29 / 30
Ⅶ それぞれの道
④
しおりを挟む
ルカはスマホを握りしめた。
(俺、そんなに持ち上げられるような存在じゃないよ。蓮、アルファのプライドはいいのかよ?)
心の中を言いたい言葉が占めていく。
画面の中では質疑応答になっている。記者が我先に、と挙手している。
『週刊ディデーの渥美です。現在のお二人の関係について質問します。今現在は蓮さんとLUCaさんは番恋人、ということでしょうか?』
ルカの心臓がドキリとする。自分たちの関係をどう説明するのだろう?
『私とLUCaは番です。それ以上でもそれ以下でもない、というのが現状です』
蓮の答えに納得していない様子の質問した記者。
『えーっと、分かりにくいので踏み込んでいいでしょうか? それは、発情期は一緒に過ごしている、と解釈していいでしょうか?』
あまりに明け透けな質問で聞いているルカの顔が赤くなってしまう。
『LUCaに求められれば、いつでも私が一緒に居ます』
おおっと会場内にどよめきが起きる。恥ずかしいけれど、番のアルファがそう言ってくれるだけでルカの心がホワリと温かくなる。自分は捨てられていない、そう思える。公の場で宣言したから今後発情期を蓮とすごそうがスクープにならないだろう。記者が追い打ちをかけるように質問をする。
『では、LUCaさんとは身体だけの関係という事でしょうか?』
聞いているルカがドキリとする。発情期だけの関係の番など珍しい。大昔は正妻の他に愛人としてのオメガを番として囲う風習が富裕層にあった。でも、そんなの現在では受け入れられないことだ。バース人権問題として批難されてしまう。蓮、この質問にうまく切り抜けないと俳優人生断たれてしまうよ。ルカの心臓がドキドキして手が震える。
『いえ。私の想いはLUCaにだけ向いています。ただ、若い私の過ちで先に番になってしまいました。通常と順番が違っているだけです。LUCaを身体だけの存在になど考えたこともありません。私にはLUCaだけです。私たちには歩み寄る時間が必要なのです』
記者を真っすぐに見つめて応える蓮。その真っすぐな瞳がスマホ越しにルカを射貫いている様で顔が熱くなる。心臓がドキドキしだす。まるで公の場で愛の告白を受けている様でルカが恥ずかしくなる。蓮、ポーカーフェイスすぎ。ルカはギュッとスマホを両手で包み込む。
時には意地悪のような質問が飛んだが上手く対応した蓮。中継が終了するまで見守った。ルカにとっては照れくさいような嬉しいような会見。俳優を続けていくと宣言してくれた喜び。これを見て蓮を悪く思う人はいないだろう。
(さすが俺のアルファ)
変な満足感でスマホを胸に抱き込む。
(俺、そんなに持ち上げられるような存在じゃないよ。蓮、アルファのプライドはいいのかよ?)
心の中を言いたい言葉が占めていく。
画面の中では質疑応答になっている。記者が我先に、と挙手している。
『週刊ディデーの渥美です。現在のお二人の関係について質問します。今現在は蓮さんとLUCaさんは番恋人、ということでしょうか?』
ルカの心臓がドキリとする。自分たちの関係をどう説明するのだろう?
