俺は善人にはなれない

気衒い

文字の大きさ
上 下
62 / 416
第5章 クラン拡大

第62話 ケンタウロス

しおりを挟む
――――――――――――――――――――

ケープ
性別:女 種族:ケンタウロス族 年齢:23歳

Lv 50
HP 4600/4600
MP 4000/4000
ATK 4756
DEF 4539
AGI 4442
INT 4187
LUK 4300

固有スキル
群雄割拠・騎笛・千軍万馬・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???

武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX

魔法
全属性魔法

装備
黒衣一式(神級)
小麦色の舶刀カートル(上級)

称号
戦神の加護・騎士道・上下関係・貫く者・傅く者・恋する乙女・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・生真面目

――――――――――――――――――――

群雄割拠
味方が多ければ多いほど、全ステータスに補正がかかる。

騎笛
味方の士気を上げる。また、士気が下がらぬ限り、味方の全ステータスが1.2倍になる。

千軍万馬
多くの者を指揮下に入らせることができ、自身が率いて、戦いに赴く時、味方の全ステータスが1.5倍になる。

戦神の加護
戦神マールスの加護。ATKの値に補正。

騎士道
曲がったことが大嫌いな者に贈られる称号。DEFの値に補正。

上下関係
上下関係に厳しく、メリハリがしっかりしている者に贈られる称号AGIの値に補正。

貫く者
自分の決めた道を貫いている者に贈られる称号。全ステータスに補正。

――――――――――――――――――――



私は以前、ケンタウロス族が暮らす里で戦士見習いをしていた。自分で言うのも何だが、私は歴代で一番才能があったらしく、皆から将来はケンタウロス族を引っ張っていく存在だと期待されていた。ケンタウロス族は基本プライドが高く、自身よりも強い者でなければ、言う事など一切聞かない程であったが、そんな中、私の発した言葉は浸透性がとてもあり、狩りや合同鍛錬などがスムーズに行われることが多かった。また他種族に対して、敵対心を抱いている節がある為、商人や貿易も寄せ付けず、どんどん閉鎖的になっていき、ますます自給自足に拍車がかかっていた。私はそんな生活に嫌気が差し、本当に他種族は自分達が思っているようなものなのか、世界を回って確かめてみようと決意し、ある日、里を出た。誰にも何も告げずに……………

――――――――――――――――――――





「は?急にいなくなって、ひょっこり戻ってきたと思ったら、今度は自分の部下になれだと?しかもどこの馬の骨とも知れない奴のクランにも入れって?」

「ああ」

私は今、自分の生まれ故郷に戻ってきていた。シンヤ様に発表された上司であるローズさんと一緒に。理由は単純明快。同族である仲間達を私の組に入れようと思ったからだ。

「私達が一体、どれほど心配したか分かっているのか?ある日、急に居なくなって………残された方の気持ちを考えたことがあるのか?」

「……………」

「何故、この里を急に飛び出した?」

「…………他種族のことを知りたかったし、他の食への興味もあった。また、自分の強さがどれくらい通用するのか試したかった。あとは自分が忠誠を誓う主との出会いを求めていたのも事実だ。ひっくるめて言うと…………世界の広さを知りたかったんだ」

「………そういうことか」

「みんな、本当にすまない!この度は心配と迷惑をかけた!!しかし、私のこの行動は決して無駄ではなかった!私は遂に出会うことができたんだ!仕えるべき主に!」

「仕えるべき主だと…………?」

「ああ。里を出て、少しした頃、黒ローブを纏った怪しげな連中が複数の少女達を無理矢理どこかに連れていこうとするのを見かけた私はそれを阻止しようとした。だが、数の暴力には敵わず、逆に私が捕らえられる形となってしまった。そして、少女達が無事に逃げ切れたのを確認した私は薬で眠らされた後、気が付けば、シリスティラビンという迷宮都市のオークションに出品されていたんだ。それでこんなところで私の旅は終わるのか………と半ば諦めかけていたところ、運良くあの御方と出会ったのだ」

