俺は善人にはなれない

気衒い

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第5章 クラン拡大

第61話 魚人

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フェンド
性別:男 種族:魚人族(龍魚種) 年齢:21歳

Lv 50
HP 4500/4500
MP 4200/4200
ATK 4614
DEF 4787
AGI 4059
INT 4023
LUK 4100

固有スキル
魚化・万全態勢・超音波・螺役・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???

武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX

魔法
全属性魔法

装備
黒衣一式(神級)
空色の銛トリアイナ(上級)

称号
水神の加護・幻獣種・虐げられし者・諦めぬ者・傅く者・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・努力家

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魚化
20分間、DEFとAGIが1.5倍になる。クールタイムは6時間。

万全態勢
HPが満タンの時、全ステータスが1.3倍。

超音波
1日2回まで使用可能。周囲1キロの状況が分かる。

螺役かいやく
1日1回しか使用できない。味方の全ステータスが1.5倍になる。

水神の加護
水神アプカルルの加護。MPの値に補正。

諦めぬ者
自身の境遇に負けず、新たな目標を立てて邁進している者に贈られる称号。HPの値に補正。

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オイラは魚人族の中でも珍しい龍魚種として生まれた。幼い頃から、見た目や特徴が他とは異なるというだけの理由でいじめや迫害を受けてきたんだが、幸い、魚人族は海の中と陸上の両方で生活することができた為、怖い思いをしそうになった時は陸に上がって森の中に逃げ込んでいた。そんなオイラを好ましく思わない同族達は何とか隙をついて、酷いことをしようと常日頃から企んでいたんだ。そして、オイラの運命を変えたあの日がまもなく、やってきた。そいつらは陸に上がって、今まで見たこともない黒ローブの集団と何やら取引のようなことをしていた。その場面をたまたま目撃してしまったオイラは運悪く近くの小枝を踏んでしまい、音で木陰に隠れていることがバレてしまった。その後、同族達に取り押さえられたオイラは黒ローブの集団によって、迷宮都市と呼ばれる場所まで連れていかれ、オークションに出品されてしまったのだ。最後に見た同族達が黒ローブからお金のようなものを受け取っていたのは凄く印象的だった。

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「このあたりの筈だ」

「そうですか、兄貴」

シンヤ様から発表されたオイラの上司はドルツの兄貴だった。現在、オイラ達はシリスティラビンからそう遠くない街、フランベにほど近い森の中にいた。なぜ、そんなところにいるのか。これにはちゃんとした理由がある。フランベに着いて早々、ギルドへと向かったオイラ達はそこで盗賊の張り紙を見つけたのだが、兄貴が言うにはそれがなんか妙なんだと。推奨ランクで言えば、Aランク。なのに懸賞金が一切かけられておらず、討伐したとしても冒険者側には何のメリットもない、言わばボランティア状態。その為、この盗賊を討伐しようとする物好きなんかいるはずもなく、数年間このままの状態で残っているらしい。さすがに鈍感なオイラでもそれはおかしいと違和感を感じていたのだが、兄貴が感じたのはそこではなく、どうやら盗賊団の名前みたいだ。何でも兄貴は冒険者になる前、情報屋の仕事をしていて、その際にその盗賊団の名前を聞いたことがあるらしい。で、その名前に引っ掛かりを覚えた兄貴の勧めで盗賊団のアジトへと向かうことになったのだ。

「ここだな」

「ちゃんと見張りがいますね、兄貴」

森の中にあった洞窟。そこがその盗賊団のアジトだった。入り口には2人の見張りがいて、常に警戒態勢でいるみたいだ。

「いいか?今回の盗賊はレベル上げの時と違って、殺さずに無力化するんだ」

「はい、兄貴!」

「じゃあ、ここから先はフェンドに任せるが、ボスのところまで辿り着いたら一旦軽く奴らと話をさせてくれ」

「分かりました」






「おい、何事だ?」

「す、すみませんお頭!何やら、侵入者が入り込んだみたいで」

「侵入者だと?見張り番は一体、何をしていた?」

「そ、それが………っ!!」

「邪魔するぞ」

「失礼」

「き、貴様ら、一体何者だ!?」

「人に名を尋ねる時はまず自分からだが………お前らの自己紹介は必要ない。少し知っているからな。白虎盗賊団。指名手配されているのにも関わらず、何故か懸賞金のかけられていない盗賊団だ」

「…………そんなものはギルドの張り紙を見れば、誰でも分かることだ。知っている内には入らない」

「おっと失礼。じゃあ、お前らの本当の顔を当てた方が早いか」

「…………何だって?」

「白虎盗賊団。獣人族の白虎種の男、ライアンが頭を務める盗賊団。盗賊団と謳ってはいるが、実はその正体は犯罪に手を染めた冒険者や極悪非道な行いをした貴族のみを狙って襲う集団でフランベの街の領主からも黙認されている義賊に近い集まりだ。その為、懸賞金がかけられることはないが、かといって洞窟を拠点とし、第三者から見れば間違いなく盗賊だと思われる風貌をしている者達を素直に義賊として認めてしまっては街・ギルド側としても体裁が悪い。落とし所として、ギルドに一応、盗賊団として張り紙はするが、冒険者達に手を出させない為に懸賞金をかけずに放置。お前らはのびのびと大罪人を処分することができる。おそらく、街側から情報や金が送られてくる為、お前らの活動に支障はきたさないようになっているんだろう。まぁ、俺が知っているのはこのくらいだな…………これ以上は何も知らん」

「いや、十分知ってるじゃねぇか!何でそんなに詳しいんだよ!」

「まぁ、これでも情報屋を生業としていたことがつい最近まであったもんでね」

「情報屋?…………ってか、ちょっと待て。お前らのその服装とクランマーク………まさか、最近話題の"黒天の星"か!?」

「よく知ってるな」

「そりゃあ、どこにいて何の仕事をしていようと情報が最も大事ってことに変わりはねぇ。でも、なるほどな。そういえば、"黒天の星"で元情報屋が幹部を務めているって聞いたことがあるな。確か、"緑偵"ドルツだったか」

「ご名答」

「んで、そんな今、注目のクランの幹部が一体何の用だ?」

「悪いが用があるのは俺じゃなくて、こいつだ」

「なるほど、お前の連れの魚人族か。そういえば、さっきからチラチラと横に堂々と腕組みをしながら、立っているのが目に入っていたな……………って、ちょっと待て。ま、まさか、お前も俺達の正体に気付いた切れ者なのか!?だとしたら、その悠々とした態度も納得がいく」

「いや、オイラは何も知らんかったよ」

「いや、知らないんかい!じゃあ、その堂々とした態度は何だったんだよ!」

「いや、次から次へと飛び出す衝撃の事実に面食らっていただけだけど?」

「棒立ちしていただけかよ!なんか、おかしいとは思ったわ!だって、お前の目、ずっと見開きっ放しだったからな!」

「いや~そこまで言われると照れるな」

「褒めてねぇよ!お前の思考回路はどうなってんだ!?」

「あ、本題いいか?」

「急な切り替わり!?怖っ!!」

「話聞いていて分かったんだけどよぉ、お前いい奴だな…………ってことでオイラの部下になってくれ」

「いや、どういうことだよ!急展開すぎて、着いていけねぇから!」

「嫌なのか?」

「いや、別に嫌ってことは………」

「じゃあ、決まりだな!よっしゃー」

「だから、俺の話を聞け!」
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