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Revenge Chemistry ~ ある研究者の復讐
序章 - 復讐のはじまり
しおりを挟むついにできた。
世紀の発明だ。
俺の名前は悠木望(ゆうきのぞむ)
しがない研究者だ。
俺は10年前に世紀の大発見とも言われた
物質を発見をした研究者だ。
この物質の発見は当時大きなニュースにもなった。
俺が発見した物質は超ナノレベルの物質で、
様々な細胞を思い通りに変化させられるという、
ある意味でとんでもないものだった。
別の実験の最中に偶然発見したものだったが、
再現性もあり、
また数値としても見事に状況を確認できたものだ。
それを科学誌に発表すると、
様々な方面からアプローチがあった。
医療や軍事利用の話が多かったが、
食品会社などからも問い合わせがあった。
しかし、この物質は特定の環境下のみでしか
当初動作させることができなかった。
そのため、この物質そのものの存在すら疑問視され、
また、でっち上げだの他物質との
取り違えだのと言われたい放題言われた。
もちろんそれらを覆そうと
必死に研究を続けたのだが、
どうにも汎用的に使えるような
状況にすることができなかった。
そうしてあまりに研究に没頭しすぎた俺は、
研究室での居場所を失い、
結果として研究室を去ることになった。
しかし、これで終わりにするわけにはいかないと、
私財を投げうって研究を続けた。
その結果、ついに完全な実用化に成功したのだ。
C2Sと名付けたこの物質。
C2Sは「セル・コントロール・サブスタンス」の略称だ。
日本語で言えば「細胞制御物質」というところか。
目に見えない超ナノレベルの物質でありながら、
細胞に接触するだけでその細胞を
事前にプログラムしたとおりに
変化させられるという夢のような物質だ。
ある意味で寄生虫のような物質なのだが、
とにかく難しかったのは事前に
変化概要をプログラムすることや、
変化速度の調整をできるようにすることだった。
もうダメかと行き詰りかけたその時に、
まさに神のお告げのようなアイデアが思い浮かんだ。
それはいままで実用化を妨げていた要素を
全て解決してくれるものだった。
しかし、こうしてやっと実用化をしたということは、
本来であれば医療であったりの世の役に立つことへの
利用を進めるべきなのだが、
今の俺にはそんな気持ちは1mmもない。
俺を蔑み、罵声を浴びせた人々に、
この物質を使って復讐をする。
これだけが俺の願いになっていた。
なお、このC2Sを使えば他人を洗脳することも、
肉体を造りかえて、男性を女性に変えることだって可能だ。
ついでにいえば、
動物に人間レベルの知能を持たせたり、
石を牛肉に変えることだって可能だ。
これさえあれば、
この世界を自分のものにすることもできる。
そんな危険性すら持っている物質だ。
さすがに世界征服のような
バカげたことをしたいとは考えていないが、
手始めに復讐を実行することぐらいは許させるだろうと
自分に言い聞かせている。
そうなると最初のターゲットは誰にするべきか。
ここ数日いろいろと考えていたのだが、
最初にこの物質の原型を発見し、
科学誌に掲載したあとに、
誹謗中傷ともいえる記事を書き散らかした
あの週刊誌の記者がいいなと思いついた。
小汚いおっさんだったあの男。
最初は世間の注目を集めた研究ということで、
なんとも気持ち悪いぐらいすり寄ってきていたのに、
研究に疑問が示されるようになると、
あっという間に手のひらを返しやがった。
あの酷い誹謗中傷記事の数々は忘れることはできない。
そんな馬鹿野郎なのだが、
俺が研究室を去る事になる直前まで
なぜか追いかけてきていた。
よほど記事の評判がよかったのだろう。
だから、いまでもその男の連絡先を知っているというわけだ。
こういう人間の屑をどうしてやろうかと
色々と考えてはみたが、
いっそのこと女にしてやろうと考えた。
そして、思いっきり犯してやろうと。
最後は従順な性奴隷にでもなってもらって、
少しは役にたってもらう。
そんな感じであっという間に構想が練りあがった。
そうと決まればC2Sの初実戦のための準備にかかった。
C2Sは細胞に対して変化を起こす物質ではあるが、
その変化傾向はある程度の許容範囲を持たせることができる。
だから、今回のようにクズ男を女性に変えるという
おおまかなプログラムだけにしておいて、
あとは本人に想像させたものを
反映させてみるのも面白そうだ。
どう変化していくかも
楽しんでみていいんじゃないか?
というところだ。
あとは何回か女性的な快楽で絶頂に達すると
従順な性奴隷になるプログラムを
追加しておけばいいだろう。
大枠としてはどうせなら巨乳なほうが楽しめるし、
あまりに不細工な顔では立つものも立たないので、
ベースとなる顔のイメージはプログラムをしておいた。
そして、徐々に身体が変化していき、
オナニーがしたくなるような時間経過型にしておいた。
ある程度変化が終えたら、
あとは絶頂するごとにより巨乳に、
より女性らしく加速度的に変化するうようにしてみよう。
そして、5回目の絶頂を迎えると
なんでもいう事を聞く性奴隷となり、
以前の記憶がすべて消えるようにプログラムを完了した。
あとはこれをC2Sに反映させればOKだ。
C2Sはほんの少量吸い込むだけでも効果を発揮する。
だが、空間にバラまいてしますと、
自分にも反映してしまう危険性がある。
そこで今回は粉状にすることにした。
飲み物に混ぜて少量でも口にさせれば
あとはこちらのものだ。
しかし、世の中からいきなり
一人の人間が消えてしまうというのでは、
事件になりかねない。
ふと思い出した昔の知人に連絡を取る。
裏社会に通じた危ないやつだが、
報酬さえ払えばキッチリといい仕事をしてくれる。
今回はあの男を女にした後の戸籍や名前を用意してもらった。
届いた書類にはこう名前が書いてあった。
「高木美咲」
年齢や本籍など本当に戸籍謄本そのものが届いた。
こんなものが簡単に手に入るとは本当に怖い世の中だ。
ニヤニヤしながら知人に送金を終えた。
これで準備は万端だ。
全ての準備を整えて、俺はあの男に電話をした。
以前からの話で新しいネタが見つかったが聞きたくないか?
とわかりやすい形で釣ってみた。
案の定ヤツは釣り針にひかかってきた。
しめしめというところだ。
他人に聞かれてはまずいという体にして、
あるホテルの客室で話をすることにした。
昔馴染みのホテルの1室をこのために確保しておいたのだ。
あとは日時と時間を決めて電話切った。
せっかちなヤツは明日を指定してきた。
こちらも早くこのC2Sをデビューさせたい
気持ちでいっぱいだったので好都合というものだ。
その日は高まる気持ちを抑えて、
なんとか眠りにつくことができた
こうして俺の復讐の幕は開かれたのだった。
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