アーリウムの大賢者

佐倉真稀

文字の大きさ
上 下
78 / 115
再会編(ヒューSIDE)

魔の森⑦ ※

しおりを挟む
 R18表現があります。
 背後注意。
 苦手な方は飛ばしてください。

  ※※※  ※※※  ※※※  ※※※  ※※※  ※※※  ※※※   



 メルトの最後に滞在した街は魔の森に近い街で、アルデリアの国境を目指して街道を歩いていたはずだという。俺はメルトの立ち寄った街を指さした。

「メルトの最後に寄った街はここ、街道はこうなっていて、森はここ。メルトはアルデリア王国を目指していた、ということだから、辺境のこのデッザっていう街が一番近い。途中小さい村はあるかもしれないけど、ギルドが発達している冒険者の多い街だね」
 メルトが感心するように地図を覗き込んだ。この地図はアルデリアの諜報機関が作った物に俺が書き加えて補填したものだ。つまり俺のオリジナル。これほど詳しい地図は存在しないだろう。なんせ、海を越えた俺の故国、アーリウムの位置まで書かれているのだから。

「そうすると、ここに次の村に向かう抜け道があるみたいなんだ。で、反対側に獣道っぽいのがある。狩人や冒険者用の道だったのかもね。状況を考えると、こっちに行くはずが、こっちに向かってしまって、魔の森に迷い込んだ、ってところかな? 例えばお互い向き合ってて言葉で教えた方向が左右逆だってことに気付かなかったってことかもね?」
 メルトは方向音痴じゃないとか呟いていたけど、魔の森の中は方向感覚が狂うから、迷い込んだ時点でほんとは詰んでる可能性が高い。俺と出会って本当によかったと思う。
「とすると、この辺と見ていいんだろうけど。上手く出れるといいね」
 地図の魔の森のある場所を指して俺は言った。
「ああ、そうだな」
 メルトの表情が何やら変だ。どうしたんだろう? 気分でも悪いのだろうか、と聞こうとした。

「ねえ、メルト……メルト?」
 ぐらりと、メルトの身体が傾いだ。ハッとして手を伸ばす。
「メルト!」
 倒れるのを抱きとめて、俺は大人の姿に変化した。抱き抱えたメルトから、柑橘系の甘い香りがした。
 横抱きにして、靴を脱がせて、ベッドに寝かせる。額に汗をかいている。苦しそうで、胸元を緩めようと手を伸ばした。

「あ……んんッ……」
 メルトの声に手が止まる。甘い声。メルトから濃密な、甘い香りがする。
「たす、けて……」
 掠れた声をあげて、俺の方に手が伸びた。閉じていた目が開く。熱でもあるのか、その目は潤んでいる。こんな時なのに俺の下半身は甘い疼きを感じて、熱を持つ。伸ばされた手を反射的に握りしめて顔を覗き込んだ。
 メルトの手が熱い。

「ヒュー?」
 掠れた声が腰に響く。自分で、自分が制御できなくなる予感がした。
「熱い、んだ。ヒュー……脱ぎたい……」
 メルトはもどかしげに服の合わせ目に手をやるが震えてボタンは外せなかった。俺は覚悟を決めて頷いた。
「わかった。脱ごう。手伝うよ」
「うん。ヒュー……」
 嬉しそうに微笑むメルトにくらりとした。濃密な甘い柑橘系の香りが俺にまとわりつく。

 ああ、これは。
 発情期の発作だ。抑え込んだ発情期を持つフィメル特有の発作。それも重篤の。
 重篤な発作を引き起こしたフィメルのフェロモンは強力で近くにいるメイルに媚薬効果を発揮する。
 この濃密な甘い香りはメルトのフェロモンだ。自分を襲えと俺に訴えかけてくる。
 俺の理性はもうそろそろ無くなってしまうだろう。

 全てを脱がせて、全裸でベッドの上に横たわるメルトの白い肌は紅潮して艶めいていた。そしてメルトの象徴が立ちあがっているのも俺からは丸見えで。
「ヒュー、触って……ヒューの手、気持ちいい……」
 握っている俺の手を股間へと導くようなそぶりをした。
「メルト……」
 俺は止まらなくなるよ? そんな顔で強請られたら。
「ヒュー、脱いで? 服いらない……」
 メルトが俺の服を脱がそうとするが、上手くいかないようだった。

「わかった。今脱ぐから、ちょっと待ってて。すぐだからね?」
 ベッドの上で足を崩して座り込んでるメルトをちらちらと見ながら手早く服を脱ぎ去った。脱いだものは床に放置で、ベッドに乗り上げて、メルトの前に座る。
 メルトが抱きついてきて心臓が跳ねあがった。
「メルト……」
 思わずぎゅっと抱き返した。少し高い体温が気持ちいい。香るメルトの匂いを吸うと、また股間が疼いた。
「ヒューのおっきくて長いね。これ、ちょーだい?」
 メルトが無邪気な様子で強請る。子供に退行しているような感じだった。メルトが、手を伸ばして俺の象徴に触れる。俺のそこは節操がなく一気に張りつめて先走りを零した。

