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番外編 瑠可/楓
番外編 kaede-11
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恋人同士になった瑠可とやっとまともなデートができるようになった頃には、もう10月に入ってた。
毎日連絡をして、週末は可能な限り会うようにしてるが、会っても1、2時間で、飯を食うかお茶をしたら終わっていた。
そんなこともあり、瑠可とはまともなデートが出来ていなくて申し訳ない。
それとは別に俺には難題が立ちはだかっていた。
瑠可は期待している。
恋人同士のスキンシップを。
そう、それが俺の難題。
今まで、告白されて何人か付き合ったことはある。
性交込みの関係だ。
別段、これといった問題はなかった。
身体は正直だったし、マナーを守ってした。
今回はちょっと違う。
相手は俺から好きになったやつだ。
自分をセーブしてスマートにできる自信がない。
それにより嫌がられたら立ち直れない。
それ以上に、瑠可に触ることを考えるだけで少し緊張する。
童貞かよ、俺⁈
いまだに『楓兄』と呼ぶ瑠可のおかげで、なんとか冷静さを保てている。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
今日は、百合さんからの呼び出しでキャンセルとなった映画のリベンジだ。
寮まで瑠可を迎えに行き、軽く食事をしてから、予め予約しておいた映画を観た。
その後のカフェで映画の感想を話し合った。
今回観た映画は瑠可好みのものだったようで、興奮した瑠可はお茶やケーキに手をつける事なくずっと喋っていた。
冷めたお茶を飲み終わるとまだ少し時間があったから、近くの公園を散歩した。
色付く遊歩道を歩くと、スマホからタイムリミットを告げるアラームが鳴った。
瑠可の学園の寮の門限は18時だ。
ここからゆっくり帰っても余裕で間に合う。
「そろそろ帰るか」
「えっ…」
瑠可は繋いでいた手を離した。
「瑠可?」
「…ヤダ。まだ帰らない」
一歩後退る瑠可に一歩寄る。
「るー」
「なんで、なんで楓は何もしてくれないの?ボクは楓とキスしたい。その先も……楓が好きだから…好きなのに」
「瑠可」
責めるように俺の胸を何度も叩く瑠可の体に手を回し背中さすると、鼻を啜る音が聞こえ、更に強く叩かれた。
「ううっ」
「瑠可……ちょ…マジで痛い」
流石に痛すぎて止めようとしたら、トドメと言わんばかりに頭突きをされた。
ゴンッと音が響き、一瞬息が詰まり「うっ」と呻き声が出た。
胸の痛みを堪えて声を出す。
「あのなぁ、俺はしないんじゃなくて、できないの」
「なんで?」
泣くのを我慢してる潤んだ目で見上げられ、思わず視線を逸らしてしまった。
「なんでって……こう見えて、俺、いっぱいいっぱいなんだよ」
そう言い放つ俺の顔は熱くて真っ赤になっていたのは自分でもわかった。
目をまん丸にして見上げていたはずの瑠可の唇が俺の顎に当たった。
「へっ…?」
驚いて瑠可の顔を見るとクスッと笑う。
頬を伝う涙を拭う事なく笑う顔に、俺の理性の一部は焼き切れた。
クスクスと笑っている内に顔を近づけその唇をちゅっと塞いだ。
「ふえっ?」
触れるだけの行為に瑠可は驚き慌てたが俺は構わず続ける。
キスの上唇、下唇を何度も食んで舐めると、少しだけ開いた口の隙間からグッと舌を割り入った。
口腔内を舐め回すと、程なく小さな舌を捕らえた。
ギュッと抱きしめると服越しに重なる胸から同じリズムを刻む鼓動が伝わった。
もう少し…。
もう少し…。
無意識にそう言い、何度も瑠可の舌を絡めた。
長いキスで瑠可は苦しそうに呼吸をするが、俺にはまだ足りなかった。
「か、かえでぇ」
「ん?」
キスの合間に名前を呼ばれ顔を覗き込み、止めどなく伝う涙ごと頬を撫でる。
瑠可は呼吸も整わないまま言葉を紡いだ。
「ボク……楓の番になりたい…。お願い、ボクを楓の番にして…」
夢?
