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隣国ヘーラクレール編

38 私、また?

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「ジッジ~~♪(くるりんっかんせい~!)」
「できましたー!」

 今日もいい出来のポーション。キラキラと輝く澄んだ緑のポーションは本当にきれいで、中に星が浮かんでいるようにも見えてとても素敵だった。

「……」
「……」

 後ろで見ていたアーサーと神官長様がどうしたことか頭を抱えていらっしゃる……頭痛でしょうか? 出来上がったばかりのポーションを飲んでみてはいかがでしょう?

「マーガレッタ様……シロ様。どうやらお二方はポーション作りがとても楽しいのですね」
「ええ、楽しいです」
「ジッ! (うん、楽しいよ!)」

 それはようございました、といってから神官長様はちょっと低い声で言葉をつづけられた。

「そのポーションは、ご存じの通りそのままでは効きすぎるので薄めて皆様にお配りしております」
「ええ、分かっています」
「つまりその大鍋いっぱいに作られたポーションが一体どれほどの量になるかお考えになったことは?」
「い、いつも樽に詰めていますね……」

 ものすごく大きな木の樽にこう……なみなみと……。

「はっきり言います。配り切れないのです! 楽しいのは良いことですが、作り過ぎです!」
「ジーーッ!? (ええええーー!)」
「えーーっ!」
「あっはっは! 流石マーガレッタだよ!」

 アーサーが大笑いしている……ひ、酷い! そんなに笑うなら止めてくれればいいのに!

「ア、アーサー!」
「ご、ごめん……だっていつも凄く楽しそうに作ってるから、つい……あはは!」
「ジジーーッ!? (シロ、わることしたの!? どうしよう、まーがれった!)」

 焦ってオロオロするシロ様を見て、神官長様はコホンと小さく咳払い。

「悪いことではありませんが、加減というものをしていただきたいのです」
「ジ……(わかったぁ)」
「すみませんでした……」

 ほんとに、ほんとに神官長様も早く止めてくださいよ!ちょっと恨みがましい目で見上げてしまえば苦笑していらっしゃった。

「すみません、いつも二人で楽しそうに作っていらっしゃるので止めるのもなんだか罪悪感がありました」
「そんな……」

 謝って貰うのもなんだかおかしい気もするけれど、とにかくポーション水にするポーションは暫くお休みにしてよさそうだった。

「ジィ(ぼく、もっといっぱい作りたいな)」
「うーん、そうですね。別の物を作ればいいんじゃないでしょうか?中級ポーション、上級ポーション……材料が届いたら特級ポーションもつくりましょうね」
「ジィ! (うん! 楽しそう!)」

 シロ様とそんな楽しい計画を立てていたらアーサーはやっぱり大笑いしているし、神官長様はまた苦笑している。あ、あれ? 何か間違った!?

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