アーリウムの大賢者

佐倉真稀

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王都アルデ(ヒューSIDE)

海※

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※R18表現があります。



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「ここは?」
「俺の工房。この部屋は俺の部屋にくっついているリビングかな。そこの扉の向こうが俺の寝室。そこの窓はバルコニーになっていてそっちを通っても隣の寝室に行ける。外に出てみる? さっきまでいた母屋も見えるよ?」
「見たい」
 俺の膝を降りたメルトの腰を捕まえてチュッとキスをする。
「朝したっきりだったから、もっとしたいけど、夕飯に間に合わなくなるからな」
 俺の工房の部屋は大きな窓からバルコニーに出られる。窓を開けると潮の匂いがして、ああ、故郷に帰ってきたと思う。
 夕焼けに染まっていく空のグラデーションが綺麗で、メルトの顔にもオレンジの日が射している。
 メルトは海を見て、驚いた顔をしている。
 そういえばラーンには大きい湖もない。

「ああ、メルトはもしかして海を見るのは初めてか? 潮の匂いも初めてかもな。海の匂いが風に乗ってここまで来る。あれが海だ」
「海? あれが……」
 メルトの視線は夕日に輝く海の波に向けられる。水平線の先は空だ。
「大きな湖じゃないぞ? 海に囲まれて陸地があるんだ。陸地より海のほうが大きい。アルデリアや、ラーンのある大陸は、北東の方角にある。メルト、ようこそ、アーリウムのクレム領、領都アルファンへ」
 今日二回目のようこそだ。メルトがくすりと笑う。
「ちなみに海の水はしょっぱいから飲めないぞ」
「え? 飲めないのか?」
「残念ながらね。だから船には水を作る魔道具か水樽を積む。水を補給できないからな」
「へえ。船に乗ったことはないが大変なんだな」
 話しているうちに陽が落ちて海が暗くなっていく。
「メルト、中に入ろう。着替えて食堂に行かないと」
 隣の寝室にクローゼットがあるので、そこに連れて行く。
 大きなベッドと壁にクローゼット。クローゼットの扉には鏡が貼ってある。
 部屋に浄化をかけて自分とメルトにもかけた。クローゼットから衣装を取り出す。
「凄いな」
「着替えて来いっていわれちゃったからなあ。これとこれかな?」
 晩餐なら正装だ。
「んー白かな?」
 交互に紺と白の二つの衣装をメルトに当てて、似合う白い方を渡した。
「これ。俺には小さいんじゃないか?」
「それはサイズ可変機能がついてるからフィットするよ」
 メルトが首を傾げる。
「まあ、着てみればわかるよ」

 メルトが頷いて服を脱ぎだす。いい眺めだ。
「ヒュー。見てもいいが、恥ずかしい」
「綺麗だな。メルトは」
 思わず抱きしめて口付けようと顔を近づけた。
「ヒュー……」
「メルト……」
 困った顔をするが逃げないメルトに内心嬉しく思って口付けた。
「……んん……」
 メルトから舌を絡めてくる。嬉しく思って吸い返す。
「……は……ヒュ、ぅ……」
 メルトの体温が上がる。服を掴む手に力が入ったのがわかる。押し付けられた股間の熱さに口元が緩む。
「だ、めだ……食堂に……はッ……」
 メルトの言葉には応えず、手を伸ばして下着越しに膨らみを撫でた。ますます盛り上がる膨らみに快感を与えたくなる。
「ヒュー……駄目だ、出さないと……いけなくなる……」
 可愛い。抱いてしまいたい。
「じゃあ、出して。俺の口の中に……」
 しゃがみこんで膨らみを晒す。もう張り詰めて上を向いている。
 可愛いそれを愛しく思って口に咥えた。

 丁寧に舌で舐めあげるとメルトが震えた。
「あっ……ヒュー……あっ……ッ……」
 唇で扱くように頭を上下させて、手で幹を扱く。硬く張りつめていく感覚に、俺の体も熱くなる。ああ、抱いてしまいたいけど、夕食に出ないといけない。
 俺もくぐもった呟きを漏らしながら、メルトを追い詰めていく。
「……あっ……イく、イくっ……あっ……ああああぁーーーっ……」
 メルトの切羽詰まった声が聞こえ、追い打ちをかけるようにきつく吸い上げた。
 口の中に広がる、甘いメルトの精。
 全てが愛おしい。俺のメルト。
 丁寧に舐めとって口を離す。
「……はあ……はあ……」
 浄化をかけて下着を元に戻した。
「我慢できなかったんだ。ごめんね?」
 ぎゅっと抱きしめて謝ったけど、涙目で睨まれた。あ、やりすぎちゃったかな?
「もう、ヒューの馬鹿ッ……俺だって、我慢してたのに……夜、俺も口でするっ」
「えっ口でしてくれるの! やった!」
 ご褒美! ご褒美だよ!!
 ぶすっとした顔で着替えたメルトはカッコよかった。
 あとで口でしてもらえるんだ。サイコ―!
 浮かれたまま、食堂へ転移した。

 食事が終わった後、メルトにハディーから質問攻め。
 デリケートな話題に思わず割って入る。
「もう、いい加減にしてくれよ。しばらくこっちにいるから、少しずつ聞いてくれ。二度も長距離転移したからちょっと疲れているんだ。もう休んでもいいだろう?」
 ちっとハディーが舌打ちしたのを俺は聞き逃さなかった。就寝の挨拶だけしてメルトを引き寄せて転移する。
「はあ。メルト、程々でよかったんだぞ?」
 愛しくてぎゅうっと抱きしめるとメルトも抱き返してくれた。
「俺も、ヒューのいろんな話が聞けて楽しかったから、大丈夫だ」
 メルトのこういうところが俺は好きだ。
「その、俺は自分でメルトに伝えたかったよ。その、あの彫像時代の話も、龍とのことも、ちゃんと話すから。メルトに隠し事はしたくないからな」
 チュッと口付けて微笑む。そうだ。メルトに隠し事はなしだ。
「俺も、まだいっぱいヒューに話したいことがある。急がなくていい。ゆっくりお互いに話していこう」
 抱きしめ合って、俺たちはお互いの体温を確かめた。
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