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ラズが学院に入ってから、ドルシネアがしょんぼりしていたのでたくさん可愛がってあげたら、あっという間に妊娠が発覚した。絶対男の子がいい、と言っていたドルシネアも、無事生まれてきてくれたらどんな子でも可愛いというようになって、安心した。
ラズは学院で頑張っているようなんだが、毎週手紙がくる。
最初の週に来た手紙から、問題は巻き起こっていた。
なんでも初日から男爵令嬢如きが首席なんておかしい、と高位の貴族子息から絡まれたようだ。まあ、そうだろうなと思い、高位貴族は立てて適当に受け流し、テストは男爵令嬢らしく全力を出すなと返事を出した。難しいことを言ってるとは思う。普通は全力を出していけと言いたいところだが。俺の娘、チートすぎるから。
次の週には、魔法の実技で令息達に絡まれ、集団で的にされたと書いてきた。
女の子に向かってなんてことをするんだ、貴族の風下にもおけん奴らめ!と学院に抗議の連絡を入れようとしたら、学院から時間差で手紙が来た。
====
前略
先日、ボンゴーレ子爵令息とその愉快な仲間達が、風魔法でスカートめくりなどでラズマリーナ嬢を含む女生徒達に破廉恥な嫌がらせをしたところ、全員のベルトがはじけ、ズボンがずり落ちるという事件がありました。女生徒たちに事情聴取をしたところ、ラズマリーナ嬢が『目には目を、恥には恥を』と言い、やり返したようです。
ボンゴーレ子爵令息達は入学早々から素行が悪くいくつか抗議も来ていたので、この件はケガなどの被害もなかったと言うことから、なんとか学院内で収めました。
しかし、その後の魔法実技の時間で、子息たちが復讐を仕掛けました。魔法の的当ての練習中にラズマリーナ嬢を狙ったようです。それに気がついた教師が慌てて相殺したのですが、なぜか彼らの放った魔法がそっくりそのまま自分に戻っていったのです。教師がラズマリーナ嬢に聞いたところ、『目には目を、的には的を』と言ったそうです。
察するところ、的返し、あるいは反射魔法を使ったのではないかと教師は言っていますが、ラズマリーナ嬢の魔力は微量の聖魔法と中クラスの雷魔法の使い手だと聞いています。今後のクラスで魔力量と属性の再検査を実地しますのでご了承のほどをよろしくお願いいたします。
ちなみに、子爵令息を含む5人の令息は、女生徒一人に対する悪質な悪戯という理由でひと月の停学処分になり、また星をそれぞれ一つづつ無くしました。ご存じのとおり、学院在学中、生徒には五つの星を保持しています。悪質な問題を起こす度に星は一つずつ減り、また功績を上げれば星が増えるという仕組みになっており、これは卒業後の就職にも影響を及ぼします。
ラズマリーナ嬢は首席入学にもかかわらず、その他の能力が平均的という結果で、現在教師陣の中にも疑問が出ています。現在のところ星は5つですが、事件に巻き込まれているのか、事件を引き起こしているかにより能力の再検査をすることが決まりました。虚偽の能力申告は星の減点評価に反映しますので、ご理解のほどお願い申し上げます。
====
「……カルトロ、ラズの能力値の底上げとか、お前していないよな?」
「……は?何のことでしょう」
「いや、学院からこんなものが届いたんだけどさ?」
学院からの手紙をカルトロに見せると、何の事だかと言っていたカルトロの表情がアルカイックスマイルに変わった。……こいつ。
「まさかとは思うけど、淑女教育に暗部教育とか入れてないよな?」
「ほほほ………まさか」
「学院中退とか、令嬢にあるまじき事にならないよな?」
「……ちょっと王都まで、出張してもよろしいですかね?」
「……隠蔽は完璧にな…」
「は」
汗だくになったカルトロが消えると、俺はドルシネアの待つ寝室に向かい、行為に没頭することにした。
数日後、カルトロは対処はバッチリですといい笑顔で帰ってきた。どうバッチリなんだか、聞きたいけど聞きたくないという心境でその場はうやむやにしたものの、次の週にラズから来た手紙で頭を抱えた。
『婚約を申し込まれたけど、どうしたらいい?』
……なぜ、学院に入って1ヶ月程度で婚約の申し込みがあるんだ?うちの子が可愛いのは認めるがな!
