ツクチホ短編まとめ

はるば草花

文字の大きさ
4 / 59

会長を中心に世界が回る2

しおりを挟む
佐城の家墨お世話は朝早くから始まる。


「サジョウ様。おはようございます」

「おはようございます。カスミはどうですか」

「いつものように私では起きていただけません。お願いします」


家墨の部屋から顔を出したのは会長親衛隊の隊長をしている間戸である。

穏和な性格の美少年で、家墨を敬愛していて家墨からの信頼もえており、こうして部屋に入ることを許されている。

だが、家墨は間戸の手にはおえないのだ。


佐城は寝室へと向かって中に入り、眠る家墨の肩を揺する。


「カスミ!起きてください」

「んー…」


起きる気配はない。

よくあるので気にせず佐城は家墨の背と膝裏に腕を入れて、その身体を引き寄せて持ち上げた。

見た目は細めの佐城だが、わりと力があり、家墨も身長のわりには体重がない。なので佐城は食べさせるようにしているのだが、なかなか太らない。


家墨をリビングのソファーまで運び座らせるが、それでもほとんど寝ている。

目を覚まさせる為に音楽をかけ、水を家墨に渡す。


「むー…」

「こぼさないでくださいよ」


コップはいつでも手から落ちそうだ。控えめに間戸が支えているので落ちることはない。

その間に佐城は朝食を作る。出来上がった頃には家墨も動けるほどに目を覚まし仕度をしたが、またソファーで二度寝突入寸前というところにまでなっていた。


「リクエストされたスクランブルエッグを作りましたよ。ちゃんと起きて食べてください」

「おー…。起きる」


起きる宣言したが、頭は揺れている。それでも家墨が朝食を食べ始めたので佐城と間戸も食べ始めた。

家墨の仕度が終わると3人は部屋を出て学校に向かう。


「カスミ」

「…なんだ?」


まだ眠い家墨。不機嫌そうに佐城を見る。


「ネクタイが曲がってます」

「ん」


佐城は家墨のネクタイを直した。ついでに全身を見回して、わずかに跳ねている髪を手で撫でて落ち着かせた。


「忘れ物はないですよね?」

「分からん」

「堂々と言うものではないですよ」

「だが、本当だ」

「そういうことではなくてですね」

「あ、あの私が確認しましたので」


口論になるんじゃないかと心配した間戸が慌てて声をかけた。


「そうですか」

「おー。助かる」

「カスミ、人任せばかりではいけませんよ」

「…今日は確認してるぞ。自信がないだけで」


家墨の言葉に呆れる佐城だが、こんなふうなのが家墨なのだ。

間戸とは途中で別れ、2人は同じ教室へと向かう。


「ちょ、カスミ。まだ眠いんですか?」


ウトウトしだした家墨は佐城の身体にもたれかかる。


「むー…」

「カスミ、こんなところで寝ては駄目ですからね。せめて教室までもってくださいよ」

「おー…」


一応、眠気と戦う家墨だけども、身体は佐城に寄り掛かることで歩き、なんとか教室に到着した。

密着度の高い登校はよくあることで、いろんな推測がされている。



「ねー、かいちょー。今日も副会長といちゃいちゃしながらの登校だったんだってー?」

「あ?覚えがねー。つーかうざい」


仕事する家墨に、会計の深高が背中にへばりついてきた。


「いいじゃん。俺とも仲良くしよ?」

深高は家墨に顔を擦り寄せる。


「…やめろ」

「会長、いい匂いする………。…ふみゃあ!」

「なにしてるんですか、あなたは。離れなさい」


佐城が深高の背中を資料本で叩いた。そんなに痛くはない。


「ひどいよ、副会長。暴力ダメ!反対!」

「あなたが会長の邪魔をしなければしません。ミタカは自分の仕事はしてるんですか」

「んー。休憩中?」

「すぐに再開なさい」

佐城は笑顔で威圧した。


「…ふあい」


副会長佐城に逆らうなんてない深高は大人しく自分の席に座る。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

処理中です...