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後編
あなたが選んだ道です、さようなら
しおりを挟む皆様、お久しぶりにございます。
学園へ入学したら、前年度に入学した婚約者が女生徒たちを侍らせただけでなく妊娠させていたという驚きの不貞事件が待っていたマチルダ・アールスにございます。
という堅苦しいのは面倒なので、元に戻ります。
いいんです。
兄が後継者で、私は学園を卒業後、商会の会頭で専用薬師の一人となりますから。
学園を卒業する前に、無事にすべてが片付きましたのでご報告します。
不貞行為の結果、妊娠されたのは関係をもっていた十八人中十五人。
三人は同性、つまり男性です。
……さすがに、男性は妊娠しませんよね。
彼らにも慰謝料は支払っていただきました。
「同性だから許される」と宣っていたから、「あなた方の弟妹が同じ言葉を免罪符に同性から襲われてもお許しになられるんですね」と笑ったら青ざめました。
おかわいそうに……
すでに彼らの兄弟姉妹は、その言葉に腹を立てた方々に襲われ、「同性だから許されるんだよねえ」と捨て台詞を吐かれていたそうです。
彼ら三人も、家名を汚した罪で廃嫡。
私への慰謝料は暴言の慰謝料も追加されて支払い、息子にその借金を背負わせて下級男娼館に売却した。
下級の男娼館や娼館は、殺さなければ暴行も許されている。
その代わり、稼ぎはいい方だ。
一番稼げるのは、鉱山の坑夫だ。
ただし、死と隣り合わせの危険な作業だ。
十五人の妊婦様は自死をさけるため、病院の個室に隔離された。
出産後、子を抱くことも許されず、親が決めた場所へと送られた。
元クレイソン伯爵令嬢の場合、出産後に特殊な趣味のある他国の豪農の何番目かの後妻に売られた。
「これでどうかお許しを」
「なに寝ぼけたことを。慰謝料にはまだ足りませんわ」
「…………小娘、ふざけたことを」
「慰謝料の踏み倒しですか? 構いませんよ。あなたの一族には避妊薬も堕胎薬も売りません。慰謝料を支払わない領地に小娘の商会を置くことも、小娘の作った商品を売ることもしません。あなたが選んだ道です、さようなら」
「まっ待ってください! 慰謝料は支払います!」
「慰謝料を払うのは当然です。支払えないなら爵位をお返しなさって、慰労金を慰謝料に当てたらいかがです? 娘の教育を失敗しただけでなく、下半身をユルユルにして開きやすくしたクレイソン男爵」
口をポカーンと開いたまま動けないクレイソン男爵。
隔離されている間の事情聴取で、父や叔父に性的虐待を受けてきたそうだ。
母がいないことで、それがおかしな関係性だと知らなかったらしい。
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