「申し込むならコッチに顔見せろや、ワレ」と、ドルシネアが放電し始めたので、慌てて押し倒して一晩頑張った。
次の日に「お父様に溺愛されているので無理」と言え、と書いて出した。
その次の週には、第3王子から決闘を申し込まれたから、がんばります。ときて、そのまた次には、「全然弱かったので、フルボッコにしたら、騎士団長の息子とか魔術師団長の次男とかが出てきて、弱いものいじめだと詰られた」と来た。
……どうしろっちゅうんじゃ、これ。
とりあえず、か弱い男爵令嬢のフリをして亡き真似をしたら誤魔化されないだろうかと書いた。今更だがな。多分無理だよな。でも第3王子、ナンチャッテ男爵の成り立ち知らないのか?国の歴史だろ。これくらい覚えておけよな。自分とこの影に喧嘩売ってどうすんだ。
そしてその次の週には、全員手下になった、と手紙が来た。
待て待て待て。手下って、手下って。仮にも王子を手下にするな。
ドルシネアはラズを学院に入れたくないと散々言っていたが、これは聞き入れた方が良かったのではないだろうか。
そうこうしているうちに、王家から手紙がきた。
ちょっと顔見せてくれるかな?なんていうようなことが書いてある勅命だった。
「カルトロっ!貴様、一体王都でなにをしてきたんだっ!?」
「いえ、あの。ラズ様には聖女らしく、特別扱いをせず博愛意識を持てと。王子たちには味方陣営に入れておいた方が得だぞと」
「いらんことすなぁあああっっ!!!」
ラズは学院で頑張っているようなんだが、毎週手紙がくる。
最初の週に来た手紙から、問題は巻き起こっていた。
なんでも初日から男爵令嬢如きが首席なんておかしい、と高位の貴族子息から絡まれたようだ。まあ、そうだろうなと思い、高位貴族は立てて適当に受け流し、テストは男爵令嬢らしく全力を出すなと返事を出した。難しいことを言ってるとは思う。普通は全力を出していけと言いたいところだが。俺の娘、チートすぎるから。
次の週には、魔法の実技で令息達に絡まれ、集団で的にされたと書いてきた。
女の子に向かってなんてことをするんだ、貴族の風下にもおけん奴らめ!と学院に抗議の連絡を入れようとしたら、学院から時間差で手紙が来た。
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前略
先日、ボンゴーレ子爵令息とその愉快な仲間達が、風魔法でスカートめくりなどでラズマリーナ嬢を含む女生徒達に破廉恥な嫌がらせをしたところ、全員のベルトがはじけ、ズボンがずり落ちるという事件がありました。女生徒たちに事情聴取をしたところ、ラズマリーナ嬢が『目には目を、恥には恥を』と言い、やり返したようです。
ボンゴーレ子爵令息達は入学早々から素行が悪くいくつか抗議も来ていたので、この件はケガなどの被害もなかったと言うことから、なんとか学院内で収めました。
しかし、その後の魔法実技の時間で、子息たちが復讐を仕掛けました。魔法の的当ての練習中にラズマリーナ嬢を狙ったようです。それに気がついた教師が慌てて相殺したのですが、なぜか彼らの放った魔法がそっくりそのまま自分に戻っていったのです。教師がラズマリーナ嬢に聞いたところ、『目には目を、的には的を』と言ったそうです。
察するところ、的返し、あるいは反射魔法を使ったのではないかと教師は言っていますが、ラズマリーナ嬢の魔力は微量の聖魔法と中クラスの雷魔法の使い手だと聞いています。今後のクラスで魔力量と属性の再検査を実地しますのでご了承のほどをよろしくお願いいたします。
ちなみに、子爵令息を含む5人の令息は、女生徒一人に対する悪質な悪戯という理由でひと月の停学処分になり、また星をそれぞれ一つづつ無くしました。ご存じのとおり、学院在学中、生徒には五つの星を保持しています。悪質な問題を起こす度に星は一つずつ減り、また功績を上げれば星が増えるという仕組みになっており、これは卒業後の就職にも影響を及ぼします。
ラズマリーナ嬢は首席入学にもかかわらず、その他の能力が平均的という結果で、現在教師陣の中にも疑問が出ています。現在のところ星は5つですが、事件に巻き込まれているのか、事件を引き起こしているかにより能力の再検査をすることが決まりました。虚偽の能力申告は星の減点評価に反映しますので、ご理解のほどお願い申し上げます。
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「……カルトロ、ラズの能力値の底上げとか、お前していないよな?」
「……は?何のことでしょう」
「いや、学院からこんなものが届いたんだけどさ?」
学院からの手紙をカルトロに見せると、何の事だかと言っていたカルトロの表情がアルカイックスマイルに変わった。……こいつ。
「まさかとは思うけど、淑女教育に暗部教育とか入れてないよな?」
「ほほほ………まさか」
「学院中退とか、令嬢にあるまじき事にならないよな?」
「……ちょっと王都まで、出張してもよろしいですかね?」
「……隠蔽は完璧にな…」
「は」
汗だくになったカルトロが消えると、俺はドルシネアの待つ寝室に向かい、行為に没頭することにした。
数日後、カルトロは対処はバッチリですといい笑顔で帰ってきた。どうバッチリなんだか、聞きたいけど聞きたくないという心境でその場はうやむやにしたものの、次の週にラズから来た手紙で頭を抱えた。
『婚約を申し込まれたけど、どうしたらいい?』
……なぜ、学院に入って1ヶ月程度で婚約の申し込みがあるんだ?うちの子が可愛いのは認めるがな!
「申し込むならコッチに顔見せろや、ワレ」と、ドルシネアが放電し始めたので、慌てて押し倒して一晩頑張った。
次の日に「お父様に溺愛されているので無理」と言え、と書いて出した。
その次の週には、第3王子から決闘を申し込まれたから、がんばります。ときて、そのまた次には、「全然弱かったので、フルボッコにしたら、騎士団長の息子とか魔術師団長の次男とかが出てきて、弱いものいじめだと詰られた」と来た。
……どうしろっちゅうんじゃ、これ。
とりあえず、か弱い男爵令嬢のフリをして亡き真似をしたら誤魔化されないだろうかと書いた。今更だがな。多分無理だよな。でも第3王子、ナンチャッテ男爵の成り立ち知らないのか?国の歴史だろ。これくらい覚えておけよな。自分とこの影に喧嘩売ってどうすんだ。
そしてその次の週には、全員手下になった、と手紙が来た。
待て待て待て。手下って、手下って。仮にも王子を手下にするな。
ドルシネアはラズを学院に入れたくないと散々言っていたが、これは聞き入れた方が良かったのではないだろうか。
そうこうしているうちに、王家から手紙がきた。
ちょっと顔見せてくれるかな?なんていうようなことが書いてある勅命だった。
「カルトロっ!貴様、一体王都でなにをしてきたんだっ!?」
「いえ、あの。ラズ様には聖女らしく、特別扱いをせず博愛意識を持てと。王子たちには味方陣営に入れておいた方が得だぞと」
「いらんことすなぁあああっっ!!!」
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