悪役令嬢、猛省中!!

***あかしえ

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幼少期編

13.楽しいお茶会の時間です2

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 セントパーク地区には、社交界シーズンにしか活用されない豪邸がいくつもある。階級や所得が最上級と言って差し支えない集団が構えた町屋敷タウンハウスだ。我が町屋敷シテリン邸もここに建てられている。
 少し離れた所には、シュトルツァー家の町屋敷もある。母は先日のお詫びもかねて、シュトルツァー家の皆様を本日午後に開かれるかなり小規模の家庭招待会アト・ホームズにお招きした。
 は良く、私のピアノやバイオリンを披露するために音楽ミュージックをテーマに大々的に開いていた。けれど、今回は会話を主目的とした本当に小さいものだ。招待状も、シュトルツァー家にしか出していない。
 当然だ。今回の目的はマデリーネ嬢を、穏便に無力化することなのだから。

 邪魔な人間を排除せずに事を進めるって、骨が折れ――――――いえいえいえ!
 何事も、穏便に平和的に解決するのが、人の道というものですよね!!
 ちゃんと反省していますとも! 愚かな真似は致しません!!!




「本日は、お招きいただきありがとう」
「いえいえ、こちらこそ。先日は娘がご迷惑をおかけ致しまして――」
 クロークルームで身支度を調えたシュトルツァー夫妻が、執事に連れられて両親が待っている応接間へと到着した。先日お邪魔したときとは違い、本格的に見せびらかすようの豪華な装いだ。
 握手を交わし、そのまま屋内を母が案内し始めたのだが――。

「やあ、ミーシャ嬢。本日はお招きありがとう」
 物陰からミゲル殿下が現れた! ……しかも腹黒全開の笑みで。
 ――え、誰が呼んだ?! 父上? 母上? え、誰?!
「兄上!」
 やや遅れてクリストフ殿下が慌てた様子でやって来た。少し疲れている?
 二人とも正装ではないが、それなりにきちんと整った紺を基調としたスーツを身にまとっていた。

「まあ、ミゲル殿下! クリストフ殿下!」
 私の後ろを静かに歩いていた彼女が、お二方の姿を見つけると、人を突き飛ばさんばかりの勢いで飛び出してきた! ミーシャ・デュ・シテリンは、身体能力もそれなりに備わっているので、問題ないが…………彼女はお気付きだろうか?
 ――両殿下が少々眉間に皺を寄せたことに。

 って、そうじゃなくて! どうして、ここにこの二人が?!


「わりぃ……」
 ――パトリック?!
 ミゲル殿下に続いて今度はパトリックが物陰から現れて、ばつが悪そうに頭を下げる。何に対しての謝罪?? というか、何があったのだとしても、パトリックは私に謝る必要なんてないのに?
「えっと、なにかありましたか?」
「……ちょっと話せるか?」
「ええ……」
 マデリーネ嬢の暴走でそちらに視線が集まっているすきに、死角となっている廊下の角へ隠れながら、話を聞くと――。

 非常に残念なことに、結果から言うとセオドーニア商会は、孤児院へ寄付を行っていない。
「こんな短時間でよく調べられましたね?」
「……父上の書斎に資料が残ってたんだよ」
 ――それってもしかして、シュトルツァー公もセオドーニア商会を調べていた?
「マデリーネの噂があれだけ広まってりゃあな」
 パトリックのため息が深い。
「……本当は、今日の家庭招待会アト・ホームズにも参加させるつもりはなかったんだ」
 パトリックは、幼少の頃から長女への生け贄として、家族内で決定づけられてしまっているのだろう。前回パトリックの家に行ったあの短い時間で、概ね把握できてしまった。余計なことはするなと言われているけれど…………。

 三男のパトリックが長女に何をする気だったのだろう……うん、これはもう一刻の猶予もないな。よし、を続行しよう!

「……何を企んでンのかは知ンねぇけど、お前、十二歳なんだってこと忘れンなよ」
「あ……」
 そうだった、十七までに身につけた体術関連は全て無効となってしまっている。今は家族に内緒でこっそり鍛えてる程度の筋力しかない。


 それでも……他のご令嬢よりはあると思う……ので!






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