37 / 122
37 こんなの聞いてない!4(神子カズハ視点
しおりを挟む
セブスト殿下は笑っている。珍しいな、あの少し偉そうな殿下が笑顔なんて。まあ、不満はあるけれど僕も笑って殿下を迎えてあげようかな?
にっこりと会心の笑みを作って両手を差し出した。
「セブスト殿下、僕は」
「ダグラス様!」
「え?!」
殿下は僕の横を颯爽と駆け抜けて行った。は?!どう言う事?!
「ダグラス様!ダグラス様のお言いつけ通りきちんと魔王を始末してまいりましたよ!」
「そ、そのようですな。お怪我はありませんかな?」
「ないです!あの程度怪我のしようもありません!あ、リドリーはコブを作ったようですが!」
ひとりのお爺さんの手をぎゅっと握ってとても嬉しそうにしている。
「酷いっすよー殿下。最近鍛え始めた俺にいきなり魔王に切りかかれは!」
頭をかきながらカレリオの護衛だったリドリーがやって来る。勿論、僕は無視されている!なんで?!
「リドリーは頑張ってはいましたよね」
「もう少し周回したほうが良いでしょう」
「殿下に勝つにはまだまだですね」
トレヴァーもジャスパーもサディーアも僕を無視して、殿下とお爺さんの所に向かって行く!?なんで!僕はここだよ!!
「ダグラス様、お約束を!」
「あの件は?」
「隣の隣、海の向こうのマクレイヤ国に売りつけました。問題有りません」
「……そうですか……分かりました、殿下には勝てませんなぁ……」
お爺さんは困ったように笑っているけど、どこかで見た事がある顔だ……お爺さんの知り合いなんて、僕は居ないんだけど???
「では、これを!」
「あれは……!」
若返りの秘薬じゃないか!なんでセブスト殿下が?!嘘、なんで??そんなのさっきドロップしなかったよね!?えっ!?前から持っていたの!?嘘でしょう!?
セブスト殿下は大切にそれをお爺さんに手渡すと、「今ここでですか?!」「勿論です!」なんてやりとりをしたようだけど、観念したのかそのお爺さんは小瓶の蓋を開け……躊躇しながら、それを全部飲み下した。
「う、ううう……っ!」
「ダグラス様!大丈夫ですか!!」
苦しげに少し顔を覆ってお爺さんはうめいたけど、それだけだった。
「……どう、ですかな……殿下」
顔を上げたお爺さんは……。
「カ、カレリオ!!」
悪役令息カレリオそっくりだった!
にっこりと会心の笑みを作って両手を差し出した。
「セブスト殿下、僕は」
「ダグラス様!」
「え?!」
殿下は僕の横を颯爽と駆け抜けて行った。は?!どう言う事?!
「ダグラス様!ダグラス様のお言いつけ通りきちんと魔王を始末してまいりましたよ!」
「そ、そのようですな。お怪我はありませんかな?」
「ないです!あの程度怪我のしようもありません!あ、リドリーはコブを作ったようですが!」
ひとりのお爺さんの手をぎゅっと握ってとても嬉しそうにしている。
「酷いっすよー殿下。最近鍛え始めた俺にいきなり魔王に切りかかれは!」
頭をかきながらカレリオの護衛だったリドリーがやって来る。勿論、僕は無視されている!なんで?!
「リドリーは頑張ってはいましたよね」
「もう少し周回したほうが良いでしょう」
「殿下に勝つにはまだまだですね」
トレヴァーもジャスパーもサディーアも僕を無視して、殿下とお爺さんの所に向かって行く!?なんで!僕はここだよ!!
「ダグラス様、お約束を!」
「あの件は?」
「隣の隣、海の向こうのマクレイヤ国に売りつけました。問題有りません」
「……そうですか……分かりました、殿下には勝てませんなぁ……」
お爺さんは困ったように笑っているけど、どこかで見た事がある顔だ……お爺さんの知り合いなんて、僕は居ないんだけど???
「では、これを!」
「あれは……!」
若返りの秘薬じゃないか!なんでセブスト殿下が?!嘘、なんで??そんなのさっきドロップしなかったよね!?えっ!?前から持っていたの!?嘘でしょう!?
セブスト殿下は大切にそれをお爺さんに手渡すと、「今ここでですか?!」「勿論です!」なんてやりとりをしたようだけど、観念したのかそのお爺さんは小瓶の蓋を開け……躊躇しながら、それを全部飲み下した。
「う、ううう……っ!」
「ダグラス様!大丈夫ですか!!」
苦しげに少し顔を覆ってお爺さんはうめいたけど、それだけだった。
「……どう、ですかな……殿下」
顔を上げたお爺さんは……。
「カ、カレリオ!!」
悪役令息カレリオそっくりだった!
108
お気に入りに追加
2,675
あなたにおすすめの小説
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる