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隣国ヘーラクレール編
36 笑える経歴の地味女(タニア
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「あはっあははは! なんて無様なの! それが聖女ぉ、あり得ないわ!!」
人を使い地味女について調べさせると、おもしろい人間に当たった。
「わ、私はリアム国……今はレッセルバーグに併呑されてしまった国に住んでいた者でございますが……」
そう語る元貴族だという男に会う事ができたのだ。そいつがあの地味女について詳しく知っていた。聞けば聞くほど情けなくて笑うしかない経歴の女だった。
「ええと、茶色の髪に緑の目でマーガレッタといえば、ランドレイ侯爵家の次女でしょう。ずっとリアム国王太子の婚約者をしておりましたが、殿下とはその……不釣り合い、とささやかれており……あの夜会にて婚約破棄を言い渡され国外追放になった令嬢……そう、国外追放になったので身分は平民のはずですが」
「まあ!」
その男はその後リアム国に不穏な空気が流れ始めたので、財産をさっさとまとめリアム国を抜け出したらしい。そしてあちこち転々とし、我がヘーラクレールについたということだ。
「その後のことは私もリアム国を出てしまったので分かりませんが、王女様がおっしゃった地味な女というのは多分マーガレッタ・ランドレイのことでしょうな。いえ、ただのマーガレッタというべきか」
「でもどこかの貴族名を名乗っていたような……?」
なんだったかしら? 忘れたわ。私の聞き間違いね。国から追放された女が貴族に戻る訳ないもの。多少の金を握らせて男を帰す。
「あ、あの!タニア王女、私を貴族に取り立ててくれるという約束は!」
「はあ? 知らないわよ。自国の貴族の噂話を私にしたくらいで貴族になれるわけないでしょ」
「や、約束が違う!」
最後うるさく何か喚いていたけれど、衛兵にいって捨てさせる。それにしても平民の女が……気に入らない。
「なるほどね、同じ平民だから平民からああもちやほやされるのよ……何が薬神様の聖女よ。聖女といえば女神フェリーチェ様の聖女が至高なのに!」
一緒に話を聞いていたチェリエも憤慨してる。確かにチェリエのいうとおり、平民だからこそ平民に人気が出たということなのね。それにしても地味女の正体が分かって良かったわ。平民ならどうとでもしていいということだもの。
「でも一緒に来ている奴らはどうなの? 何とかって国の第二王子とかいってなかった?」
「聞いたこともない国よ、大したことないわ」
私はあの地味女についての情報に満足してそれ以上調べるなんてめんどくさいことはしたくなかった。それに国名なんて隣国だけ知ってれば問題ないし、我が国が一番偉いんだから他所なんてどうでもいいのよ。
「それに平民に付き従う王子がいるわけないでしょう、偽物よ」
「そうよね!」
私とチェリエはあの地味女をどうやって痛めつけてやろうかと相談を始めた。私達を怒らせるとどうなるかよくよく知らしめる必要がある。
「まずは神殿から引っ張りださないとね……」
神官長の発言力は大きいから引き離す必要がある。
「そうだわ、褒美を与えるといって王宮へ呼び出すのはどうかしら? ここなら私達の味方がたくさんいるわ」
「あら、いい考えね、チェリエ。早速お父様に相談してみましょう」
娘の私達が侮辱されてお父様も怒り心頭だから、きっと協力してくださる。これは面白いことになりそうと私とチェリエは立ち上がった。
人を使い地味女について調べさせると、おもしろい人間に当たった。
「わ、私はリアム国……今はレッセルバーグに併呑されてしまった国に住んでいた者でございますが……」
そう語る元貴族だという男に会う事ができたのだ。そいつがあの地味女について詳しく知っていた。聞けば聞くほど情けなくて笑うしかない経歴の女だった。
「ええと、茶色の髪に緑の目でマーガレッタといえば、ランドレイ侯爵家の次女でしょう。ずっとリアム国王太子の婚約者をしておりましたが、殿下とはその……不釣り合い、とささやかれており……あの夜会にて婚約破棄を言い渡され国外追放になった令嬢……そう、国外追放になったので身分は平民のはずですが」
「まあ!」
その男はその後リアム国に不穏な空気が流れ始めたので、財産をさっさとまとめリアム国を抜け出したらしい。そしてあちこち転々とし、我がヘーラクレールについたということだ。
「その後のことは私もリアム国を出てしまったので分かりませんが、王女様がおっしゃった地味な女というのは多分マーガレッタ・ランドレイのことでしょうな。いえ、ただのマーガレッタというべきか」
「でもどこかの貴族名を名乗っていたような……?」
なんだったかしら? 忘れたわ。私の聞き間違いね。国から追放された女が貴族に戻る訳ないもの。多少の金を握らせて男を帰す。
「あ、あの!タニア王女、私を貴族に取り立ててくれるという約束は!」
「はあ? 知らないわよ。自国の貴族の噂話を私にしたくらいで貴族になれるわけないでしょ」
「や、約束が違う!」
最後うるさく何か喚いていたけれど、衛兵にいって捨てさせる。それにしても平民の女が……気に入らない。
「なるほどね、同じ平民だから平民からああもちやほやされるのよ……何が薬神様の聖女よ。聖女といえば女神フェリーチェ様の聖女が至高なのに!」
一緒に話を聞いていたチェリエも憤慨してる。確かにチェリエのいうとおり、平民だからこそ平民に人気が出たということなのね。それにしても地味女の正体が分かって良かったわ。平民ならどうとでもしていいということだもの。
「でも一緒に来ている奴らはどうなの? 何とかって国の第二王子とかいってなかった?」
「聞いたこともない国よ、大したことないわ」
私はあの地味女についての情報に満足してそれ以上調べるなんてめんどくさいことはしたくなかった。それに国名なんて隣国だけ知ってれば問題ないし、我が国が一番偉いんだから他所なんてどうでもいいのよ。
「それに平民に付き従う王子がいるわけないでしょう、偽物よ」
「そうよね!」
私とチェリエはあの地味女をどうやって痛めつけてやろうかと相談を始めた。私達を怒らせるとどうなるかよくよく知らしめる必要がある。
「まずは神殿から引っ張りださないとね……」
神官長の発言力は大きいから引き離す必要がある。
「そうだわ、褒美を与えるといって王宮へ呼び出すのはどうかしら? ここなら私達の味方がたくさんいるわ」
「あら、いい考えね、チェリエ。早速お父様に相談してみましょう」
娘の私達が侮辱されてお父様も怒り心頭だから、きっと協力してくださる。これは面白いことになりそうと私とチェリエは立ち上がった。
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