金の野獣と薔薇の番

むー

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本編

7月 ③

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バンッ。
ガシャンッ。

引き戸が外れるのではないかというほどの勢いで開けられ、嵌め込まれていた硝子が割れた。
その凄まじい音に全員がビクリと肩が弾み、音がした方を見ようとするが押さえつけられていて見ることができない。

「く、九条……」
「……おい、その手を離せ」

オレの下着に手を掛けて止まっていたヤツの手がカタカタと震え出した。
そいつだけでなく、両サイドでオレを押さえつけていた2人も小刻みに震えていた。

「おい、離せってつってんの聞こえねえのか」

静かだが怒気を含んだ声に、3人は弾かれたようにオレから離れた。
視界が開けたその先には、来てくれるはずがないと思っていた皇貴先輩が居た。

「どけ」

その一言で3人は先を争って出て行った。

「結季」

名を呼ばれて、ハッと起き上がって乱れた服を整えようとしたが、直せたのは捲れたTシャツだけだった。

「結ーー」
「だ、大丈夫です。助けてくれてありがとうございます」

オレに伸ばされた手にビクついて避けてしまった。
シャツのボタンを掴むけど、留めるどころか小刻みに震える身体を抑えることができない。
そんなオレの身体がフワリと包まれる。

「ーー遅くなってごめん……無事でよかった」

さっきまでの張り詰めた空気は和らぎ、優しい薔薇の香りが鼻から肺に入る。

「……うっ……ふっ……ふぐっ……ふえっ…」

オレの震える手はオレを包み込む背中にしがみ付くようにその身体を引き寄せた。
背中をポンポンとされたら涙なんて止まらない。
皇貴先輩の肩口に顔を埋めて声を押し殺して泣いた。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

どのくらいそうしていただろう。

気持ちが落ち着いて涙も止まったのに離れたくない。

この匂いをもう少しだけ嗅いでいたい。

ヒックヒックと止まらないしゃっくりの合間に自分から胸に顔を押し付けて匂いを嗅ぐと、皇貴先輩の身体がビクッと跳ねて固まった。

「お、おい……」

頭の上から聞こえた声に、オレの身体が一気に熱くなる。

「はっ……はっ……あれっ…?」
「やっぱり、発情期が来てたのか……」
「はつ…じょぉ…き?」

発情期なら緊急抑制剤を打たないといけないけど……。

「お前、緊急抑制剤は?」
「ぁ………」

オレの視線に気付いた皇貴先輩は振り返り目当てのものを見つける。

「チッ、あいつらか」
「…ご、ごめ……ごめん…な…さ…」
「謝んな」

そう言うと、オレのTシャツの襟を引き伸ばして肩を露わにする。

「ひっ…」
「少し我慢しろ」

剥き出しになった肩に唇を寄せて喋られ、その吐息にフルッと震えた。

「……ぁっ……」

ガリっという音と共に首の根元に痛みを感じ、噛まれたことに気づく。

「ーーこれで少し経てば落ち着くか……ら……ぇ……」

皇貴先輩に噛まれたオレの身体の熱が一気に膨れ上がった。
それと共にオレのフェロモンが強くなったのか、皇貴先輩の呼吸が急に荒くなった。
オメガオレのフェロモンに充てられるかもしれないから早く離れないとと思うのに、シャツを掴む手が離れない。
もっとピタッとしたい。
触れ合いたい。
脳内で訴えてくるもう1人のオレの声に、燃える様に熱い身体は期待と不安で震える。

「こ…き…せ…ぱい……こ、こわ、い…オレ……ど…うなっ…ちゃ…うの?」
「…くっ……チッ……」

皇貴先輩はオレを抱き上げると、教室の奥に向かった。
一番奥に積まれてあった暗幕を引き出し、勢いのまま広げると、そこにオレを下ろした。

「やっ…」
「大丈夫だ、離さないから」

そう言うと、触れるだけのキスを何度もオレの顔に落としながら着ているシャツを脱がし、裸になった上半身を撫でる。

「やっ…さっき、舐め…られ…から…きた…な」
「汚くない」

オレの耳元で囁くとそのままオレの耳を食み、首筋をなぞる様に下りてきて、さっき他の男に舐められた胸を舐め先端を喰んだ。 

「んっ……はぁっ……ああっ」

先ほどとは違って快感しかない刺激に背中が仰け反り、ざらりと当たる舌の感触に更に快感が強くなる。
その間にもう片方の尖も弄られ、皇貴先輩のシャツを掴む手に力が入らなくなった。
その内、自分が発する厭らしい声に堪らなくなって、シャツから離した手で口を覆い声を抑えた。

「隠すな。声、聞かせろよ」
「…で、でも…」
「俺が聞きたいんだ」
「あっ……んぅっ……」

塞いでいた手を掴まれ、指を食まれ舐められた。
行き場を無くしたオレの手は背中に敷かれた暗幕を必死に掴んだ。

身体をなぞられる手がいつの間にかもっと下に移動した。
スルリとスラックスと一緒にボクサーパンツを脱がされた。
皇貴先輩の手は、愛液が溢れ出る後孔をなぞる。

「あっ…あっ…」
「大丈夫だ、最後までしないから」

目蓋にキスをされて見上げると、金色の優しい瞳がオレを見ていた。

「そ…そのめっ……ほし…みたい…キラ、キラ…きれ……」
「ーーっつ……おまっ…クソっ」

熱に浮かされ口走ったオレの唇を皇貴先輩が塞ぐ。
口腔内を蹂躙される気持ちよさに、オレは皇貴先輩の首の後ろに腕を回し引き寄せて、「もっと、もっと」と強請るように舌を突き出して絡めた。

「っ…ふっ…ふっ…あっ…」

後孔をなぞっていた手は前に移動しオレの中心にたどり着く。
皇貴先輩の大きな手で包まれなんとも言えない快感にポロポロと涙が出てきた。

「気持ちいいか?」
「あっ…あっ…きもちっい……せんぱ…は?」
「俺はいい。お前は何も考えずに感じていろ」
「んっ……ゃぁ……せ、んぱいも……いっ…しょじゃなきゃ……ゃっ」

オレの頭を撫でる皇貴先輩の手を掴んで頬擦りする。

「……くっ……」

皇貴先輩は声を漏らした後、自分のスラックスを寛げボクサーパンツから自分のものを取り出し、オレのものと一緒に握り込んで上下に動かす。

「あっ、あついっ……きもち…いぃ…」

自分のより熱く感じるものに擦られる快感がオレを絶頂に導く。

「あああっっーー」

生まれて初めて絶頂を迎えたオレは、そのまま意識を手放した。

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