ボッチ英雄譚

3匹の子猫

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第22話

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 僕はゴブリンジェネラルとの死闘を終え、いつの間にか眠ってしまっていたようです。突然顔に水がかかったと思い飛び起きたところ、目の前には助けを呼びにいってくれていたニコルさんと知らない男性が3人いました。


「ロンさん!!」


僕がニコルさんの無事を喜んでいると、ニコルさんが凄い勢いで僕に抱きついてきました。


「えっ?ニコルさん?どうしました?」


返事はなく、僕を抱き締めたままニコルさんは泣いてるようです。


「えっ?えっ?えっ?」


僕がどうしていいか分からず狼狽えてると、それを微笑ましそうに3人の男の人たちが眺めています。


一体僕はどうすればいいのでしょうか?



「何してるんだ!いい加減に抱き締め返してやれよ!お前は男だろ?」


男性の1人がそんなことを言っています。


えっ?僕はニコルさんに抱き締め返さないといけないのですか?そんなこと恥ずかしくてとてもできそうにありません。



さらに僕は混乱して動きが不審になっていきます。


「この坊やはまだそういうのに慣れてないんだろ?あと数年もしたら女を知って変わることだろーよ!」


えっ?何の話をしてるんですか?僕が童貞なのと今の状況にどんな関係があるんでしょうか?どうせならもっと分かりやすく説明をお願いします!!



「女を知って生き方まで変えたのはガープだろ!未だにお前が門番なんてお堅い仕事に就くなんて信じられねーもんな!」


「うっせーよ!ハインこそ司祭って柄かよ!!魔物を殴り倒してるお前の姿は司祭っていうより悪魔だったぜ!」


「司祭ってやつはいいぜ♪金は大して稼げねーけど、ありがたそうなことを適当に並べてたら勝手に尊敬されるしな!!回復魔法で人々を治療していたら、たくさん嫁さんにどうだって紹介されたしな!マジで選び放題だったぜ!!

その中から選びに選び抜いた俺の奥さんは最高だぞ!!」


「それは何回も聞いた!もう耳にタコができるくらいな!!

結局、ハインも奥さんと出逢って真面目になっちまったんだよ!俺と一緒だ!!」


「その点僕だけは独身を守ってるから未だに遊び放題だね!王宮魔術師なんてしてると結構モテるんだよ!まだ女を1人に選ぶなんてとてもできないね!!」


「「フラム、愛する人を作れないのはそれはそれで不幸だぜ!早く本当の愛を見つけられるよう祈ってやるよ!!」」


「くっ!そんなとこだけ綺麗にハモんじゃない!まるで僕の方が負け組みたいじゃないか…」



どうやら男の人たちはガープさん、ハインさん、フラムさんというらしい…おそらく僕を助けに来てくれたんだろう。



「あの…皆さんは僕を助けに来て頂いたんですよね?ありがとうございます!」


僕はひとまずお礼を伝えることにしました。


「まあ、どうやら助けは必要なかったみたいだけどな!」


「どうやってこいつを倒したんだ?」


「ガープ、ハイン!もうすぐ暗くなる。話は街に戻りながらにしよう!」


「そうだな!早いとこ戻るか!!酒が俺たちの帰りを待ってるぜ♪」


「今夜はほどほどにな!俺は明日も早朝からもう1度この森の探索をせねばならんからな!」


「そりゃそうか…ゴブリンキングがいるかもしれねーもんな!!」


「まあ、冒険者たちが討伐隊を組めばゴブリンキングくらいどうとでもなるだろう?」


「そうだな!」



 それから僕はみんなの乗ってきた馬車に乗り込みました。馬車に乗るのは生まれて初めての経験ですが、思っていた以上に揺れます。酔わないかちょっと心配になってきました。


「それで…ロンだったよな?俺は王都で門番長を務めているガープだ!あのとても司祭に見えないゴツい男がハインで、あのほっそい魔術師がフラムだ!


よろしく頼む。」


「はい。僕はロンです。助けに来て頂きありがとうございました。本当はお礼に今夜の飲み代くらい奢らせてもらいたいのですが、今日が冒険者として初めての依頼だったのでとてもそんな余裕がありません!

落ち着いたら改めて皆さんにはお礼の場を設けさせて頂きたいのですが、それで許してもらえないでしょうか!」


「はっ?初めての依頼だと?ロン、てことはお前のランクはまだFランクか?」


「はい。一昨日王都にやって来て、そのまま冒険者として登録しました。今日も薬草採集の依頼を受けて西の森へ訪れていました。」


「Fランクでゴブリンジェネラルをソロ討伐かよ!お前凄いな!!」


「本当に必死だっただけです。まともに一撃でも喰らっていたら殺られていたのは僕の方だった筈です。」


「そうか…なら何で逃げなかったんだ?」


「多分逃げてもすぐに追いつかれていたと思いますよ。ゴブリンジェネラルの方が単純な速度だけなら僕より僅かばかりか上だったので…」


「戦いだしてからじゃない!1度そこにいるニコルを逃がした後、ゴブリンジェネラルはお前を置いてニコルを追いかけたんだろ?一度戦って、勝つことは難しいと判断できた筈だ!

恋人でもないニコルの為に何故お前はゴブリンジェネラルを追いかけたんだ?」


「それは…あの時、正直もう後は逃げ切れるかはニコルさんの運次第とも思いました。追いかけない理由が次々と頭を流れていきました。

でも同時に、このままではニコルさんは追いつかれる恐れが高いことも理解していました。

最初にゴブリンジェネラルと戦った時、僕の攻撃ではダメージは入らず、ゴブリンジェネラルの動きはとても早く、その攻撃はとても重いものでしたが、どれも力任せで攻撃で受け流すことは比較的簡単にできました。

それで倒すことは不可能でも、時間を稼ぐことだけならできるんじゃないかと考えたのです!

救える可能性があると思ったら、僕はいつの間にかゴブリンジェネラルを追いかけていました。」


「それは死ぬ可能性の方が高いと分かっていた上でか?」


「はい。何故そんな行動をとったのかは僕にも分かりません。頭では冒険者としてあのまま逃げるのが正解なのは分かっていたんです。でも僕は追いかけてしまいました。」


「ロン、お前のとった行動は冒険者としては確かに失格だ!!

だが、お前は今日英雄になったんだ!お前の思考、行動はどれも英雄そのものだ!!」


「僕が…英雄ですか?

いやいやいや…さすがにそれはありえませんよ!!僕は田舎の村の出身のただの新米冒険者ですよ。」


「分かってないのはお前の方だっ!ニコルのお前を見る目を見てみろ!完全に尊敬する英雄様を見る目になってるからよっ!!」


 僕はニコルさんをじっと見ました。確かにニコルさんの僕を見る目はこれまでの人生で見たことのないものでした。


「ニコルさん?本当に僕なんかをそんな風に思ってくれてるんですか?」


「もちろんです!私はロンさんを尊敬しています。そして私には一生かけても返しきれないくらいの恩ができました。私のこれからの人生はロンさんの為に捧げたいと思っています!!

どうか私をロンさんのパーティーメンバーとして入れてもらえませんか!?」


「えっと…ごめんなさい!それはできないんです!!」


「私じゃ役立たずでしょうか?異空間収納のスキルもレベル3あるのですが…」


「そういう問題ではないのです。僕のジョブは特殊なジョブで、誰ともパーティーを組むことができないのです。」


「それはどういうことですか!?」


「あー。誰ともパーティーを組むことができないジョブなんて聞いたことがねー!俺たちも気になるぜ!」


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