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第六話 シスコン降臨

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皆さんこんにちは~
今日はいい天気ですね!!
青い空、白い雲、そして

「おら、どうした!?」
「こっち見やがれ腰抜けが!!」
「どうしたどうした~?ビビって声も出ないか~?」

俺を取り囲む剣や槍を持ったおっさん達
うん、なにこの状況?

自体は数分前に遡る

★★★

「・・・ここか?」
「はい、坊っちゃん、ここが坊っちゃんの婚約者様のランバート公爵令嬢の王都にあるタウンハウスでございます」


乗ってきた馬車の窓がから立派な門をただ見上げることしかできない俺の横でシリルが笑みを浮かべながら答えた 
こいつは一応俺の従者の中で位が高く、側近と言ってもいい立場にいる。
先日できた俺の婚約者、クラリス・フォン・ランバート公爵令嬢
そのクラリスとの文でのやり取りをこいつに任せた
だからこいつはすでに何度かこの屋敷に来ている為初めて来て吃驚する俺の顔をニヤニヤと笑う余裕があるのだろう。
そう、今日は俺とクラリスの婚約して初めての茶会だ
茶会と言っても参加者は俺とクラリス、あとは俺の従者としてシリルとクラリスの専属侍女が側に控えているだけと言う大変胃にくる催しとなっている。

はぁ~、帰りたい・・・

だってさ、普通タウンハウスって家だよね?
ハウスだし?
でも俺の目の前にあるのは・・・とてつもないデカさの屋敷だった。
いや、まじで広いんだよ?門から屋敷までの間の敷地に俺ん家(メルア伯爵の屋敷)が5軒は建ちそうなんだよ!!


未だに開いた口が塞がらない俺を乗せた馬車はゆっくりと入って行った

★★★

玄関に到着し馬車を降りると少年が立っていた
年齢は俺よりちょっと上かな?
その少年の後ろにはなぜかフル武装した兵士が二人控えており、公爵家の騎士団かな?と考えていたら少年が口を開いた

「お前がクラリスを誑かしたグレン・メルアか?」

言うと敵意に満ち溢れた視線を投げてくる少年

誑かした?脅されたの間違いでは?
あ、いや、なんでもないです
はい

なぜか背中に冷たいものを感じた為心のなかで謝罪した
そんな事をしていたら返答しない俺に焦れたのか少年がさらに口を開く

「答えろ!!貴様が僕の天使、いや、天使などでは足下にも及ばず、女神も裸足で逃げ出す程の美しさを持ち、賢者にも負けない頭脳を持ち、そして愛らしくキュート!!全ての愚民がひれ伏すほど何もかもが完璧な僕の至宝である妹、クラリス・フォン・ランバートに浅ましく近づき、己の容姿・知力・権力・立場その他諸々、僕のクラリスとは雲泥の差があることをまっったく理解できていない底辺のゴミ虫、グレン・メルア伯爵子息かと聞いている!!」

うん、ひどい・・・
なにが酷い?シスコンフィルターが

「はぁ、グレン・メルアは私ですが・・・」
「ち、ようやく返事したと思ったら知性の欠片も見れん挨拶をしやがって、こんなののどこがいいんだ?」

未だに名乗ってすらいない奴に知性云々言われたくないな~
まぁ、さっき妹って言っていたからきっとクラリスの兄なんだろうけどさ

「ふんまぁいい、おいグレンゴミ虫黙って付いてこい!!俺が貴様を試してやる、俺のクラリス至宝の婚約者として相応しいかをな!!」

そして俺は未だに名乗らないシスコンにドナドナされたわけだ

★★★

そして現在に戻る
シスコンに拉致された俺は何故か騎士団の鍛錬場に連れて行かれそこで木剣を渡された
そして騎士団長を名乗るおっさんが来て

「貴様がランバート公爵家の至宝、クラリスお嬢様に近づくクズ虫が!!若様に聞けば嫌がるお嬢様に何度も交際を迫り、実家の権力を使って無理矢理婚約者になったとか、このクズが!!貴様のような性根の腐ったクズは私達ランバート公爵家騎士団の総力を以て叩き直してやる!!さっさと演習台に上がれ!!このクズが!!」

と叫ぶ騎士団長ハゲに無理矢理演習台に上がらされた。演習台は大体10メートルほど円形で俺が上がると反対側から全身フルプレートで普通に鉄剣持った騎士が3人上がってきた。しかも台の周りには俺が上がった階段の場所も含めてズラーッと完全武装した騎士たちが取囲み「逃さねーぞ!!コラッ!!」と息巻いていた。
そして俺から見て正面後方、多分本来なら騎士団の訓練を見学する場所なのだろうそこではシスコンが優雅にお茶をしながら微笑んでいた・・・あの野郎

シスコンへの怒りを一旦横に置き俺は悩んだ

普通なら15歳、いや、例え30代のベテラン冒険者でも泣いて逃げ出してるこの状況・・・
どうする?
ぶっちゃけ全員倒すのに5分もいらない
魔法があるこの世界、フェイに調べて貰ったが昔は魔法と剣術を同時に扱える者もいたが今では完全に二分化されているらしい。
簡単に言えば魔法を使う者は魔術師団へ、剣術を使う者は騎士団へとなっている。
それは各家の私兵達も同じで今俺を取り囲んでいるのは魔法を使えない(使えても身体強化ぐらい?)騎士達だ
武術の力用はあるだろがぶっちゃけフェイに任せれば5分経たずに皆地面とキッスだ
だがそれをやれば面倒くさいことになる
ぜっったいに!!
だってフル武装大の大人、しかも騎士を複数を5分足らずで倒した12歳だよ?
噂はすぐに広まっていろいろめんどくさいのが雑草みたいにニョキニョキ生えてくるのは想像しなくても分かる。
でもここで普通の子供らしく泣いて逃げようとすると?
ケース①
笑い者となって罵詈雑言を浴びせられメルア伯爵家に不本意な噂が流れるだろ。流石に家族に迷惑かけるのはな~
え?クラリスと初対面の日迷惑かけたろって?
記憶にございませ~ん!!
ケース②
「不甲斐ない!!その根性叩き直してやる!!」と激昂され、鍛練と言う名のシゴキを受けボロッカスにされる
痛いの嫌だな~

これ積みじゃん?
逃げても逃げなくても面倒くさいのが待機してるって

どうしよう
そうこう悩んでいるうちに

「くだばれ!!」

と一人の騎士が切りかかってきた
いや、普通に鉄剣なんだけど!!
止めるよね!?止めないと死んじゃうよ?俺が!!

どうしよう!?
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