金の野獣と薔薇の番

むー

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本編

神凪家の秘密

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神凪家は都心から離れた田舎にある、代々続く神社を守る一族だ。

その神社はパワースポットとして有名で、"縁結び"と"子宝"の神社と呼ばれていた。

表向きは。

地元では"子作り"の神社と影で呼ばれていた。

神凪家はアルファの一族だが、数代おきにオメガの男の子が産まれる。
その子供は金の卵を産む宝と崇められ、16まで大切に育てられ、16で発情期を迎えるとその代の当主の番となり、ただ子を孕み産む道具として扱われる。

神凪家のオメガの男は、番以外の者と肌を合わせても拒絶反応を起こさない。
そして、相手のバースを問わずアルファの男の子を産む。
その特殊性のため、その身体を欲するものが多い。
そこに目をつけたのが十数代前の当主。
当主はアルファの子を欲する者に発情した番のオメガを与えた。
オメガはその者の子を孕み、十月十日後、子を産み、種付けから一年半後にその者の家に子を引き渡す。
子を得た家からは、神社へ寄付として多額の金を振り込まれる。

それが、神凪家の隠された生業。

神凪家に生まれたオメガの男は、当主と番になると2年おきにセックスと出産を繰り返す。
神凪家の繁栄のためのオメガの務めとして、見ず知らずの男、またはアルファの女のと間に生涯で10人から15人の子を孕み産み続けるのだ。

子が産めなくなると、娼夫として死ぬまで抱かれ続ける。
そのため、神凪のオメガの寿命は40半ばと短命だ。

それが神凪家のオメガの男として生まれた者の宿命。

それは現代まで人知れずひっそりと続けられている。
先代のオメガはその宿命から逃れようと逃亡を図ったため、16を待たずに牢屋に入れられ、その後、死ぬまで出ることを許されなかった。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

「私の祖父は神凪家の者で、祖父の弟がオメガだったそうです。祖父はその風習を嫌悪しオメガの弟と共に家から逃げようとしましたが途中で捕まり、逆上した祖父の兄が祖父の目の前で弟を番にしました。その後すぐ、祖父は神凪家から追放されました。

神凪のオメガを守ることは祖父から頼まれました。
『いつかまたあの家にオメガの男子が生まれたら、連れ出して人としての普通の幸せを与えてほしい』と。

そして結季が生まれた。

7歳を迎えた結季のバース検査ではベータと判定されましたが、現当主の神凪清暙の父は納得しなかった。
アルファ同士の夫婦からベータが生まれる可能性は限りなくゼロだからね。
そこで結季の両親は、人を使って私の祖父に結季預けようとした。
その途中、多重追突事故に巻き込まれ、結季を預けた者は死に、結季は頭を強く打ちそれまでの記憶を失った。

そのおかげもあって、今まで見つからずに済みました。

だが、オメガが発現してしまったらもう逃げられない。
見つかる前に番を得ていたらまた違ったのだろうけど…。

結季の名前を変えなかったのもいけなかったんでしょうね。

それだけは変えることができなかったんですよ。

名前はご両親からの最初のプレゼントだ。
私にも子供がいるからね。
変えられるはずがない……」

結季の義父は悲しそうに微笑んだ。

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