65 / 78
番外編 瑠可/楓
番外編 kaede-5
しおりを挟む
家に着いて瑠可をリビングのソファーに座らせるとキッチンでホットミルクを作った。
温かいものを飲むと落ち着くからと、子供の頃から父が作ってくれてたやつだ。
マグカップを渡すと「夏にホットミルク…」と言われ、季節を無視したチョイスは如月家独自のルールだとこの時初めて気づいた。
そもそもこんなことは義弟にしかしてやったことがなかったから仕方がないが…。
「ふふっ、美味しい…」
それでも瑠可は嬉しそうにホットミルクを飲んでくれた。
篠崎に噛まれた手を手当てした後、コテンと俺に寄りかかる瑠可に「病院行くか?警察も行くか?」と聞いたが、どちらも嫌だと返された。
発情期中に中に出されたから妊娠の可能性もあったが、大丈夫だと言われた。
ホテルで再開した時は青ざめていた瑠可は、俺につられて笑えるまでに元気が戻ったように見えた。
瑠可を結季の部屋に案内して、部屋に戻るとスマホがブルっと震えた。
そういえば、濡れた服を着替えた際、机に置いたまま部屋を出たことを思い出し通知画面を見ると、恐ろしいほどの着信とメッセージが届いていた。
その全てが結季からで、9割は瑠可を心配するものだった。
とりあえず、返信のためメッセージアプリを開く。
結季からのメッセージの後半の俺への悪口に腹が立つ気持ちをグッと堪えて、どこまでの事実を結季に伝えるか悩んだ。
結局、瑠可に薬を飲ませたこと、うちに連れて帰ってきたことだけを打った。
送信して一息つくとノック音が聞こえた。
少し開けたドアから顔を覗かせ「お取り込み中?」と聞く瑠可を部屋の中に招き、アプリに残る結季とのやり取りの画面を見せながら話をする。
「で、瑠可、どうした?眠れないのか?」
俺の問いに瑠可は少し考える。
「えっと、楓兄の顔が見たかった…から?」
適当な理由に俺は笑って、瑠可の頭をわしゃわしゃと撫で、「眠れないのか?」ともう一度聞く。
「うん……静かにしてるから此処にいて、いい?」
パジャマの裾を握りしめ俯く瑠可はそう言った。
ふっと小さく笑い、セミダブルのベッドの奥に移動して瑠可をベッドに招き入れる。
「狭くても文句言うなよ」と予め言ったにも関わらず「せ、狭い…」と言われた。
枕は俺が使っているため、代わりにと腕を差し出すと素直に頭を乗せた。
「お日様の匂いがする」
「ああ、昼間干したからな」
薄掛けの掛け布団からする匂いに嬉しそうにふふふっと笑った瑠可は、モゾモゾと俺の方に向きを変えてしがみついてきた。
「瑠可?」
「こうして…眠っていい?」
胸元に顔を埋め小さく震える瑠可の背中を温める様にさする。
発情期のせいか濃いめの瑠可の匂いに、俺の心臓は少し早いリズムを刻んだ。
しばらくそうしているうちに、瑠可の震えは止まり安心したように眠りについた。
翌日、瑠可にピルと抑制剤を飲ませ、のんびりリビングで過ごした後、瑠可の自宅の近くまで送り届けた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
それからまた瑠可との連絡が再開した。
電話で話す度、篠崎からのメッセージが怖くて見ることができないと零していた。
8月の最終日。
夏休み最終日の結季を寮まで送ると、俺たちより少し後に着いた瑠可と玄関で会えた。
約2週間ぶりに顔を合わせた瑠可は、変わらず元気そうだった。
噛まれた手の傷もだいぶ薄くなっていた。
昨日、検査薬で妊娠していなかったと報告されたが、改めて体調を聞き「なんともない」と答えた瑠可に改めてホッとした。
それから数日後、瑠可から『篠崎と会って話をする』と連絡が来た。
俺は慌てて折り返し電話をすると数コールで瑠可は出た。
いつ会うのかと聞くと、その日時は俺の最終面接と被っていた。
嫌な予感がしたが、カフェで会うから大丈夫と瑠可は譲らなかった。
それでも渋る俺に瑠可は言った。
『あの…楓兄。カフェで待ってるから、面接終わったら会えないかな…?………は、話があるんだ』
「………分かった。これだけは約束しろ。何があっても絶対、店から出るなよ」
カフェで俺を待つことを約束して電話を切った。
温かいものを飲むと落ち着くからと、子供の頃から父が作ってくれてたやつだ。
マグカップを渡すと「夏にホットミルク…」と言われ、季節を無視したチョイスは如月家独自のルールだとこの時初めて気づいた。
そもそもこんなことは義弟にしかしてやったことがなかったから仕方がないが…。
「ふふっ、美味しい…」
それでも瑠可は嬉しそうにホットミルクを飲んでくれた。
篠崎に噛まれた手を手当てした後、コテンと俺に寄りかかる瑠可に「病院行くか?警察も行くか?」と聞いたが、どちらも嫌だと返された。
発情期中に中に出されたから妊娠の可能性もあったが、大丈夫だと言われた。
ホテルで再開した時は青ざめていた瑠可は、俺につられて笑えるまでに元気が戻ったように見えた。
瑠可を結季の部屋に案内して、部屋に戻るとスマホがブルっと震えた。
そういえば、濡れた服を着替えた際、机に置いたまま部屋を出たことを思い出し通知画面を見ると、恐ろしいほどの着信とメッセージが届いていた。
その全てが結季からで、9割は瑠可を心配するものだった。
とりあえず、返信のためメッセージアプリを開く。
結季からのメッセージの後半の俺への悪口に腹が立つ気持ちをグッと堪えて、どこまでの事実を結季に伝えるか悩んだ。
結局、瑠可に薬を飲ませたこと、うちに連れて帰ってきたことだけを打った。
