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第2部

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「よっ、久しぶり……アユムは相変わらず小さいな」

久しぶりに会ったにも拘らず一言も多い奴だ。
グリグリ頭を撫でる手を振り払う。

「久しぶり。相変わらず失礼な奴だな、アウルは」
「ふはっ、元気そうだな。でも、また会えて嬉しいよ」

アウルは反対の手でオレの髪を整えるとそのまま下に移動して頬を撫でた。
オレを見つめる目が近づいてくる。
あと10cmのところでキラリと輝くものが視界に入り「ヒィッ」と小さく悲鳴を上げる。
そんなオレとニヤニヤ笑うアウルが同時に見上げると、そこには眉を吊り上げたコウシさんが長剣を突き出していた。

「そ、そこまでですっ」
「なぁ、こんなめでたい日にそんな物騒なもの出していいの?アユムがビビってるよ~」
「ア、アユム様をお守りするのが私の役目です。それに剣の腕は、つ、常に磨いておりますので絶対にアユム様を傷つけませんよ」

震える声で剣を向けるコウシさんに対し、アウルは動じることなくニヤニヤ笑う。

「あ……あの……」
「ア、アユム様から離れろ」
「嫌だ……と言ったら?」

コウシさんを煽る言葉を投げるニヤニヤアウルのせいで一触即発状態だ。
こんな一般市民のいる場所で流血沙汰はいろんな意味で困る。
これ以上アウルに余計なことを言わせないよう手で口を塞ぐと、コウシさんに声を掛ける。

「ああああのっ、コイツの言動はムカつくけど悪い奴じゃないんです。たぶん、今のはオレの事揶揄ってる……と、思います」
「ですがっ」

コウシさんは興奮しているのか必死なのか、グラグラ揺れる剣先がオレにも向いていることに気が付いていない。
数センチ先で揺れている先端に喉の奥が狭まった感じがして少し息が苦しいけど何とか声を絞り出す。

「と、友達なんです。……色々あったけど、今はすっごく仲良しなんですっ」
「アユムさっ……」
「はーい、そこまで。ソレ、マジで危ねぇから仕舞ってくんない」

剣先を摘んだアウルが口を塞いでいたオレの手を掴んで引き寄せると背中に隠した。
剣先が見えなくなったオレは、やっと息ができるようになって大きく息を吐いた。
そこでコウシさんもようやく周りの目がオレたちに向いていること、自分の剣がオレにも向いていたことに気づいた。
剣を鞘に戻したコウシさんは「申し訳ありません」と泣きそうな顔を浮かべて深々と頭を下げた。

「と、いうことでアユムコイツをちょーっと借りるな」
「「えっ」」

軽々とオレを担いだアウルは走り出した。

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