今更気付いてももう遅い。

ユウキ

文字の大きさ
上 下
12 / 21

宰相の提案

しおりを挟む
騎士に拘束されて連れられ、屋敷へ戻されたオフィーリアは、自室に籠った。
 屋敷からの只ならぬ一報を受け、なりふり構わず飛んで帰った宰相は、事のあらましを娘から聞き、信じられない思いで呆然とした。


『お父様、私、もう無理です……冤罪が晴れたとしても、解消は必然。私に自由は有りますでしょうか?婚姻も近く、王家の全てを学んでしまった私を……自由に生かしてはくれないでしょう?どうあっても家に、お父様に被害が及びます。それくらいなら、私……死を選びますわ』

『ならんっっっっ!!妻の忘れ形見のお前を、死なせるものか!!』
『ですが……』

『それ以外の道はないのか……?オフィーリア、我が愛しい娘よ。これ以上大事なものを失いたくないのだ』
『お父様っ、この様な選択しかできずに……申し訳、ございません』


 宰相は娘を掻き抱き、娘の前であろうが構わずに涙を流した。オフィーリアはたった2人の肉親である父に強く抱かれ、絶望の淵からやっと救い出された心地がした。

 一晩話し合ったが、オフィーリアの選択は変わらなかった。

 何としても娘を失いたくなかった宰相は、偽装を提案したのだ。




『─はどうにか探す。だから死んだ事にしよう』
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

けじめをつけさせられた男

杜野秋人
恋愛
「あの女は公爵家の嫁として相応しくありません!よって婚約を破棄し、新たに彼女の妹と婚約を結び直します!」 自信満々で、男は父にそう告げた。 「そうか、分かった」 父はそれだけを息子に告げた。 息子は気付かなかった。 それが取り返しのつかない過ちだったことに⸺。 ◆例によって設定作ってないので固有名詞はほぼありません。思いつきでサラッと書きました。 テンプレ婚約破棄の末路なので頭カラッポで読めます。 ◆しかしこれ、女性向けなのか?ていうか恋愛ジャンルなのか? アルファポリスにもヒューマンドラマジャンルが欲しい……(笑)。 あ、久々にランクインした恋愛ランキングは113位止まりのようです。HOTランキング入りならず。残念! ◆読むにあたって覚えることはひとつだけ。 白金貨=約100万円、これだけです。 ◆全5話、およそ8000字の短編ですのでお気軽にどうぞ。たくさん読んでもらえると有り難いです。 ていうかいつもほとんど読まれないし感想もほぼもらえないし、反応もらえないのはちょっと悲しいです(T∀T) ◆アルファポリスで先行公開。小説家になろうでも公開します。 ◆同一作者の連載中作品 『落第冒険者“薬草殺し”は人の縁で成り上がる』 『熊男爵の押しかけ幼妻〜今日も姫様がグイグイ来る〜』 もよろしくお願いします。特にリンクしませんが同一世界観の物語です。 ◆(24/10/22)今更ながら後日談追加しました(爆)。名前だけしか出てこなかった、婚約破棄された側の侯爵家令嬢ヒルデガルトの視点による後日談です。 後日談はひとまず、アルファポリス限定公開とします。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

なんだろう、婚約破棄の件、対等な報復を受けてもらってもいいですか?

みかみかん
恋愛
父に呼び出されて行くと、妹と婚約者。互いの両親がいた。そして、告げられる。婚約破棄。

選択を間違えた男

基本二度寝
恋愛
出席した夜会で、かつての婚約者をみつけた。 向こうは隣の男に話しかけていて此方に気づいてはいない。 「ほら、あそこ。子爵令嬢のあの方、伯爵家の子息との婚約破棄されたっていう」 「あら?でも彼女、今侯爵家の次男と一緒にいらっしゃるけど」 「新たな縁を結ばれたようよ」 後ろにいるご婦人達はひそひそと元婚約者の話をしていた。 話に夢中で、その伯爵家の子息が側にいる事には気づいていないらしい。 「そうなのね。だからかしら」 「ええ、だからじゃないかしら」 「「とてもお美しくなられて」」 そうなのだ。彼女は綺麗になった。 顔の造作が変わったわけではない。 表情が変わったのだ。 自分と婚約していた時とは全く違う。 社交辞令ではない笑みを、惜しみなく連れの男に向けている。 「新しい婚約者の方に愛されているのね」 「女は愛されたら綺麗になると言いますしね?」 「あら、それは実体験を含めた遠回しの惚気なのかしら」 婦人たちの興味は別の話題へ移った。 まだそこに留まっているのは自身だけ。 ー愛されたら…。 自分も彼女を愛していたら結末は違っていたのだろうか。

契約破棄された聖女は帰りますけど

基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」 「…かしこまりました」 王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。 では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。 「…何故理由を聞かない」 ※短編(勢い)

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

素顔を知らない

基本二度寝
恋愛
王太子はたいして美しくもない聖女に婚約破棄を突きつけた。 聖女より多少力の劣る、聖女補佐の貴族令嬢の方が、見目もよく気もきく。 ならば、美しくもない聖女より、美しい聖女補佐のほうが良い。 王太子は考え、国王夫妻の居ぬ間に聖女との婚約破棄を企て、国外に放り出した。 王太子はすぐ様、聖女補佐の令嬢を部屋に呼び、新たな婚約者だと皆に紹介して回った。 国王たちが戻った頃には、地鳴りと水害で、国が半壊していた。

処理中です...