ボッチ英雄譚

3匹の子猫

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第7話

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 翌日、僕は朝から人気洋服店であるハニーハニーに向かいました。


「ハーレー先生、おはようございます!」


「あら?こんなに朝早くからどうしたの?ガンちゃんのとこに遅れるわよ?」


「昨日ガンダルク師匠からの卒業試験をクリアしました!今日からはハーレー先生のところに集中しろ!!と言われてやってきました。」


「あはっ!もうガンちゃんのところを卒業したのね?分かったわ!私のところもそろそろ卒業試験をしてもいいかなと思っていたとこだったし、早速今日からは卒業試験を開始しましょう!」


「もういいのですか?」


「それはロンちゃんがとても優秀だったからよー。たった2ヶ月でお店で働く子と殆ど変わらない域まで到達してるんだもん!

卒業試験はガンちゃんと一緒よ!私の用意した素材を使って、ロンちゃん自身が装備する防具一式作り上げてみなさい!!性能も見た目もきちんと評価させてもらうからしっかりと作り上げるのよ!

試験だから一応課題は出しとくわねん!この皮のまま作製しちゃ駄目。全てを強化レザーにしてから、作り上げるのよん♪」


「分かりました!!」



 ハーレー先生は奥から何かの魔物の皮を持ってきて渡してきました。


「こ、これは…ダイヤウルフの皮をこんなに!!僕みたいなまだ冒険者にもなっていない見習いに、こんな贅沢にいいのですか?」


「いいのよ。これは試験でもあり、これから冒険者になるかわいい弟子への餞別でもあるんだから!!本当は私たちが師匠として装備一式を作ってあげたかったんだけど、ロンちゃんのジョブの特性上それだと弱体化しちゃうからね…

だから私やガンちゃんは素材を準備してあげることしかできなかったの…」


ハーレー先生は少し寂しそうにそう言い、すぐにいつものように明るい口調で言ってくれました。


「奥の作業場はいくらでも使ってもらっていいから、納得いくものを作り上げるのよ!」


「はい!頑張ります!!」



 そうか…ガンダルク師匠もハーレー先生も僕のことをこんなにも思ってくれてるんだな…何だか温かいな。師匠たちの期待を裏切らない物を作り上げるのが、今の僕にできる一番の恩返しだ!絶対にいい物を作ってやるぞ!!




 僕は早速作業に取り掛かりました。


まずはダイヤウルフの皮を剥がした時に残った脂を丁寧に削り落としていきます。


 次は鞣し機を使って皮を鞣していきます。すると皮よりも丈夫な革になります。

ここまではこの2ヶ月何度も経験してたので慣れたものです。ここからが少し難しくなってきます。課題にあった強化レザーにこの革を強化しなければなりません。


 これには素材に合った適度な魔力を込めながら、素材強化というをスキルを使い続ける必要があります。ムラなく革全体を強化するのはとても繊細な調整が必要なんです。

僕は5時間ほどかけて全ての革を無事に強化レザーへと進化させました。



よしっ!あとは採寸スキルで作った僕の型に合わせてこの強化レザーを切り分けてっと…

よしっ!!

次はこれらを縫うための糸を作らないと…



 戦うことを前提とした服やローブには普通の糸を普通に使ったのではすぐに切れてしまい、とても使い物にはなりません。だからこうやって魔力糸錬成というスキルを使って普通の糸に強い魔力を込めて丈夫に変えてから使用する必要があります。


装備品一式を作り上げるのに必要な糸は膨大な量です。それら全てにムラなく魔力を込めていくのはかなりの魔力を消費します。まだジョブレベル1の僕は総魔力量が少ない為、魔力切れを起こさないよう気を付けながら作業に集中していきます。


 ちなみに魔力切れを起こすと激しい頭痛に襲われます。それでもさらに無理をすると意識を失ったり、魔力枯渇症でしばらく魔力を扱うことができなくなるといわれてます。


この作業をこの1ヶ月の間、かなり訓練をしてきたお陰で、魔力消費減少と魔力回復のスキルも獲得したのは運が良かったてす。

魔力消費減少は、魔力の消費魔力を抑えることができます。

魔力回復は、消費した魔力の回復が早くなるスキルです。


この2つのスキルも普通は生産職ではまず覚えることがないスキルらしいです。



 話は逸れてしまいましたが、ここまで準備ができれば、あとは一針ずつ丁寧に縫っていくだけです。

この時もできれば微弱な魔力を込めて縫っていくと素材と糸が馴染みやすく、完成したときの出来映えが大きく変わっていきます。


もちろん僕は今回も一針ずつ魔力を込めながら縫い合わせていきました。



 こうしてこの装備の作成に集中すること1週間、とうとう完成しました!!

作ったのは強化レザーアーマーと強化レザーアーム、強化レザーグリーブ、最後に強化レザーブーツです。


 全体的に軽めで動きやすいように設計しました。色は強化レザーの特徴である黒に近い落ち着いた茶色で、渋い落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

僕は黒髪なので似合うんじゃないでしょうか?


ダイヤウルフの皮の特性で多少ですが素早さが上がる効果も付いてるようです。



「ハーレー先生、完成しました!!」


「まあっ!おめでとう!!早速見せてもらおうかしら♪」


ハーレー先生は僕の作った強化レザーシリーズを丁寧にチェックしていき、優しい顔で言ってくれました。


「ロンちゃん、よく頑張ったわね!なかなかいい出来だわ♪デザインは若者にしてはちょっと落ち着き過ぎだけどね!!もう少しくらい飾りを付けてあげたらもっと目立てたわよ!」


「ぼ、僕は目立つのは苦手なんで…シックな感じの方が好きなんです!」


「まあ、本人がいいならそれでいいと思うわ!これで私のところも卒業ね?ロンちゃんと毎日会えないなんて寂しくなるわね?」


ハーレー先生はそう言い、いつもとは違い優しく抱き締めてくれました。



「ハーレー先生…?」


「冒険者を辞めたくなったら、いつでもうちで雇ってあげちゃうから、この村へ戻っていらっしゃい!!

私もガンちゃんもカミューちゃんだってきっと同じ気持ちだと思うわよ。だから戻る場所がないなんて思っちゃダメ!ロンちゃんには帰る場所はいつでもあるの!

だから王都では思いっきりやりたいことをやってきなさい!!迷うことも沢山あると思う!…でも堂々と自分の信じる道を進みなさい!

どんなに成長して活躍したとしても、逆にどんなに落ちぶれてしまったとしても、私たちにとってロンちゃんは変わらずかわいい弟子なんだからね!

どんな辛いことがあっても、どんなピンチが訪れても最後まで生きることを諦めちゃダメ!どんなに惨めでも最後まで足掻いて生きなさい!!


選択を間違えて辛い時は、いつでも私たちに甘えにここに戻っていらっしゃい!!」


「ひゃいっ!」


 僕は涙が止まらなくなっていました。幼なじみ3人とはまた違った温かかな愛情が心地よく僕を包んでくれていました。


「あらあら…そんなに泣いちゃって、かわいいわね!

明日からはカミューちゃんのところで卒業試験を受けれるように私から伝えておくわね!!

カミューちゃんの試験は村の外で実施するらしいから、明日はガンちゃんのとこで作った武器と、私のところで作った防具一式を身につけて行くこと!

分かった?」


「はい!この2ヶ月の間本当にお世話になりました!!このご恩は一生忘れません!!!」



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