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幼少期編
義兄妹のからの攻撃
しおりを挟む「ヘルリくん、果物もおいしいですよ?はい、あーん」
「は、はいっ…シャルティ様…!あーん…んむむっ!??!っーー!!!甘い、すごい…おいしい…」
「家の領地で収穫した果物なんだよ、おいしいって言ってもらえると嬉しいね
ヘルリ、口に食べこぼし付いてるよ?拭いてあげるからこっち向いて?」
素直におれの方を向いたヘルリの口元をハンカチで拭いてやる
少しだけ赤くなりながらも嬉しそうに笑う幼く見える少年、それは先程まで帰りたくない、痛いのは嫌だと泣きじゃくっていた少年と同一人物だ
おれは料理を運ぶメイドと共にシャルティが戻ってくるまで、それはもうひたすらによしよししていた
幼い子が好きなランキング第一位、ハグ!!
これは生前より姉が言ってた気がする…不安だからこそ泣くのだと、不安にはぎゅと抱きしめてあげることだと…つまり抱きしめてよしよしするのに限る
効果は恐ろしいほど抜群で、おれにしがみつくようによしよしをねだるくらいには少しだけ心を開いてくれたみたいだった
まだ終わりじゃないんだよヘルリくん
君は将来シャルティだけじゃなくおれたち全員胃の中に収めてしまう可能性を秘めている…
食べたくない、失いたくないと思うほど程おれたちに懐くほど可愛がってあげようじゃないか!
脱私の犬、ようこそ我が家の可愛い犬!
メイドにソファ前の机に軽食を並べてもらい、シャルティに目配せしこの少年は何かの被害者の可能性があるという事、ぼくらで可哀想な心を解きほぐしてあげよう?と言うと、シャルティは素晴らしい笑顔で賛同してくれた
メイドにも並々ならなぬ事情がある事を説明し人助けの為にこれからする事は見なかったことにと口止めをした
そして今に至る
先ずは少年に自己紹介をしてもらい、本当にヘルリ.ラジエだった事が判明した
ここは安全だと何度も説明し、抱き寄せたかいがあり更に少しずつ心を開いてはいるようだった
これは看病だよと説明しながら、ソファでおれより小柄なヘルリを横抱きにし膝に乗せる、シャルティはヘルリと向き合えるようにおれの隣へ座った
父様達に癒しの天使達がいると言わしめるおれたちの可愛がり攻撃をうけてみな…ヘルリ!
そんな気持ちでおれはヘルリの゙頭を撫で、背中をさすり、シャルティは軽食をヘルリにあーんで食べさせるそんな現場が仕上がったのだ
しっかりと普通の貴族も公爵令嬢も人様にあーんはしないけどこれは何かの被害者な少年の心を救う慈善事業だと耳打ちしたので、公爵令嬢としての教育に支障は無い
ある程度そこそこ見目の美しいおれと、最高に可愛いシャルティに甲斐甲斐しく看病される気持ちはどうだい?
食にも飢えているとは思うが、おそらく優しさにも飢えている…と思うのでひたすらに甘やかして看病を続けるとヘルリは再び涙を流す…それは悲しみではなく明らかに喜びだ
「貴族様が…ううっ……こんな、薄汚いボクに優しくしてくれるなんて…ありがどう…ございます…ふぇっ…ぅ゙ぅ゙……」
ボロボロと涙を零す幼く見える少年の様子にシャルティも少し涙ぐむ…優しい子なんだよな本当に…
涙を拭いて、しっかりと抱きしめあげるとヘルリはおれの知らない乙女ゲームの裏側と思われる事を話してくれた…幼い子の言葉をおれが乙女ゲームで知ってる内容とすり合わせる…
ヘルリ.ラジエ
彼の父は国家魔術師騎士で1代限りの爵位を得る程度にかなり優秀な人だった、尊敬できる素晴らしい父親…しかしその優秀さを実の息子にも強く求めてしまう、それが今回の血濡れで倒れる事件に繋がる…
幼いヘルリの身体に実の父は後遺症があると分かっていながら英才教育として人狼化魔法を施したのだ
「痛いと言ってもがまんだって…これはボクが父さんみたいに立派な魔術師になるためのくんれんだって…いたくて、いたくて…理由が分からなくて…たすけてって言ったのに父さんはそんな事もできないのかってボクを叩くんだ…」
耐えきれなくなり、そこから逃げてきたとヘルリは言う
必死に逃げて、逃げて、誰かに助けを求めて…気づいたらベッドの上に居たのだと
そこまで話を聞き、悪役令嬢に隷属の首輪を込みで飼われる事になった原因がわかった気がした
自分の父親を傷付けた事を本人は知らない…しかしヘルリが父親に施された魔法の行使は、行った者が処罰される場合もあるものだ
元々魔法の天才的な才能があり人狼化魔法を使いこなせる訳ではなく、無理矢理植え付けられた魔法が彼を化物に変えたのだろう
自分で制御出来ない植え付けられた魔法は度々暴走する…
憶測に過ぎないが、悪役令嬢に拾われたヘルリは自分が暴走し他人を傷つける人狼という化物になる事を教えられる…それは自らの父や周囲を傷付けたひ酷いもの、そして自分が父の下へ戻れば魔法を幼子に植え付けた父が処罰されるとでも言ったのだろう
『全てを黙っていてあげる、あなたは私の犬になりなさい…私に付き従う可愛い犬に
そうすれば誰も傷つかない、誰も不幸にならないわ…』
何故か頭の中でそんな悪役令嬢のセリフが流れたような気がした…
ある程度思い出してきた…成長したヘルリは従者として付き従う過程でヒロインに出会い、自分は犬ではなく人なのだと…幸せになれる筈なのにと…なんだかんだあって心を救われ断罪とかそんか話だったと思う
その過程で選択肢をミスったBADEND、それは公爵家に捕まりった自分の父から、お前が役立たずだからと言われ心が砕けた結果…暴走
その場にいた全てを喰らいつくし聖女であるヒロインの手によって浄化され死ぬ…あの乙女ゲーム屈指の鬱展開用のストーリーに繋がる
………………………おいおい乙女ゲーム???
あれを神ゲーとか言ってたクソ妹もあれだけど、製作陣????鬱好きの人にも捧ぐみたいなのやめない?
「だから…だからボク…ううっ……がえりだくない………あんな…痛いのいやだぁ………うぅ゙………ぅ゙ぁ゙、ぁ゙ぁ゙、ぁ゙っ………ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ーーーーーー!!!!!!」
話し終えたヘルリは急に震えだし叫ぶ、抱き締めていた身体がガクガクと痙攣し鈍く全身が光る…
シャルティもおれも…何が起きているか解らず見ていることしか出来なかったが…光が収まるとそこにはヘルリが居た
犬耳が生え、手足も犬獣人のようなに肘から先が変化している…どう見ても不完全な人狼化…
「………ヘルリくん、わんちゃんなの?」
シャルティの声が部屋に響く
おれの忘れていたスチル部分の絵がしっかりと思い出される…イケメン従者にも時々生えていた犬耳…
私の犬って本気で犬ってことかー!!!!
言葉に出せずに心の中で叫んだおれは偉いと思う
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