送信して一息つくとノック音が聞こえた。
少し開けたドアから顔を覗かせ「お取り込み中?」と聞く瑠可を部屋の中に招き、アプリに残る結季とのやり取りの画面を見せながら話をする。
「で、瑠可、どうした?眠れないのか?」
俺の問いに瑠可は少し考える。
「えっと、楓兄の顔が見たかった…から?」
適当な理由に俺は笑って、瑠可の頭をわしゃわしゃと撫で、「眠れないのか?」ともう一度聞く。
「うん……静かにしてるから此処にいて、いい?」
パジャマの裾を握りしめ俯く瑠可はそう言った。
ふっと小さく笑い、セミダブルのベッドの奥に移動して瑠可をベッドに招き入れる。
「狭くても文句言うなよ」と予め言ったにも関わらず「せ、狭い…」と言われた。
枕は俺が使っているため、代わりにと腕を差し出すと素直に頭を乗せた。
「お日様の匂いがする」
「ああ、昼間干したからな」
薄掛けの掛け布団からする匂いに嬉しそうにふふふっと笑った瑠可は、モゾモゾと俺の方に向きを変えてしがみついてきた。
「瑠可?」
「こうして…眠っていい?」
胸元に顔を埋め小さく震える瑠可の背中を温める様にさする。
発情期のせいか濃いめの瑠可の匂いに、俺の心臓は少し早いリズムを刻んだ。
しばらくそうしているうちに、瑠可の震えは止まり安心したように眠りについた。
翌日、瑠可にピルと抑制剤を飲ませ、のんびりリビングで過ごした後、瑠可の自宅の近くまで送り届けた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
それからまた瑠可との連絡が再開した。
電話で話す度、篠崎からのメッセージが怖くて見ることができないと零していた。
8月の最終日。
夏休み最終日の結季を寮まで送ると、俺たちより少し後に着いた瑠可と玄関で会えた。
約2週間ぶりに顔を合わせた瑠可は、変わらず元気そうだった。
噛まれた手の傷もだいぶ薄くなっていた。
昨日、検査薬で妊娠していなかったと報告されたが、改めて体調を聞き「なんともない」と答えた瑠可に改めてホッとした。
それから数日後、瑠可から『篠崎と会って話をする』と連絡が来た。
俺は慌てて折り返し電話をすると数コールで瑠可は出た。
いつ会うのかと聞くと、その日時は俺の最終面接と被っていた。
嫌な予感がしたが、カフェで会うから大丈夫と瑠可は譲らなかった。
それでも渋る俺に瑠可は言った。
『あの…楓兄。カフェで待ってるから、面接終わったら会えないかな…?………は、話があるんだ』
「………分かった。これだけは約束しろ。何があっても絶対、店から出るなよ」
カフェで俺を待つことを約束して電話を切った。
10
あなたにおすすめの小説
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
白銀の城の俺と僕
片海 鏡
BL
絶海の孤島。水の医神エンディリアムを祀る医療神殿ルエンカーナ。島全体が白銀の建物の集合体《神殿》によって形作られ、彼らの高度かつ不可思議な医療技術による治療を願う者達が日々海を渡ってやって来る。白銀の髪と紺色の目を持って生まれた子供は聖徒として神殿に召し上げられる。オメガの青年エンティーは不遇を受けながらも懸命に神殿で働いていた。ある出来事をきっかけに島を統治する皇族のαの青年シャングアと共に日々を過ごし始める。 *独自の設定ありのオメガバースです。恋愛ありきのエンティーとシャングアの成長物語です。下の話(セクハラ的なもの)は話しますが、性行為の様なものは一切ありません。マイペースな更新です。*
【完結】恋した君は別の誰かが好きだから
花村 ネズリ
BL
本編は完結しました。後日、おまけ&アフターストーリー随筆予定。
青春BLカップ31位。
BETありがとうございました。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
俺が好きになった人は、別の誰かが好きだからーー。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
二つの視点から見た、片思い恋愛模様。
じれきゅん
ギャップ攻め
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」
学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。
生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。
静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。
しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。
玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。
それから十年。
かつて自分を救った玲に再会した静は玲に対して同じ苦しみを味合わせようとする。
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る
112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。
★本編で出てこない世界観
男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる