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第8章 さよならの予感
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「ゆ、雪子!!」
「さか…いさん。…だい、じょう……ぶ」
雪子は、額から赤い血がトロリと流れてきて俺を見つめたけど、肩を支えている俺の手にまで生温い血が流れてきた。雪子は衝撃と痛みで、そこで気を失ってしまうと、
「雪子!おい!雪子ぉ!」
と叫びながら、俺は雪子を力一杯抱きしめた。後ろで、西片も驚いて座り込み、腰を抜かしていた。
命の危険がある。
そうだよ。いつも何かしら事件が起こって、狙われることなんか頻繁だし、怪我なんか日常茶飯事だそう狙われたりするのは、いつも俺なんだ。
なのに、なんでお前が傷つけられるんだよ。
俺の前で。
刑事である俺の目の前で、好きな女が襲われた。…こんなこと…!
「さか…い、さん…?」
門の前で腰を抜かしている西片も、動揺して動けないでいた。俺は西片の方を一度も見ることなく、そのまましばらく雪子を抱きしめて、俯いていた。
*
雪子は錦糸町にある病院に運ばれて、頭に数針縫っただけで命に別状はなかった。が、脳を調べるために大事をとって、入院することになった。
そして次郎さんと真波さんが俺が所属する署にやってきた。応接室に2人が並んで椅子に座り、俺は2人の前で椅子に座らず、壁際に立って俯いていた。次郎さんの方から、
「交際を断固反対します。その理由は、もうお分かりですよね」
と言い出すと、真波さんは何も言わず無言でため息をついた。
「さか…いさん。…だい、じょう……ぶ」
雪子は、額から赤い血がトロリと流れてきて俺を見つめたけど、肩を支えている俺の手にまで生温い血が流れてきた。雪子は衝撃と痛みで、そこで気を失ってしまうと、
「雪子!おい!雪子ぉ!」
と叫びながら、俺は雪子を力一杯抱きしめた。後ろで、西片も驚いて座り込み、腰を抜かしていた。
命の危険がある。
そうだよ。いつも何かしら事件が起こって、狙われることなんか頻繁だし、怪我なんか日常茶飯事だそう狙われたりするのは、いつも俺なんだ。
なのに、なんでお前が傷つけられるんだよ。
俺の前で。
刑事である俺の目の前で、好きな女が襲われた。…こんなこと…!
「さか…い、さん…?」
門の前で腰を抜かしている西片も、動揺して動けないでいた。俺は西片の方を一度も見ることなく、そのまましばらく雪子を抱きしめて、俯いていた。
*
雪子は錦糸町にある病院に運ばれて、頭に数針縫っただけで命に別状はなかった。が、脳を調べるために大事をとって、入院することになった。
そして次郎さんと真波さんが俺が所属する署にやってきた。応接室に2人が並んで椅子に座り、俺は2人の前で椅子に座らず、壁際に立って俯いていた。次郎さんの方から、
「交際を断固反対します。その理由は、もうお分かりですよね」
と言い出すと、真波さんは何も言わず無言でため息をついた。
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