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トーナメント開催2
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勇壮なファンファーレが闘技場《コロシアム》に鳴り響く。観客席の所々に配置された楽隊が演奏を奏でているのだ。そしてその音が最高潮に達したその時――、
「諸君、よくぞ集まった」
そんな声が闘技場《コロシアム》中に響いた。観客たちは声の方へと目を向ける。そこは最上段に設けられた貴族用の貴賓席。そしてその中央に立つ青年の姿。彼の体は金の刺繍が施された豪華絢爛たる衣装に包まれている。
「げっ…」
と、安鶴沙は思わず顔をしかめる。しかし、離れた位置にいる青年にはそんな事は分からない。彼は言葉を続けた。
「余こそは、つュタインベルグ王国現国王、アルブレヒト三世陛下の王子《プリンス》にして、ラムネイル公爵ならびにペンツーリン伯爵…レオンゼーレ・ツヴァイク・フォン・シュタインベルグである」
おおっ…と観客がどよめく。王族の姿を見るなど、一般の人間にとってはそうそうある機会ではない。そしてどよめきは拍手へと変わる。その響きをを心地よさそうに全身で浴びながら、レオンゼーレは自らの額に手を当てた。
安鶴沙はその様子をぶすっとした表情で睨つつ、ちらりとアレクシアの様子を伺った。やはり彼女の表情は――固い。
「このたびは歴史あるティネン新人トーナメントに来賓として立ち会える事を嬉しく思っている。観客よ、沸くがよい。そして選手たちよ――存分に戦うがよい」
まるで自らが主役だとでも言わんばかりに片手を上げてポーズを取るレオンゼーレ。その姿に、観客はまた沸いた。
しばらく歓声を味わった後、レオンゼーレは着席した。
「なんと有難きお言葉――!」
レオンゼーレが座ると、別の声が闘技場《コロシアム》に響いた。その声は観客席の下方。すなわち、試合場の方から聞こえてくる。レオンゼーレを見上げていた観客たちは、一斉に試合場へと目を移した。そこにあったのは赤と青という派手な色合いの衣装に身を包んだ男の姿だ。とはいっても、レオンゼーレの豪華極まる出で立ちと比べれば大きく見劣りするが。
男はその手に杖状のものを握っている。そして先端には、淡く光を放つ石らしき物体。
――なるほど、あれが魔鉱石って奴?
安鶴沙はそう直感する。魔力の結晶である魔鉱石によって、音を増幅させているのだろう。つまり、あの手に持っているのはマイクなのだ。とすれば、先ほど挨拶を行ったレオンゼーレの近くにも同じようなものが置かれていたののであろう。
「レオンゼーレ殿下は、王族という身でありながらなんとアルトゥース流皆伝剣士でもあらせられます!このような素晴らしきお方にご来賓いただけるとは、わたくしもティネン市民として光栄の極み――!」
男のそんな言葉に安鶴沙が小さく反論する。
「それを言うならアレクシアさんだって王族で、しかも奥伝剣士ですよーだ」
無論、その声は男には届かない。さらに男の言葉は続く。
「申し遅れました!わたくし、今回の司会進行を務めさせていただきますニコニスと申します!どうか最終日までお付き合いを!それでは、それでは――これよりティネン新人トーナメント、選手入場です!」
「諸君、よくぞ集まった」
そんな声が闘技場《コロシアム》中に響いた。観客たちは声の方へと目を向ける。そこは最上段に設けられた貴族用の貴賓席。そしてその中央に立つ青年の姿。彼の体は金の刺繍が施された豪華絢爛たる衣装に包まれている。
「げっ…」
と、安鶴沙は思わず顔をしかめる。しかし、離れた位置にいる青年にはそんな事は分からない。彼は言葉を続けた。
「余こそは、つュタインベルグ王国現国王、アルブレヒト三世陛下の王子《プリンス》にして、ラムネイル公爵ならびにペンツーリン伯爵…レオンゼーレ・ツヴァイク・フォン・シュタインベルグである」
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安鶴沙はその様子をぶすっとした表情で睨つつ、ちらりとアレクシアの様子を伺った。やはり彼女の表情は――固い。
「このたびは歴史あるティネン新人トーナメントに来賓として立ち会える事を嬉しく思っている。観客よ、沸くがよい。そして選手たちよ――存分に戦うがよい」
まるで自らが主役だとでも言わんばかりに片手を上げてポーズを取るレオンゼーレ。その姿に、観客はまた沸いた。
しばらく歓声を味わった後、レオンゼーレは着席した。
「なんと有難きお言葉――!」
レオンゼーレが座ると、別の声が闘技場《コロシアム》に響いた。その声は観客席の下方。すなわち、試合場の方から聞こえてくる。レオンゼーレを見上げていた観客たちは、一斉に試合場へと目を移した。そこにあったのは赤と青という派手な色合いの衣装に身を包んだ男の姿だ。とはいっても、レオンゼーレの豪華極まる出で立ちと比べれば大きく見劣りするが。
男はその手に杖状のものを握っている。そして先端には、淡く光を放つ石らしき物体。
――なるほど、あれが魔鉱石って奴?
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「レオンゼーレ殿下は、王族という身でありながらなんとアルトゥース流皆伝剣士でもあらせられます!このような素晴らしきお方にご来賓いただけるとは、わたくしもティネン市民として光栄の極み――!」
男のそんな言葉に安鶴沙が小さく反論する。
「それを言うならアレクシアさんだって王族で、しかも奥伝剣士ですよーだ」
無論、その声は男には届かない。さらに男の言葉は続く。
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