竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える

たま

文字の大きさ
上 下
17 / 30
その後の日々

初めの一歩

しおりを挟む
「探すって言ってもどうすればいいのかな…だいたい、人数も分からないし…」

「9人だ。」

ソファに私を抱き込むようにして座るリュートの答えに
「えっ?人数把握してたの?リュート凄いよ。流石竜王様だね。」
感激して匂いを嗅がれてた事はスルーして振り返る。
「こちらに入って来た者を捕まえようとして失敗した人数だからな。成功すれば結に触れられるから必死だったから良く覚えてる。」

「でも、人数はハッキリしたよ。ありがとう。」
にこにことしながら目がキラキラ…かっこいいな。わっわたしの…つがい?…顔が熱い

「あと、あとはどうやってさがすかね。
リュートは王様だから同郷人探しの旅なんて無理だよね。」

竜王様のお仕事休憩は異常に長い。のんびり休憩の合間に仕事をしている感じ。普通は逆だと思うのだが、それに竜人の国というのは存在しないのだ。竜王の仕事は大きく見ると世界を安定させておくこと、その為にはつがい…つまり私を愛でる事は必要!いや、それが私の最優先事項だ!とこの男は堂々と言い切っていた。その長い長い休憩が終わりアテノールさんが戻ってきた。
「何が無理なのですか?」

「竜王様の仕事があるのに私の同郷人探しの旅に行くなんて無理だよねって話。」

暫く考えてたアテノールさんが
「では新婚旅行という形で各国を訪問して行ってはどうですか?」

「新婚旅行!こっちの世界にもあるんだ!」
「新婚旅行?なんだそれは?」

「えっ?」
「ん?」

私はリュートと顔を見合わせてアテノールさんを見た。

「実は私にもつがいがその…少し前ですが出会う事が出来まして…私の愛するつがいの国で行われていると言って」
デレデレと話していたが、

最後まで聞かず胸ぐらを掴む
「アテノールさん、名前は!」
「は?」
突然胸ぐらを掴まれたという事態が飲み込めないアテノールさんに更に詰め寄り
「つがいさんの お・な・ま・え は?」

「はっはるさんです。」
あまりの近さにのけぞりながらも名前を教えてくれた。つい言ってしまった感は否めないが、まあ教えもらいました。

アテノールさんがしきりに後ろを気にしている事に気付いた…
…しまった。

錯覚でもなく、比喩でもなく…冷気が…
「ゆい…
他の男に触れるなんて…浮気か?」

「浮気って⁈そんな事…」
慌ててリュートを振り返る。

扉が勢いよく締まった音が聞こえた。
アテノール、あいつ1人で逃げたな‼︎

目の前のリュートの周りはブリザードが吹き荒れてる…
「結、気をつけてね。嫉妬で世界を氷漬けにしちゃいそうだったよ。」
綺麗な微笑みに…目が…怖いです。
きっとこれは冗談じゃないですね…
最近力加減を学んだリュートの腕に抱かれながら、いつもより力強い腕が震え、
「結、だめだよ。」
「はい…」

私は今日知らぬ間にこの世界を危機に陥れてしまっていたらしい… 

竜人族的な浮気の定義って…よく分からん。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます

氷雨そら
恋愛
 本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。 「君が番だ! 間違いない」 (番とは……!)  今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。  本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。 小説家になろう様にも投稿しています。

悪役令嬢に転生したので、人生楽しみます。

下菊みこと
恋愛
病弱だった主人公が健康な悪役令嬢に転生したお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません

下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。 旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。 ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも? 小説家になろう様でも投稿しています。

私のところの執事がスキンシップ過多なんですがどうすればいい?

下菊みこと
恋愛
異世界にもネット掲示板的なのがあったら? 小説家になろう様でも投稿しております。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

俺の番が見つからない

Heath
恋愛
先の皇帝時代に帝国領土は10倍にも膨れ上がった。その次代の皇帝となるべく皇太子には「第一皇太子」という余計な肩書きがついている。その理由は番がいないものは皇帝になれないからであった。 第一皇太子に番は現れるのか?見つけられるのか? 一方、長年継母である侯爵夫人と令嬢に虐げられている庶子ソフィは先皇帝の後宮に送られることになった。悲しむソフィの荷物の中に、こっそり黒い毛玉がついてきていた。 毛玉はソフィを幸せに導きたい!(仔猫に意志はほとんどありませんっ) 皇太子も王太子も冒険者もちょっとチャラい前皇帝も無口な魔王もご出演なさいます。 CPは固定ながらも複数・なんでもあり(異種・BL)も出てしまいます。ご注意ください。 ざまぁ&ハッピーエンドを目指して、このお話は終われるのか? 2021/01/15 次のエピソード執筆中です(^_^;) 20話を超えそうですが、1月中にはうpしたいです。 お付き合い頂けると幸いです💓 エブリスタ同時公開中٩(๑´0`๑)۶

場所を間違えた崖っぷち令嬢は公爵様に離してもらえない

にわ冬莉
恋愛
崖っぷち男爵令嬢、オリザ。 お金持ちが集まる舞踏会でいい男をゲットするのが、今夜のミッションだった。 会場の外から中を覗いていたら、ひとりの美しの君に声を掛けられ、そのまま中へ。 だけど、話しているうち、なんだか事態はおかしな方向に!? 女の子向けドタバタで甘いラブコメはいかが?

逃げた先の廃墟の教会で、せめてもの恩返しにお掃除やお祈りをしました。ある日、御祭神であるミニ龍様がご降臨し加護をいただいてしまいました。

下菊みこと
恋愛
主人公がある事情から逃げた先の廃墟の教会で、ある日、降臨した神から加護を貰うお話。 そして、その加護を使い助けた相手に求婚されるお話…? 基本はほのぼのしたハッピーエンドです。ざまぁは描写していません。ただ、主人公の境遇もヒーローの境遇もドアマット系です。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...