魔族の嫁になった僕

たなぱ

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魔族と僕と捕虜

5.僕は本当に兵士だった?

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イかされ過ぎて意識を失った僕が、次に目が覚めたら…お風呂ではなく目の前に広がる美形な魔族の顔面とご対面でした


え、睫毛長い…いやそうじゃない


一応僕、捕虜だよね?そういえば…なんで牢屋みたいな所から豪華な部屋に連れてかれて、快楽拷問っていうのはされてたけどさ…それにしても起きたら魔族の人と一緒に寝てるの?捕虜って何?
目の前にはレベリアの寝顔…向かい合うように腕枕されて一緒にベッドの中、もちろん服は着てない…なんでかレベリアも着てない互いに全裸だ
気絶してる間に本当にお風呂に入れてくれたのか汗とか色々ナニでベタベタするわけでもなくスッキリしてる…でも捕虜の扱いってこれで合っているんだろうか…?

混乱するけどレベリアを起こしていいのか悩む、赤い目は今は閉じられていて規則的な寝息が聞こえてくる、敵を前に寝ててもいいのだろうかと言う気持ちもあるが、飲み込むくらい目の前の魔族に見惚れてしまうのは僕のせいではないと思う。
魔族って顔の造形が美術品なのだろうか…下手すると我が国の貴族の皆様よりも整ってる…
よく考えると手足の拘束もされていなかった、この状況から脱走を選ぶことも魔族死すべしと自爆することもせず、僕が選んだのは目の前の魔族が起きるまでひたすらに顔を眺めることだった


しばらく眺めていると不意にレベリアの瞼が動き赤い目が僕を見つめてくる、じっくり赤い目もみれてなかったなー…と、じっと見つめていると赤い目も透き通るくらい綺麗だ
猫のように瞳孔が縦に長いこともわかった、吸い込まれそうな瞳を見つめているとレベリアが優しく微笑む…

どうしてそんな愛おしそうに僕を見るんだろう、敵なのに捕虜なのに…捕虜になってからおかしくなってしまったのかもしれない、僕に微笑んでくれるレベリアが綺麗で離れたくなくて気がついたら自分からキスをしていた




ちゅっちゅっとレベリアも拒否せず僕からのキスに応えてくれる、もっと深いキスしたい気持ちいいこと辛い筈なのにお腹のあたりがむずむずするのはなんでなんだろう


「っ、シャル身体は大丈夫ですか?甘えた顔も本当にかわいい…自分からキスしてくれるなんて予想外ですね」

「ちょっと、ちんちんヒリヒリする…けど平気です…」

身体労わってくれる優しい…素直に答えないとって気持になってしまう

「いっぱい掻き回して刺激してしまいましたからね、後でお薬塗りましょう。
その前に…仕事は終わらせないと…術式の効果は消えていると思います、今度こそシャルが知ってること話してくれますか?」


そうだ、僕は捕虜、拷問されて国の情報を吐くなんて立派な裏切り行為だ…でも、それよりもレベリアに嫌われたくない…互いのこと何も知らないのに…
人の国に帰ることは許されない身になる。野垂れ死ぬかもしれない…それでも…ああ、僕が話してしまうことがバレたら母さんは村の皆んなはどうなるんだろう…こわい、知ってることを話すから僕を嫌わないでほしい…できることなら母を村の皆んなをこの優しい魔族なら守ってはくれないだろうか…



「わかりました…僕が知ってることは全てお話します。でも代わりにお願いしたいことがあります」


訴えかけるようにレベリアを見る
捕虜が何いってんだって思われたかもしれない
それでも彼ならと何故か期待してしまう


「お願いは内容によりますけど、可能な限り叶えましょう」


やっぱり彼は優しい。じんわり胸が熱くなるまま知ってることを話した








僕はオーランシア国の田舎に済む農民だったこと、国と国の聖教会から魔族と戦う新しい軍備として魔力は高いが魔術は使えない者達による特殊歩兵部隊に選ばれたこと
魔術を使うには訓練が必要だがその訓練がいらない即戦力の画期的な方法らしい
当初の説明では配布される魔具に魔力を込め魔族に使うだけの仕事、魔族に近づき爆破せよと
戦場の最前線に命を投げ捨てにいく筈なのに、僕の気持ちは早く爆破したい命を投げ捨てたいと霞がかったような気持ちで晴れやかだったこと
選ばれた僕に対して何故か母も村の皆も栄誉なこと、死んで帰ってきてくれと泣きながら笑顔で話していたことも思い出して話した
喉の術式は同じように集められた特殊歩兵部隊と共に聖教会で今思うと、自ら口を開け喉に術式を纏った焼印を押していただき感謝を述べていた気がする…激痛をもすぐに治癒してくださる聖女様に神々しさを覚えた記憶がある

でも僕だけは徐々に周りと気持ちの差が出てしまった、何故か分からない
実際戦場に立ち仲間たちが笑いながら国を讃え魔力を込めた魔具と共に魔族を道連れに自爆する中で僕だけは足がすくみこの光景が現実なのかわからなくなって、死は名誉の筈なのに怖くて死にたくなくてその時にレベリアと目が合った、そこから今に至ることを話した

特殊歩兵部隊がどんな魔具を与えられていたのかもどんな作戦だったのかも知らない、魔族に対して有益な情報を僕は持っていないんだ…

話せることを全て話しててなんて言われるんだろ、捕虜にして損したとか言われるかもしれない…用済みだと食われるのだろうか?レベリアを見れない、前を向けなくて僕は俯いてこの先のことを想像し絶望していた




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