【書籍化進行中】悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです!こっちに来ないで下さい

たなぱ

文字の大きさ
17 / 174
幼少期編

義兄妹のからの攻撃

しおりを挟む




「ヘルリくん、果物もおいしいですよ?はい、あーん」


「は、はいっ…シャルティ様…!あーん…んむむっ!??!っーー!!!甘い、すごい…おいしい…」


「家の領地で収穫した果物なんだよ、おいしいって言ってもらえると嬉しいね
ヘルリ、口に食べこぼし付いてるよ?拭いてあげるからこっち向いて?」


素直におれの方を向いたヘルリの口元をハンカチで拭いてやる
少しだけ赤くなりながらも嬉しそうに笑う幼く見える少年、それは先程まで帰りたくない、痛いのは嫌だと泣きじゃくっていた少年と同一人物だ

おれは料理を運ぶメイドと共にシャルティが戻ってくるまで、それはもうひたすらによしよししていた
幼い子が好きなランキング第一位、ハグ!!
これは生前より姉が言ってた気がする…不安だからこそ泣くのだと、不安にはぎゅと抱きしめてあげることだと…つまり抱きしめてよしよしするのに限る

効果は恐ろしいほど抜群で、おれにしがみつくようによしよしをねだるくらいには少しだけ心を開いてくれたみたいだった


まだ終わりじゃないんだよヘルリくん
君は将来シャルティだけじゃなくおれたち全員胃の中に収めてしまう可能性を秘めている…
食べたくない、失いたくないと思うほど程おれたちに懐くほど可愛がってあげようじゃないか!
脱私の犬、ようこそ我が家の可愛い犬!


メイドにソファ前の机に軽食を並べてもらい、シャルティに目配せしこの少年は何かの被害者の可能性があるという事、ぼくらで可哀想な心を解きほぐしてあげよう?と言うと、シャルティは素晴らしい笑顔で賛同してくれた
メイドにも並々ならなぬ事情がある事を説明し人助けの為にこれからする事は見なかったことにと口止めをした



そして今に至る



先ずは少年に自己紹介をしてもらい、本当にヘルリ.ラジエだった事が判明した
ここは安全だと何度も説明し、抱き寄せたかいがあり更に少しずつ心を開いてはいるようだった

これは看病だよと説明しながら、ソファでおれより小柄なヘルリを横抱きにし膝に乗せる、シャルティはヘルリと向き合えるようにおれの隣へ座った
父様達に癒しの天使達がいると言わしめるおれたちの可愛がり攻撃をうけてみな…ヘルリ!
そんな気持ちでおれはヘルリの゙頭を撫で、背中をさすり、シャルティは軽食をヘルリにあーんで食べさせるそんな現場が仕上がったのだ


しっかりと普通の貴族も公爵令嬢も人様にあーんはしないけどこれは何かの被害者な少年の心を救う慈善事業だと耳打ちしたので、公爵令嬢としての教育に支障は無い


ある程度そこそこ見目の美しいおれと、最高に可愛いシャルティに甲斐甲斐しく看病される気持ちはどうだい?
食にも飢えているとは思うが、おそらく優しさにも飢えている…と思うのでひたすらに甘やかして看病を続けるとヘルリは再び涙を流す…それは悲しみではなく明らかに喜びだ


「貴族様が…ううっ……こんな、薄汚いボクに優しくしてくれるなんて…ありがどう…ございます…ふぇっ…ぅ゙ぅ゙……」


ボロボロと涙を零す幼く見える少年の様子にシャルティも少し涙ぐむ…優しい子なんだよな本当に…
涙を拭いて、しっかりと抱きしめあげるとヘルリはおれの知らない乙女ゲームの裏側と思われる事を話してくれた…幼い子の言葉をおれが乙女ゲームで知ってる内容とすり合わせる…



ヘルリ.ラジエ
彼の父は国家魔術師騎士で1代限りの爵位を得る程度にかなり優秀な人だった、尊敬できる素晴らしい父親…しかしその優秀さを実の息子にも強く求めてしまう、それが今回の血濡れで倒れる事件に繋がる…
幼いヘルリの身体に実の父は後遺症があると分かっていながら英才教育として人狼化魔法を施したのだ



「痛いと言ってもがまんだって…これはボクが父さんみたいに立派な魔術師になるためのくんれんだって…いたくて、いたくて…理由が分からなくて…たすけてって言ったのに父さんはそんな事もできないのかってボクを叩くんだ…」



耐えきれなくなり、そこから逃げてきたとヘルリは言う
必死に逃げて、逃げて、誰かに助けを求めて…気づいたらベッドの上に居たのだと


そこまで話を聞き、悪役令嬢に隷属の首輪を込みで飼われる事になった原因がわかった気がした
自分の父親を傷付けた事を本人は知らない…しかしヘルリが父親に施された魔法の行使は、行った者が処罰される場合もあるものだ
元々魔法の天才的な才能があり人狼化魔法を使いこなせる訳ではなく、無理矢理植え付けられた魔法が彼を化物に変えたのだろう
自分で制御出来ない植え付けられた魔法は度々暴走する…


憶測に過ぎないが、悪役令嬢に拾われたヘルリは自分が暴走し他人を傷つける人狼という化物になる事を教えられる…それは自らの父や周囲を傷付けたひ酷いもの、そして自分が父の下へ戻れば魔法を幼子に植え付けた父が処罰されるとでも言ったのだろう



『全てを黙っていてあげる、あなたは私の犬になりなさい…私に付き従う可愛い犬に
そうすれば誰も傷つかない、誰も不幸にならないわ…』



何故か頭の中でそんな悪役令嬢のセリフが流れたような気がした…




ある程度思い出してきた…成長したヘルリは従者として付き従う過程でヒロインに出会い、自分は犬ではなく人なのだと…幸せになれる筈なのにと…なんだかんだあって心を救われ断罪とかそんか話だったと思う


その過程で選択肢をミスったBADEND、それは公爵家に捕まりった自分の父から、お前が役立たずだからと言われ心が砕けた結果…暴走
その場にいた全てを喰らいつくし聖女であるヒロインの手によって浄化され死ぬ…あの乙女ゲーム屈指の鬱展開用のストーリーに繋がる


………………………おいおい乙女ゲーム???
あれを神ゲーとか言ってたクソ妹もあれだけど、製作陣????鬱好きの人にも捧ぐみたいなのやめない?



「だから…だからボク…ううっ……がえりだくない………あんな…痛いのいやだぁ………うぅ゙………ぅ゙ぁ゙、ぁ゙ぁ゙、ぁ゙っ………ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ーーーーーー!!!!!!」


話し終えたヘルリは急に震えだし叫ぶ、抱き締めていた身体がガクガクと痙攣し鈍く全身が光る…
シャルティもおれも…何が起きているか解らず見ていることしか出来なかったが…光が収まるとそこにはヘルリが居た


犬耳が生え、手足も犬獣人のようなに肘から先が変化している…どう見ても不完全な人狼化…



「………ヘルリくん、わんちゃんなの?」



シャルティの声が部屋に響く
おれの忘れていたスチル部分の絵がしっかりと思い出される…イケメン従者にも時々生えていた犬耳…



私の犬って本気で犬ってことかー!!!!







言葉に出せずに心の中で叫んだおれは偉いと思う
しおりを挟む
感想 192

あなたにおすすめの小説

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。

フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」  可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。  だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。 ◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。 ◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

処理中です...