追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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選手入場

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 シンバルの音が会場中に響き渡り、続いて小気味よいリズムでドラムが鳴らされる。その音に合わせ、試合場へと選手達が姿を現す。

「さあ、まず登場するのは――!」

 司会進行役のニコニスが声を張り上げる。

 まず初めに現れたのは少年だ。まだあどけなさが残り、可愛らしくすらある。だがその瞳には凛と輝く決意が秘められていた。
「今大会最年少!アルトゥース流剣術初伝、魔術初伝レベル1。果たしてどこまで勝ち上れるか!Dランク冒険者、ルカ・ハークレイ!」


 続いて入場したのは、ひょろりと背の高い男だ。顔には傷、服から覗く肌の所々に入れ墨。その醸し出す雰囲気からは一目で堅気の人間ではない事が見て取れる。
「泣く子も黙る無頼漢!自己流なので流派は無しだ!危険な男がやって来た!ザビノ・リデロ!」


 3番目に現れたのは、きっちりと整えられた髪、穏やかな風貌を持つ人物。トーナメントに相応しくない紳士だった。
「剣術修練所の師範代!弟子が見ている前で無様な姿は見せられないぞ!アルトゥース流剣術準修伝!ライモンド・ガイモ!」


 4人目。この男が登場した瞬間、観客はどっと沸いた。その理由は単純――彼の体が、異常な程に大きかったからだ。 
有角種ホーンド・レイスの血を引く男!身長230cmの超巨体!これを倒せる者は存在するのか!?ガーヴァーン流剣術中伝!ドンズ・クアドラド!」


 5人目として登場したのは、少女だった。白い髪、白い睫毛、白い肌。白鳥を思わせる美しい容姿の持ち主。だが、その表情は白鳥の優雅さからはほど遠い。獅子のように鋭く、そして自信に満ちた瞳。
「若干15歳!勝気な少女の実力はいかほどか!パルツィヴァール流槍術位階無し!ローエングリン・ファイアフィズ!」


 6人目は、まるでナマズのようなヒゲを生やした見るからに怪しい男だ。観客の声援に応じ、愛想よさげに手を振っている。
「ペテン師か、それとも真の天才か!?なんと新剣術流派の開祖が登場!ベーロイ流開祖!ベーロイ・ウースラ!」


 7人目。修道服に身を包んだ金髪の女性。清楚な雰囲気をその身に纏い、静かな足取りで前へと進む。
「パルツィヴァール流槍術レガウ派中伝、回復魔術中伝。その手に持つ棍棒メイスで全てを打ち砕く!美しき破戒僧!ソランジュ・グラノイア!」


 8人目。騎士服サーコートを着崩した軽薄な表情の男。肩まである茶色い髪をなびかせながら、観客に流し目を送りつつ姿を現す。
「ティネン修道騎士団からはこの男が参戦だ!アルトゥース流剣術レイア派中伝!第3級修道騎士、ウルリッヒ・シャウマン!」


 9人目。日焼けした肌を持つ男がドラムの音に合わせてステップを踏みながら登場した。その顔には陽気な笑みが浮かんでいる。
「三流派に手を出した男!アルトゥース流剣術中伝、ドライスタン流剣術中伝、パルツィヴァール流槍術中伝!Cランク冒険者、モージ・アギヨン!」


 10人目。顔から腕にかけて魔方陣のような紋様の描かれた女性。胸当てに籠手ガントレット。腰には剣という出で立ちの人物が姿を現す。
「魔法剣士――人はその称号に憧れる!だが魔術と剣術の融合は至難の技。果たして彼女はそれを成し遂げたのか!?アルトゥース流剣術中伝、攻撃魔術中伝!Cランク冒険者!ヴィグネル・ダガ!」


 11人目。やや下膨れの顔、垂れ下がった眉。憂鬱そうな表情の男性が息交じりに試合場をとぼとぼと進む。
「今大会最年長の29歳!剣術歴約二十年!新人と呼ぶにはあまりに経験豊富!アルトゥース流剣術中伝!ティネン自警団よりフアート・カンビイニ!」


 12人目。眼鏡をかけた青年が純白のマントをなびかせ颯爽と会場へと現れた。その全身には自身が満ち溢れている。
「ティネン修道騎士団支部第二の刺客…というよりこちらが本命か!?アルトゥース流剣術レイア派修伝!準1級修道騎士、ヴェルナー・ライヒハウゼン!」


 13人目。まるで若葉のような薄緑の髪、シミひとつない白い肌を持つ青年。人が苦手なのか、顔を俯かせながら闘技場に姿を現す。
「ハーフエルフの狩人が腕試しにやって来た!ユーウェイン流弓術準修伝!アルトゥース流剣術初伝!Bランク冒険者!ヒミン山のザイグアルフェ・ウォーズリー!!」


 14人目。金髪に掘りの深い顔立ち。無精ひげを生やした男が、まるで散歩でもするかのようにゆったりと試合場の中を進んでいく。
「戦場で磨いた力はトーナメントでも発揮されるのか!?アルトゥース流剣術中伝、ガーヴァーン流剣術初伝の傭兵だ!アルベリコ・ドッツィオ!」


 15人目。漆黒のローブに全身を覆われた人物。その顔はフードで隠されており、男か、女か。若者か、老人か。外からは伺い知る事が出来ない。
「ランサラト流剣術修伝!漆黒の衣装に包まれたその下の素顔は如何に!?Aランク冒険者!シルヴィ・ローズ!」


 16人目。背が高く筋肉質、禿頭スキンヘッドの男が無表情に進み出る。その人物が何よりも特徴的なのは、腕が手錠により拘束されている事だった。
「なんと、この男…死刑囚!どうしてこのような人物の参加が許されたのか!?元盗賊団員、デドモンド・リマ!」


「以上!16名によってティネン新人ルーキートーナメントは争われます!さあ――優勝は誰の手に!」
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