「あの御方?」

「今、冒険者達の間で話題沸騰のクラン"黒天の星"、そのクランマスターであらせられる"黒締"シンヤ様だ!!」

「…………?誰だ?」

「ガーン!………な、何故………一体、何故、シンヤ様を知らないんだ………ローズさん、なんでなんだ?」

「いや、そりゃそうでしょ。あんたの仲間のケンタウロス族って、この里でずっと暮らしていて、閉鎖的なんでしょ?だったら、外の情報なんて入ってくる訳ないわよ………ってか、話題沸騰のクランって………自分も所属しているのによく恥ずかしげもなく、言えたわね」

「言わないでくれ………今、思い返して顔が熱くなってきた」

「おい、2人だけで話を進めるな!ってか、よく見たら、お前は他種族、それも忌むべき種族と言われたダークエルフじゃないか」

「それがどうしたのよ?」

「ふんっ、お前みたいなのがなぜ、ケープに"さん付け"で呼ばれている?」

「それはそうでしょ。なんたって、ワタシはケープの上司なんだから」

「ケープの………上司だと?」

「そうよ。ちなみに当たり前だけど、ケープよりもワタシの方が強いから」

「冗談も休み休み言え。何を言うかと思えば、他種族のそれも………っ!!」

「あら?咄嗟に後ろに下がるとは…………少しはやるじゃない。ケープの見る目も間違ってなさそうね」

「本当か、ローズさん?」

「ええ」

「貴様………!!」

「言っておくけど、一度は許したんだから、感謝して欲しいわ。でも、二度目はないから。ワタシの前で種族のことを持ち出して、侮辱してくるのなら………容赦はしないわ」

「!!」

「ケープ、ごめんね。こいつら、少しだけお灸を据えてもいい?」

「ああ、やっちゃってくれ!こいつらも知った方がいいんだ…………世界の広さを」

「じゃあ、許可も貰ったところで始めましょうか」

「おい、みんな!こいつはやばいぞ!全力でかかれ!」

「果たして耐えられるかしら?…………"恐呪"」

――――――――――――――――――――




「ぐぅぅ………」

「た、助けて」

「苦しい………」

「お腹いっぱい…………」

「どうかしら?これで思い知った?ワタシの恐怖を」

「ローズさん………なんか思っていたのと違うんだが」

「へ?どうして?」

「だって、みんなお腹を押さえて仰向けに寝転がって呻いているだけじゃないか!これじゃあ、まるで食後にマラソンでもして苦しんでいるみたいだ!」

「だって、そういう呪いをかけたもの」

「なにその地味な呪い!?ってか、そんな呪いがあるんだ!?」

「ローズ殿と言ったか?すまん!今までの非礼を詫びよう」

「まぁ、反省したのなら、別にいいわ」

「結構効いてる!?」

「まさか、これほどの猛者がいるとは………世界はこんなにも広いのだな。種族なんかに拘っていたのが馬鹿みたいだ」

「確かに拘るのなら、種族なんかじゃなくて、お前達の倒され方だよ」

「ふっふっふ…………ちなみにワタシは10人いる幹部の中では最弱よ」

「な、なんだと!?」

「なにこの寸劇!?」

「巷で"灰剋はいこく"と呼ばれるワタシもクランの中では新参者の部類…………アンタもウチでなら、色んなことを学べるんじゃないかしら?」

「た、確かに………」

「あれ?ローズさん?なんで、あなたが主導権を握っているんだ?これ、一応、私がやらなきゃ駄目なやつ………」

「で、どうなのかしら?入りたいの?それとも入りたくないの?」

「は、入りたい!ローズさんのような猛者が勢揃いしているクランなら、私達も何か掴める気がする!」

「なんか気付かない内に解決してる!?」

「よし、それじゃあ…………あとはケープ、お願い」

「いや、思い出しようにここで私に振られても!?これ、シンヤ様から頂いた任務、ほぼ失敗だよな!?だって、決まりかけてるじゃん!」

「いや、これはアンタのおかげで決まったも同然よ……………そうしないとワタシがティアに怒られるんだから…………ボソッ」

「今、確実に本音を呟いたな!?」

「…………ケープ、確かにローズさんの凄さに若干絆されたところはある。しかし、そもそもお前のその気持ちがなければ、私達は着いていこうとは思わない。だから、お前の口から、ちゃんと言ってくれ」

「…………分かった。じゃあ、改めて言う…………クラン"黒天の星"に入り、私の組のメンバーとして、よき活躍をしてくれるか?」

「「「「「喜んで!!!!!」」」」」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

処理中です...