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野ペンギンと恋2
しおりを挟む「もちろんです。でもそのことは内密にお願いします」
「この学園だと危険だからな…」
男ばかりなせいで、男に恋愛感情が向く者が多く、美形の男がモテる。その美形には親衛隊というファンクラブのような組織ができるのだが、対象者を守ろうとするあまり、過激になることがある。
恋が歪んで、ということもあるだろうが、俺としては集団心理が働いて過激になりやすいのでは、と思う。
それで、美形に近づくものは制裁されるなんてこともある。つまりはイジメだな。
雪は俺には可愛くてしかたないが、顔は平凡の部類に入るので、親衛隊のいる俺に近づいていると知られると危険かもしれないのだ。
俺の親衛隊は隊長がしっかりしていて統率がとれているから問題ないとは思うが、親衛隊に入ってなくて俺に好意を抱いている者もけっこういるから気をつけるように言われてるので、気をつけないとな。
そういうわけで、この部屋でペンギンを一時的に飼うことにした。そして世話は交代でなく2人で行うことにした! よくやった俺。
さっそくペンの為に必要なものを家の者に手配させる。ペンというのは安易だが可愛い雪命名の元野ペンギンの名前だ。
しかし山奥にペンギンて、ありえないだろ。これは調べる必要があるな。
「コナミ。エサがやってきた」
「はやっ! 食堂からですか?」
「いや、それじゃあ困るだろ。外で買ってもらったものだ」
「さすが会長…」
「冷凍も買ってこさせたが、今用に生もある。今はこれをやってみよう」
「はい。食べるかなあ?」
雪の心配をわかってないペンはぼんやりとしている。動く体力もないのかもしれんが。
「ほら」
小さなアジの入った袋を雪の前に出す。
「え、俺がやるんですか?」
「別に俺がやってもいいが、……やりたくないか?」
「…やりたいです」
袋から一匹のアジを取り出した雪はおそるおそるペンにアジを近づける。すると、動きが鈍かったペンが素早く動いてアジをがぶりとくわえて飲み込んだ。
「わ。食べた。もう一匹食べるかー? おおー」
目を輝かせる雪可愛い。
何匹か食って満足したらしいペンを見る雪も幸せそうで可愛い。
いい状態の空間ができあがっている。このままいい感じにもっていけば恋愛に発展するかもしれない。
そういう自信はどこからともなくあるので可能性はあると思うが、……恋人のいる身にそんな雰囲気を出すのはまずいだろう。逆に警戒したり、嫌がられたりするかもしれない。
ここはぐっと我慢し、相手の男がヘマしたとこをかっさらう作戦がいいな。
その為には長期間の関係を気づく必要がある。その為にはこのペンギンによってできた関係を全力でうまく利用する。
「ペンは何ペンギンなのかな?」
「たぶん、フェアリーペンギンだな。ちょっと小さいだろ? それは小さい種類だからで、エサ不足で成長しなかったわけじゃない」
「それじゃあ、これ以上大きくならないんだ。あとは横に太れば安心かな? 女の人はすごい嫌がりそうだけど、こいつは気にしないよな」
楽しそうに笑う雪に、俺は目を細めて眺める。もちろん雪には気づかれないように。
「あの…、会長」
「ん?」
なにか言いづらいことだろうか。躊躇う姿がなにかいい感じだ。末期か俺は。
「世話を一緒にすることにしましたけど…」
「ああ、無理な時間があるなら先にいってくれれば問題ないが」
「そうじゃなくて、…世話、だけじゃなくて、いつでもペンを見に来ていいですか?」
申し訳なさそうな顔は俺を試してんのか!
携帯端末の中におさめたい。
「別に好きな時間に来ればいい。ただ、2人だけの内緒な?」
他の奴に邪魔されてなるものか。俺と雪には他に接点がないんだぞ!
「はい! よかった。ペン、なるべく来るからなー」
ぐはあっ。笑顔が眩しい。
俺は衝撃を受けて変な顔になったかもしれないが、雪はペンの姿を見ていて気づかれなかった。
そうして俺にとっての幸せライフがやってきた。時間ができればペンのいる家に行き、そうすると高い確率で雪に会えるのだ。よほどペンが可愛くてしかたないようだ。
「コナミ、お茶いれたぞ」
「あ、すみません。俺が用意すべきでしたよね」
夢中でペンを撮影していた雪を呼ぶと慌ててリビングにやってきた。
「俺が飲みたいついでだからいい。菓子は差し入れだから、遠慮せずに食べるといい」
紅茶よりコーヒーが好きなんだが、雪には紅茶が似合うんじゃないかと思い紅茶にした。菓子は本当に差し入れで、普段は多いので生徒会室に置いておくと消えるが、もとは俺がもらうんだから俺がどうしようとかまわないだろう。
「ありがとうございます。うわっ美味しい」
嬉しそうな雪の表情をこうして近くで見れる日が来るとは…。半分諦めていたからペンに感謝だな。
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