そう言った瑠可に、俺は夢でも見ているのかと思った。
俺の目を逸らさず真っ直ぐ見つめる目に思わず笑みが溢れた時、頬に温かいものが一筋流れた。
「瑠可…ありがとう」
そっと、その唇にキスを落とした。
こんな心が震えるキスは初めてだった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
11月。
俺は瑠可の発情期を待って番になった。
「俺のこれからの人生半分あげるから、瑠可のこれからの人生半分俺にください」
如月のアルファが番を望むオメガに乞う永遠の誓いを添えて…。
side kaede end
____________________
お気づきの方もいるかと思いますが、楓は意外にヘタレなんです。
瑠可限定ですが(笑)
瑠可と楓の後日談がありますので、もう少しだけよろしくお願いします。
毎日連絡をして、週末は可能な限り会うようにしてるが、会っても1、2時間で、飯を食うかお茶をしたら終わっていた。
そんなこともあり、瑠可とはまともなデートが出来ていなくて申し訳ない。
それとは別に俺には難題が立ちはだかっていた。
瑠可は期待している。
恋人同士のスキンシップを。
そう、それが俺の難題。
今まで、告白されて何人か付き合ったことはある。
性交込みの関係だ。
別段、これといった問題はなかった。
身体は正直だったし、マナーを守ってした。
今回はちょっと違う。
相手は俺から好きになったやつだ。
自分をセーブしてスマートにできる自信がない。
それにより嫌がられたら立ち直れない。
それ以上に、瑠可に触ることを考えるだけで少し緊張する。
童貞かよ、俺⁈
いまだに『楓兄』と呼ぶ瑠可のおかげで、なんとか冷静さを保てている。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
今日は、百合さんからの呼び出しでキャンセルとなった映画のリベンジだ。
寮まで瑠可を迎えに行き、軽く食事をしてから、予め予約しておいた映画を観た。
その後のカフェで映画の感想を話し合った。
今回観た映画は瑠可好みのものだったようで、興奮した瑠可はお茶やケーキに手をつける事なくずっと喋っていた。
冷めたお茶を飲み終わるとまだ少し時間があったから、近くの公園を散歩した。
色付く遊歩道を歩くと、スマホからタイムリミットを告げるアラームが鳴った。
瑠可の学園の寮の門限は18時だ。
ここからゆっくり帰っても余裕で間に合う。
「そろそろ帰るか」
「えっ…」
瑠可は繋いでいた手を離した。
「瑠可?」
「…ヤダ。まだ帰らない」
一歩後退る瑠可に一歩寄る。
「るー」
「なんで、なんで楓は何もしてくれないの?ボクは楓とキスしたい。その先も……楓が好きだから…好きなのに」
「瑠可」
責めるように俺の胸を何度も叩く瑠可の体に手を回し背中さすると、鼻を啜る音が聞こえ、更に強く叩かれた。
「ううっ」
「瑠可……ちょ…マジで痛い」
流石に痛すぎて止めようとしたら、トドメと言わんばかりに頭突きをされた。
ゴンッと音が響き、一瞬息が詰まり「うっ」と呻き声が出た。
胸の痛みを堪えて声を出す。
「あのなぁ、俺はしないんじゃなくて、できないの」
「なんで?」
泣くのを我慢してる潤んだ目で見上げられ、思わず視線を逸らしてしまった。
「なんでって……こう見えて、俺、いっぱいいっぱいなんだよ」
そう言い放つ俺の顔は熱くて真っ赤になっていたのは自分でもわかった。
目をまん丸にして見上げていたはずの瑠可の唇が俺の顎に当たった。
「へっ…?」
驚いて瑠可の顔を見るとクスッと笑う。
頬を伝う涙を拭う事なく笑う顔に、俺の理性の一部は焼き切れた。
クスクスと笑っている内に顔を近づけその唇をちゅっと塞いだ。
「ふえっ?」
触れるだけの行為に瑠可は驚き慌てたが俺は構わず続ける。
キスの上唇、下唇を何度も食んで舐めると、少しだけ開いた口の隙間からグッと舌を割り入った。
口腔内を舐め回すと、程なく小さな舌を捕らえた。
ギュッと抱きしめると服越しに重なる胸から同じリズムを刻む鼓動が伝わった。
もう少し…。
もう少し…。
無意識にそう言い、何度も瑠可の舌を絡めた。
長いキスで瑠可は苦しそうに呼吸をするが、俺にはまだ足りなかった。
「か、かえでぇ」
「ん?」
キスの合間に名前を呼ばれ顔を覗き込み、止めどなく伝う涙ごと頬を撫でる。
瑠可は呼吸も整わないまま言葉を紡いだ。
「ボク……楓の番になりたい…。お願い、ボクを楓の番にして…」
夢?
そう言った瑠可に、俺は夢でも見ているのかと思った。
俺の目を逸らさず真っ直ぐ見つめる目に思わず笑みが溢れた時、頬に温かいものが一筋流れた。
「瑠可…ありがとう」
そっと、その唇にキスを落とした。
こんな心が震えるキスは初めてだった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
11月。
俺は瑠可の発情期を待って番になった。
「俺のこれからの人生半分あげるから、瑠可のこれからの人生半分俺にください」
如月のアルファが番を望むオメガに乞う永遠の誓いを添えて…。
side kaede end
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お気づきの方もいるかと思いますが、楓は意外にヘタレなんです。
瑠可限定ですが(笑)
瑠可と楓の後日談がありますので、もう少しだけよろしくお願いします。
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