金の野獣と薔薇の番

むー

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番外編 瑠可/楓

番外編 kaede-5

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家に着いて瑠可をリビングのソファーに座らせるとキッチンでホットミルクを作った。
温かいものを飲むと落ち着くからと、子供の頃から父が作ってくれてたやつだ。

マグカップを渡すと「夏にホットミルク…」と言われ、季節を無視したチョイスは如月家ウチ独自のルールだとこの時初めて気づいた。
そもそもこんなことは義弟にしかしてやったことがなかったから仕方がないが…。

「ふふっ、美味しい…」

それでも瑠可は嬉しそうにホットミルクを飲んでくれた。

篠崎に噛まれた手を手当てした後、コテンと俺に寄りかかる瑠可に「病院行くか?警察も行くか?」と聞いたが、どちらも嫌だと返された。
発情期中に中に出されたから妊娠の可能性もあったが、大丈夫だと言われた。

ホテルで再開した時は青ざめていた瑠可は、俺につられて笑えるまでに元気が戻ったように見えた。


瑠可を結季の部屋に案内して、部屋に戻るとスマホがブルっと震えた。
そういえば、濡れた服を着替えた際、机に置いたまま部屋を出たことを思い出し通知画面を見ると、恐ろしいほどの着信とメッセージが届いていた。
その全てが結季からで、9割は瑠可を心配するものだった。
とりあえず、返信のためメッセージアプリを開く。
結季からのメッセージの後半の俺への悪口に腹が立つ気持ちをグッと堪えて、どこまでの事実を結季に伝えるか悩んだ。
結局、瑠可に薬を飲ませたこと、うちに連れて帰ってきたことだけを打った。
送信して一息つくとノック音が聞こえた。

少し開けたドアから顔を覗かせ「お取り込み中?」と聞く瑠可を部屋の中に招き、アプリに残る結季とのやり取りの画面を見せながら話をする。


「で、瑠可、どうした?眠れないのか?」

俺の問いに瑠可は少し考える。

「えっと、楓兄の顔が見たかった…から?」

適当な理由に俺は笑って、瑠可の頭をわしゃわしゃと撫で、「眠れないのか?」ともう一度聞く。

「うん……静かにしてるから此処にいて、いい?」

パジャマの裾を握りしめ俯く瑠可はそう言った。

ふっと小さく笑い、セミダブルのベッドの奥に移動して瑠可をベッドに招き入れる。
「狭くても文句言うなよ」と予め言ったにも関わらず「せ、狭い…」と言われた。
枕は俺が使っているため、代わりにと腕を差し出すと素直に頭を乗せた。

「お日様の匂いがする」
「ああ、昼間干したからな」

薄掛けの掛け布団からする匂いに嬉しそうにふふふっと笑った瑠可は、モゾモゾと俺の方に向きを変えてしがみついてきた。

「瑠可?」
「こうして…眠っていい?」

胸元に顔を埋め小さく震える瑠可の背中を温める様にさする。
発情期のせいか濃いめの瑠可の匂いに、俺の心臓は少し早いリズムを刻んだ。
しばらくそうしているうちに、瑠可の震えは止まり安心したように眠りについた。

翌日、瑠可にピルと抑制剤を飲ませ、のんびりリビングで過ごした後、瑠可の自宅の近くまで送り届けた。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

それからまた瑠可との連絡が再開した。
電話で話す度、篠崎からのメッセージが怖くて見ることができないと零していた。

8月の最終日。
夏休み最終日の結季を寮まで送ると、俺たちより少し後に着いた瑠可と玄関で会えた。
約2週間ぶりに顔を合わせた瑠可は、変わらず元気そうだった。
噛まれた手の傷もだいぶ薄くなっていた。
昨日、検査薬で妊娠していなかったと報告されたが、改めて体調を聞き「なんともない」と答えた瑠可に改めてホッとした。


それから数日後、瑠可から『篠崎と会って話をする』と連絡が来た。
俺は慌てて折り返し電話をすると数コールで瑠可は出た。

いつ会うのかと聞くと、その日時は俺の最終面接と被っていた。
嫌な予感がしたが、カフェで会うから大丈夫と瑠可は譲らなかった。
それでも渋る俺に瑠可は言った。

『あの…楓兄。カフェで待ってるから、面接終わったら会えないかな…?………は、話があるんだ』
「………分かった。これだけは約束しろ。何があっても絶対、店から出るなよ」

カフェで俺を待つことを約束して電話を切った。




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