「メルト……」
 ベッドにメルトを仰向けに横たえると、メルトは期待に満ちた目で俺を見た。嬉しいけど、少し寂しい気持ちもある。理性を失っている状態でなければと、そう思う。
「メルト、ちゃんと言ってからこうしたかった。初めて会った時から、俺はメルトが好きなんだ。恋人になってからメルトを抱きたかった。」
 そう言いつつも、俺はメルトに覆いかぶさる。
「愛してる。メルト」
 メルトの唇に口付ける。吸い上げて、メルトの口の中に舌を侵入する。メルトの舌を探して擦りつけた。絡む唾液を吸い上げて嚥下する。とても甘かった。
『ああ、メルトだ。やっとだ。やっと……』
 じんわりと胸に熱いものが広がっていく。今までの喪失感や焦燥が消え、満たされていく感覚。
 不思議だ。
 俺はメルトの肌に触れたのは初めてなのに、知っているような気がした。
 手に吸い付くような手触りも、胸の突起が弄るとすぐ尖って、ぷくりと熟れる様子も。
 舌で弄ると気持ちいいのか、メルトの象徴が硬くなって蜜を零す様子も。
 初めてなのに初めてじゃない感覚。
 失ったものを取り戻したような、そんな既視感に囚われながら俺はメルトに夢中になった。

 メルトの象徴を軽く扱くと先端から透明な蜜が零れた。それを舌先で舐めとり、先端を口に含んで吸い上げた。
 ビクリと震えるメルトが弾けてその甘い液体を残らず飲み干した。
 魔力の相性がいいと、甘く感じると聞いてはいたが、これほどなのか。
 メルトの魔力の塊を飲み下すと、すぐに俺の魔力器官に染みわたって巡る。

 ああ。気持ちがいい。
「気持ち、いい……」
 シンクロしたように、メルトの掠れた甘い声が耳朶を打つ。
 充分に堪能したメルトの象徴を離して起き上がり、メルトの顔を見つめる。
 ほんのり色づいた目元が色っぽい。
 メルトの足を広げて間に入って覆いかぶさった。すぐに伸びた手に背を抱かれる。
 引き寄せられて耳元にメルトの声が吹き込まれた。

「もっと、気持ちよくして……ヒューの子種、俺の奥にちょうだい……」
 熱に潤む二つの翠の宝石が俺を絡め取る。吸いこまれるようにキスをしてまたメルトを見つめた。
「……ぅん、キスも好き……」
 また心臓が跳ねた。もう駄目だ。
「メルト、わかった。気持ちよくする。いっぱい、ね?」
 メルトの耳元で囁くとメルトが震えた。耳が弱いのかもしれない。

「ん、ヒュー好き……」
 ああ、メルトが好きだって言ってくれた。熱に浮かされた言葉でも、嬉しい。嬉しすぎて涙が出そうだ。
 でも、ほんのちょっと残った理性が避妊具をアイテムボックスから取り出した。
 それを装着してからメルトの足を抱えあげた。
 ヒクりと戦慄く後孔が見えた。ごくりと喉が鳴る。

「入るから、力抜いてて……」
 メルトが頷くのを見て、先端を後孔に押し当てた。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

転生したけど平民でした!もふもふ達と楽しく暮らす予定です。

まゆら
ファンタジー
回収が出来ていないフラグがある中、一応完結しているというツッコミどころ満載な初めて書いたファンタジー小説です。 温かい気持ちでお読み頂けたら幸い至極であります。 異世界に転生したのはいいけど悪役令嬢とかヒロインとかになれなかった私。平民でチートもないらしい‥どうやったら楽しく異世界で暮らせますか? 魔力があるかはわかりませんが何故か神様から守護獣が遣わされたようです。 平民なんですがもしかして私って聖女候補? 脳筋美女と愛猫が繰り広げる行きあたりばったりファンタジー!なのか? 常に何処かで大食いバトルが開催中! 登場人物ほぼ甘党! ファンタジー要素薄め!?かもしれない? 母ミレディアが実は隣国出身の聖女だとわかったので、私も聖女にならないか?とお誘いがくるとか、こないとか‥ ◇◇◇◇ 現在、ジュビア王国とアーライ神国のお話を見やすくなるよう改稿しております。 しばらくは、桜庵のお話が中心となりますが影の薄いヒロインを忘れないで下さい! 転生もふもふのスピンオフ! アーライ神国のお話は、国外に追放された聖女は隣国で… 母ミレディアの娘時代のお話は、婚約破棄され国外追放になった姫は最強冒険者になり転生者の嫁になり溺愛される こちらもよろしくお願いします。

稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています

水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。 森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。 公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。 ◇画像はGirly Drop様からお借りしました ◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

処理中です...