今更気付いてももう遅い。

ユウキ

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宰相の怒り

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宰相は許せなかった。

 若さ故の暴走も
 正当化したいだけの匿名の正義感も
 手をこまねくばかりの王家も
 一番愚かな王子も

 だから、娘を追い詰めた、辛い選択させた、全ての者に等しく絶望を齎したかった。


 背格好が似た死体が手に入った時、早々に密葬しようと言う娘の意見を退けた。

 そしてあえて中規模程度の葬儀を行い、関係のある全てのものを必ず来る様に招いた。


 暴走し、掲げた正義の結果を眼前に突きつけ
 頑なに拒絶した殿下に、真実を捻じ込み


 等しく絶望に突き落とす。


 生きているからいい?──ふざけるな。


 娘の努力は、献身は、穏やかな人生は、貴様らに殺されてしまったのだ。

 心の底から絶望してもらわねば、到底赦せるものではなかった。

 いや、それでも赦しはしないのだろう。永遠に。

 死体が手に入り、準備が整うと、絶望への招待状を送った。

 殿下は来るだろうか?手を回して秘密裏に知らせよう。あれのことだ、最後だからと律儀に参列するだろうな。王家に止められても。

 さぁ、始めよう絶望への序章を。
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