ様はそんなんじゃない、優しく素晴らしい淑女だ
辛い思いもずっとしていない…それに人狼化魔法で苦しんでいたのは十年も前の話だ…
「…………っ、申し訳ないです、心当たりが無く…人違いでは無いでしょうか…?」
「ううん、人違いじゃないの…口止めされてるんだよね?あたしにはわかるよ…辛い思いしてる人見るだけで心が辛くなっちゃうから…
それに…その首輪が何よりの証拠…苦しかったよね、辛かったよね…隷属されて無理矢理命令聞くのなんてあんまりにも酷いもの…
でも大丈夫…あたしならヘルリくんを救えるの…怖くないよ、あたしが救ってあげるから…」
『ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ』
ゆっくりと美しい少女が…聖女様がボクに近づいてくる…心の何処かで何か変だと、何かがざわつくのに…何故かその場から動けず、声も出せなかった
どうしたらいいかわからないボクを見上げる位置まで来る聖女…彼女は優しく微笑み華奢な手をボクの首に伸ばし…
そして忠誠を込めた宝物であるチョーカーに触れた
『失敗作が!お前はただの犬に成り下がったのか!?早く人狼化しろ!力を誇示しなければ存在意義を持ち得ない馬鹿息子が!
もう一度だ、殴られたくなかったら早く人狼化しろ!ヘルリ!!!!!』
父さんの声がした…
ミシリと首から嫌な音がした気がする…ボクの大切な宝物が壊されるような嫌な音…
そして身体に流れ込んでくる温かくて気持ち悪くて優しくておぞましい嫌なキラキラした魔力…
痛い、辛い、悲しい、もうやめて…………
不愉快な魔力に思い出したくない感情が溢れ出し、目の前が真っ赤に染まる…もう見る事など無いと思っていた人狼化した時の視界がボクを飲み込んで行く…これは、駄目だ…ダメなんだ…
真っ赤な視界に映る、聖女様の美しい空色の瞳が気持ち悪い…押し倒して、全てを欲し、喰らいたくなるような嫌な気持ちになってしまう
嫌だ、嫌だ…そんなの嫌だ…
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!
『逃げろ!!!!』
脳に声が響き、弾かれたようにボクの身体は動けるようになった
真っ赤な視界は変わらない、人狼化している…でも自分ではもう止められない…止められないんだ…
どうしようもなくボクは走り出す
「え…?ちよっとヘルリくん?どこ行くの!?あたしを押し倒してくれないとダメなのに…ねぇ……!!」
助けて…ルディヴィス様………!!
幼い頃、人狼化魔法を実の父に無理矢理サングイス公爵家の庭に迷い込み…そこで救われてからもう十年…
感謝してもしきれないほどボクはルディヴィス様に、シャルティ様に…そしてサングイス公爵家の皆様に現在も救われている
特にボクの主となってくれたルディヴィス様は凄い方だ
幼い頃、実の父により身体に無理に発動を促され、植え付けられた人狼化魔法…差別されるきっかけともなる一部の獣化…
抵抗すれば激痛と共に身体が狼となってしまう…苦痛でしかないその魔法による後遺症はここ数年でほとんどコントロール出来るようになっている
無論、無意識に犬耳や尻尾など出てしまうが、ルディヴィス様が全面的に好意的に受け入れてくれてから、サングイス公爵家ではどの部分が獣化しても可愛いと褒められ、差別されたりする事も無い
無理に抵抗して激痛に泣くことも無い幸せな環境だと言える
自らの意思である程度好きに耳や尻尾、又はちゃんと人狼化すらも出来るようになったのは受け入れてくれる人が居てくれた事も大きい
何よりルディヴィス様が人狼化魔法が安定するようにと、沈静化に特化した闇の魔石をボクの為に作ってくれたから
ボクの首にはサングイス公爵家への忠誠を兼ねて自ら欲しいと希望したチョーカーが付いている
そのチョーカーに装飾品として付けられているのがルディヴィス様が作った魔石だ
チョーカーはボクの誇りであり、大切な存在に生涯仕えるという忠誠心を表した大切な宝物…それを否定される日が来るなんて思ってもみなかった
ましてや優しく素晴らしい淑女であるシャルティ様を否定する言葉を聞くなんて…全く想像していなかったんだ…
