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隣国ヘーラクレール編
42 コテンと首を傾げる姿
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「レイ公爵、ファンミル侯爵。あなた方の憤りは良く伝わりましたが、その件はこれ以上我々が聞くことは避けたいと思います」
アーサーがきっぱりと言い切ってくれて、ほっと一安心した。レイ公爵もファンミル侯爵もはっとし、冷静さを取り戻してくれた。
「その通りでございました……我々はアーサー殿下とマーガレッタ様に更なるご迷惑をおかけするところでした」
「重ね重ね申し訳ございません」
それは深く深く謝罪する二人の誠意に私達は微笑んで謝罪を受け入れる。それにしてもヘーラクレールの内情がそんなひどいものだったなんて……私がもといたリアム国とヘーラクレールは相当離れているからまったく気が付かなかったし、レッセルバーグに来てからもレッセルバーグの歴史やマナーを学ぶのに必死でこちらの国のことまで勉強している余裕がなかった。
「それにしても神獣シロ様のお言葉は我々の分厚い歴史誤認の幕を払っていただけて感謝のしようもございません」
「それに我が国にこれほど尽力していただいているレッセルバーグの方々は神が遣わせてくれたのかと錯覚するほどです」
「はは、そんなことはありませんよ」
アーサーは笑ってそういうけれど、シロ様からの助けを求める声が聞こえなかったらこの地に来ることはなかっただろう……そう考えるとシロ様がイグリス様に助けを求めたのは正解だったのかしら?
「ジー! (まーがれったぁ~あーそーぼー)」
「シロ様、シロ様! マーガレッタ様はお客様とお話し中です。もう少しお待ちになってはいかがですか」
シロ様のふくふくしたシュー・ア・ラ・クレームみたいなお顔を思い出していると、ちょうど良く扉の外からシロ様と神官さんの声が聞こえて来た。レイ公爵とファンミル侯爵ほどこの国を憂いているお方達にならシロ様と面会してもいいのではないだろうか?
少し視線を感じてその先を探すと、神官長様だった。きっと私と同じ考えで更に私の意見を聞こうとしているそんな視線。シロ様と引き合わせたいがどうだろか? と聞いているんだろう。
「アーサー」
言葉少なくアーサーに話しかけた、これだけで通じたようでアーサーはこくりと頷いて話し始める。
「神獣シロ……様がお近くまで来ています。会われますか?」
「是非! ご拝謁させていただけるのでしたらこれほど嬉しいことはございません!」
「是非! お願い致します!」
お二人は食い気味に即答したので、アーサーが私に目配せをし、私が神官長様に合図を送る。そして神官長様が頷き立ち上がり、扉を開ける。
「シロ様、こちらですよ」
「ジジーッ! (わーい! まーがれった~)」
「シロ様」
かなり元気を取り戻し、短い距離なら飛べるようになったシロ様が一直線に私に向かってやってくる。両手を広げて待ち構えていると、ぽすんと腕の中に納まった。
「ジッジッ(おさんぽしてたんだけど、あーさーもかーるもいないから、たいくつになっちゃった)」
「そうだったんですね、シロ様。私達はお客様と面会をしていました。レイ公爵とご子息のクロード様、ファンミル侯爵とご息女のルシアナ様ですよ」
「ジ?」
お客様をシロ様に紹介すると、シロ様は小鳥特有の動きで頭をコテン、と傾げて小さな黒くてつぶらな瞳で4人の顔を見つめていた。
アーサーがきっぱりと言い切ってくれて、ほっと一安心した。レイ公爵もファンミル侯爵もはっとし、冷静さを取り戻してくれた。
「その通りでございました……我々はアーサー殿下とマーガレッタ様に更なるご迷惑をおかけするところでした」
「重ね重ね申し訳ございません」
それは深く深く謝罪する二人の誠意に私達は微笑んで謝罪を受け入れる。それにしてもヘーラクレールの内情がそんなひどいものだったなんて……私がもといたリアム国とヘーラクレールは相当離れているからまったく気が付かなかったし、レッセルバーグに来てからもレッセルバーグの歴史やマナーを学ぶのに必死でこちらの国のことまで勉強している余裕がなかった。
「それにしても神獣シロ様のお言葉は我々の分厚い歴史誤認の幕を払っていただけて感謝のしようもございません」
「それに我が国にこれほど尽力していただいているレッセルバーグの方々は神が遣わせてくれたのかと錯覚するほどです」
「はは、そんなことはありませんよ」
アーサーは笑ってそういうけれど、シロ様からの助けを求める声が聞こえなかったらこの地に来ることはなかっただろう……そう考えるとシロ様がイグリス様に助けを求めたのは正解だったのかしら?
「ジー! (まーがれったぁ~あーそーぼー)」
「シロ様、シロ様! マーガレッタ様はお客様とお話し中です。もう少しお待ちになってはいかがですか」
シロ様のふくふくしたシュー・ア・ラ・クレームみたいなお顔を思い出していると、ちょうど良く扉の外からシロ様と神官さんの声が聞こえて来た。レイ公爵とファンミル侯爵ほどこの国を憂いているお方達にならシロ様と面会してもいいのではないだろうか?
少し視線を感じてその先を探すと、神官長様だった。きっと私と同じ考えで更に私の意見を聞こうとしているそんな視線。シロ様と引き合わせたいがどうだろか? と聞いているんだろう。
「アーサー」
言葉少なくアーサーに話しかけた、これだけで通じたようでアーサーはこくりと頷いて話し始める。
「神獣シロ……様がお近くまで来ています。会われますか?」
「是非! ご拝謁させていただけるのでしたらこれほど嬉しいことはございません!」
「是非! お願い致します!」
お二人は食い気味に即答したので、アーサーが私に目配せをし、私が神官長様に合図を送る。そして神官長様が頷き立ち上がり、扉を開ける。
「シロ様、こちらですよ」
「ジジーッ! (わーい! まーがれった~)」
「シロ様」
かなり元気を取り戻し、短い距離なら飛べるようになったシロ様が一直線に私に向かってやってくる。両手を広げて待ち構えていると、ぽすんと腕の中に納まった。
「ジッジッ(おさんぽしてたんだけど、あーさーもかーるもいないから、たいくつになっちゃった)」
「そうだったんですね、シロ様。私達はお客様と面会をしていました。レイ公爵とご子息のクロード様、ファンミル侯爵とご息女のルシアナ様ですよ」
「ジ?」
お客様をシロ様に紹介すると、シロ様は小鳥特有の動きで頭をコテン、と傾げて小さな黒くてつぶらな瞳で4人の顔を見つめていた。
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