魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します

悠月

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第二章 魔王の待つアヴァロニア王国に向けて旅立ちます

13 愛しのヴィネ陛下、いよいよ謁見です! ①

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 衛兵に両脇を固められた私は、ヴィネ陛下の待つ大広間へと連れて行かれた。

 軋むような音を立て、大広間の重い扉が開く。
 正面の玉座には、国王であるヴィネ陛下が鎮座ましましていた。

(ああ、じっくりとそのお美しいご尊顔を堪能したい!)

 しかし、いきなり一国の君主をマジマジと凝視するのは無礼に当たる。
 私は、ヴィネ陛下の目の前まで、しずしずとしとやかに進み出ると、まずは令嬢らしく、礼儀正しく深々と礼をする。
 はやる気持ちを抑えながら、そのままの姿勢でヴィネ陛下のお言葉を待った。
 飢えに飢え、ドッグフードを目の前にした犬が、「待て」をされたも同然の状況である。 
 「待て」の状況は、永遠にも近く感じられた。

「面を上げよ」
 
 厳かな声に、私は恐る恐る顔を上げる。

 ──ああ! なんと、なんとお美しい!!

 現実はスチルを大幅に上回る。
 シミひとつない、透き通る肌は神々しいほど輝いているし、腰まで届く紺青のストレートヘアは、スチルイラスト以上にツヤツヤだ。
 ハイライトやテクスチャを重ねることで豪華さを演出しているCGならではの美しさとばかり思っていた髪だが、生で目の当たりにしても、宝石のごとく光り輝いていてなんともうるわしい。
 目元周り、顔の上半分は仮面により隠されているが、その下には、ギリシャ彫刻のように整った、彫りの深い鼻や口元が続く。

 まさか、こんな目の前で、スチルではなく4Dで、推しを鑑賞することができる日が来ようとは思っていなかった。
 以前、ヴァレリーのもとに現れたヴィネ様と、ほんの少しだけ話したことはあった。
 しかし、あの時の私はまだ、前世の記憶を取り戻してはいなかったのだ。
 ヴィネ様への愛を思い出した後は、これが初対面となる。

 生まれ変われて本当によかった!
 私は、運命に感謝した。

 ――――――――――――――――――
 名前:ヴィネ・ド・ロマリエル
 種族:人間
 職業:君主
 別名:魔王

 HP:60
 MP:45

 STR(力):20
 VIT(体力):19
 DEX(器用さ):15
 AGI(敏捷性):16
 INT(知性):17
 ――――――――――――――――――

 そして、ジャンと違いヴィネ様のパラメーターのなんと充実していることか。
 正ヒーローであるジャンから見るとラスボスにあたるわけだから、多少、歯ごたえのある敵となるようにと、高ステータスに設定されているのだろうか。
 MPがあることから、魔法が使えることがわかる。
 知性が6だったジャンとは比べものにならないステータスの充実ぶりだ。
 キャラデザといい、パラメーターの設定といい、プランナーがバランスを間違ってしまったとしか思えない。

 私への好感度が1しかないのは残念だけれど、初対面に近い状態なのだから、こればかりは仕方がないだろう。
 これから、頑張って上げていくしかない。

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