「サングイス公爵家に仕えてるヘルリくん…だよね…?」
シャルティ様が課題で必要な物があり…図書館に用事があると、ボクとマイケルさんを連れて図書館に来たことが今思うと少し違和感があった
図書館に着いた瞬間、シャルティ様はこれを探してるのと30冊ほど本のリフトアップをボクに手渡し、そして何故か心ここにあらずといった感じになってしまった
あまりにも急な変化に驚きマイケルはシャルティ様を保健室に連れていき、ボクは必要な本を借りて合流する…そんな役割分担で動き始めた時、背後からこの可愛い声が聞こえたんだ
振り向くとあまりにもキレイな空色の瞳に薄く色付いた唇と頬、こんなにも可愛い女性がこの国に居たのかと驚く程可憐な美少女がボクに話しかけていた
「確かに自分はヘルリ、サングイス公爵家に仕える従者ですが…あなたは…?」
「ふふ…あたしはルチアって言うの、始めまして!この国の聖女なんだ
ねぇ、ヘルリくん…急にごめんね?あたし、キミを助けたくて…話しかけたの…
あたし…知ってるんだこの国を救う聖女だから…ヘルリくんが公爵令嬢に酷い目に遭ってること、辛い思いしてる事…そして人狼化魔法に苦しんでいる事…」
『ニゲナケレバ………』
………………聖女というこの美少女が何を言ってるのか分からなかった
公爵令嬢に酷い目に遭わされている…?誰のことを言っているんだ?ボクが知ってるシャルティ様はそんなんじゃない、優しく素晴らしい淑女だ
辛い思いもずっとしていない…それに人狼化魔法で苦しんでいたのは十年も前の話だ…
「…………っ、申し訳ないです、心当たりが無く…人違いでは無いでしょうか…?」
「ううん、人違いじゃないの…口止めされてるんだよね?あたしにはわかるよ…辛い思いしてる人見るだけで心が辛くなっちゃうから…
それに…その首輪が何よりの証拠…苦しかったよね、辛かったよね…隷属されて無理矢理命令聞くのなんてあんまりにも酷いもの…
でも大丈夫…あたしならヘルリくんを救えるの…怖くないよ、あたしが救ってあげるから…」
『ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ』
ゆっくりと美しい少女が…聖女様がボクに近づいてくる…心の何処かで何か変だと、何かがざわつくのに…何故かその場から動けず、声も出せなかった
どうしたらいいかわからないボクを見上げる位置まで来る聖女…彼女は優しく微笑み華奢な手をボクの首に伸ばし…
そして忠誠を込めた宝物であるチョーカーに触れた
『失敗作が!お前はただの犬に成り下がったのか!?早く人狼化しろ!力を誇示しなければ存在意義を持ち得ない馬鹿息子が!
もう一度だ、殴られたくなかったら早く人狼化しろ!ヘルリ!!!!!』
父さんの声がした…
ミシリと首から嫌な音がした気がする…ボクの大切な宝物が壊されるような嫌な音…
そして身体に流れ込んでくる温かくて気持ち悪くて優しくておぞましい嫌なキラキラした魔力…
痛い、辛い、悲しい、もうやめて…………
不愉快な魔力に思い出したくない感情が溢れ出し、目の前が真っ赤に染まる…もう見る事など無いと思っていた人狼化した時の視界がボクを飲み込んで行く…これは、駄目だ…ダメなんだ…
真っ赤な視界に映る、聖女様の美しい空色の瞳が気持ち悪い…押し倒して、全てを欲し、喰らいたくなるような嫌な気持ちになってしまう
嫌だ、嫌だ…そんなの嫌だ…
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!
『逃げろ!!!!』
脳に声が響き、弾かれたようにボクの身体は動けるようになった
真っ赤な視界は変わらない、人狼化している…でも自分ではもう止められない…止められないんだ…
どうしようもなくボクは走り出す
「え…?ちよっとヘルリくん?どこ行くの!?あたしを押し倒してくれないとダメなのに…ねぇ……!!」
助けて…ルディヴィス様………!!
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