『私とLUCaは番です。それ以上でもそれ以下でもない、というのが現状です』
蓮の答えに納得していない様子の質問した記者。
『えーっと、分かりにくいので踏み込んでいいでしょうか? それは、発情期は一緒に過ごしている、と解釈していいでしょうか?』
あまりに明け透けな質問で聞いているルカの顔が赤くなってしまう。
『LUCaに求められれば、いつでも私が一緒に居ます』
おおっと会場内にどよめきが起きる。恥ずかしいけれど、番のアルファがそう言ってくれるだけでルカの心がホワリと温かくなる。自分は捨てられていない、そう思える。公の場で宣言したから今後発情期を蓮とすごそうがスクープにならないだろう。記者が追い打ちをかけるように質問をする。
『では、LUCaさんとは身体だけの関係という事でしょうか?』
聞いているルカがドキリとする。発情期だけの関係の番など珍しい。大昔は正妻の他に愛人としてのオメガを番として囲う風習が富裕層にあった。でも、そんなの現在では受け入れられないことだ。バース人権問題として批難されてしまう。蓮、この質問にうまく切り抜けないと俳優人生断たれてしまうよ。ルカの心臓がドキドキして手が震える。
『いえ。私の想いはLUCaにだけ向いています。ただ、若い私の過ちで先に番になってしまいました。通常と順番が違っているだけです。LUCaを身体だけの存在になど考えたこともありません。私にはLUCaだけです。私たちには歩み寄る時間が必要なのです』
記者を真っすぐに見つめて応える蓮。その真っすぐな瞳がスマホ越しにルカを射貫いている様で顔が熱くなる。心臓がドキドキしだす。まるで公の場で愛の告白を受けている様でルカが恥ずかしくなる。蓮、ポーカーフェイスすぎ。ルカはギュッとスマホを両手で包み込む。
時には意地悪のような質問が飛んだが上手く対応した蓮。中継が終了するまで見守った。ルカにとっては照れくさいような嬉しいような会見。俳優を続けていくと宣言してくれた喜び。これを見て蓮を悪く思う人はいないだろう。
(さすが俺のアルファ)
変な満足感でスマホを胸に抱き込む。
58
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
処女姫Ωと帝の初夜
切羽未依
BL
αの皇子を産むため、男なのに姫として後宮に入れられたΩのぼく。
七年も経っても、未だに帝に番われず、未通(おとめ=処女)のままだった。
幼なじみでもある帝と仲は良かったが、Ωとして求められないことに、ぼくは不安と悲しみを抱えていた・・・
『紫式部~実は、歴史上の人物がΩだった件』の紫式部の就職先・藤原彰子も実はΩで、男の子だった!?というオメガバースな歴史ファンタジー。
歴史や古文が苦手でも、だいじょうぶ。ふりがな満載・カッコ書きの説明大量。
フツーの日本語で書いています。
短編エロ
黒弧 追兎
BL
ハードでもうらめぇ、ってなってる受けが大好きです。基本愛ゆえの鬼畜です。痛いのはしません。
前立腺責め、乳首責め、玩具責め、放置、耐久、触手、スライム、研究 治験、溺愛、機械姦、などなど気分に合わせて色々書いてます。リバは無いです。
挿入ありは.が付きます
よろしければどうぞ。
リクエスト募集中!
【R18】息子とすることになりました♡
みんくす
BL
【完結】イケメン息子×ガタイのいい父親が、オナニーをきっかけにセックスして恋人同士になる話。
近親相姦(息子×父)・ハート喘ぎ・濁点喘ぎあり。
章ごとに話を区切っている、短編シリーズとなっています。
最初から読んでいただけると、分かりやすいかと思います。
攻め:優人(ゆうと) 19歳
父親より小柄なものの、整った顔立ちをしているイケメンで周囲からの人気も高い。
だが父である和志に対して恋心と劣情を抱いているため、そんな周囲のことには興味がない。
受け:和志(かずし) 43歳
学生時代から筋トレが趣味で、ガタイがよく体毛も濃い。
元妻とは15年ほど前に離婚し、それ以来息子の優人と2人暮らし。
pixivにも投稿しています。
【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】
海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。
発情期はあるのに妊娠ができない。
番を作ることさえ叶わない。
そんなΩとして生まれた少年の生活は
荒んだものでした。
親には疎まれ味方なんて居ない。
「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」
少年達はそう言って玩具にしました。
誰も救えない
誰も救ってくれない
いっそ消えてしまった方が楽だ。
旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは
「噂の玩具君だろ?」
陽キャの三年生でした。
体育倉庫で不良に犯された学級委員の話
煉瓦
BL
以前撮られたレイプ動画を材料に脅迫された学級委員が、授業中に体育倉庫で不良に犯される話です。最終的に、動画の削除を条件に学級委員は不良の恋人になることを了承します。
※受けが痛がったりして結構可哀想な感じなので、御注意ください。
その部屋に残るのは、甘い香りだけ。
ロウバイ
BL
愛を思い出した攻めと愛を諦めた受けです。
同じ大学に通う、ひょんなことから言葉を交わすようになったハジメとシュウ。
仲はどんどん深まり、シュウからの告白を皮切りに同棲するほどにまで関係は進展するが、男女の恋愛とは違い明確な「ゴール」のない二人の関係は、失速していく。
一人家で二人の関係を見つめ悩み続けるシュウとは対照的に、ハジメは毎晩夜の街に出かけ二人の関係から目を背けてしまう…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる