ゼロ距離スイング

でみず

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 翌朝、厳しい日差しとともに試合当日がやってきた。
 ウォーミングアップの時点で隼人はどこか普段とは違う落ち着きがあった。昨夜の不安が嘘のように、身体は軽く、頭は冴えている。烈音はいつものようにクールな表情だが、隼人と目が合うとふっと瞳の奥で笑みが灯る。そのわずかな変化が、隼人の胸をさらに温かくした。
 開会式を終え、試合コートへ向かう廊下。人々の声が響く中、ふと烈音が隼人の背を軽く叩いた。その熱い掌は隼人のシャツ越しにゆるやかな振動を伝え、まるで「お前ならできる」と告げているようだ。隼人も目顔で、「はい!」とだけ答える。無駄な言葉はいらない。二人で勝利を掴む。それだけを胸にコートへ足を踏み入れた。

「勝とう」

 そのシンプルなメッセージが、二人の鼓動を高め、同時に不思議な高揚感を与える。

(失敗を恐れず、とにかく息を合わせてプレーする。いつもと同じ自分の力を出し切れば、それで勝利は掴めるはず)

 空を見上げると青い大気が広がり、コートは初夏の光に眩しく照らされている。観客席の熱気とセミの声が混ざり合い、風が二人の汗ばんだ肌を撫でる。合宿生活の中で育まれた絆と、それがもたらす新鮮な感情。全てが今この場所に凝縮され、明日へと続いていく。その未来を思い描きながら、
 そして、試合開始のコールが鳴り響く直前、二人はネットを挟んだ相手コートを見据えた。さあ、リラックスして、そして勝ちにいこう。
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