36 / 40
我、知る
36 大体悪い
しおりを挟む
「私はここではない別の世界で勇者だった。そしてその世界でリズレットは魔王だった。……そこの元父が、魔王リザレスティンを謀って邪神に食わせ、何十年も人々を虐げ続けた」
まだ出られぬ黒い檻の中で我は聞いていた。預かり知らぬ事とはいえ、我の肉体が悪事を働いておったのだな。
だから、あんなに我は悪かったのか。
……最初のうちは、我も参謀と言われる奴に指示されて、自ら人殺しをしておったしの。何も弁解する所もないわ。
「私は勇者としてリザレスティンと戦い、勝った。そして、リザレスティンに最後の刃を突き立てた時に……彼に恋をした」
おう……?
思い出して頬を染めるクロードはいかがなものかな……?
「最後の瞬間、間近でみた魔王に一目惚れしたんだ!しかし、私はすぐに気を失い……目が覚めると魔王はなんと神の元に送られていたではないか!」
え、あ、うん。捕縛されて引き出されたわ。
「私は魔王退治の褒美に魔王をくれる様に頼んだ!しかし神の野郎はもう魔王は勇者として別の世界に送り込んだというではないか!」
魔王退治の褒美に魔王くれって……クロードはやはりどこかおかしい。
「神を脅してだだを捏ねて、魔王が行った世界に無理矢理ねじ込ませた!……勇者は1人で良いのに勇者としての適性が強い私が行ってしまったので、先に行ったはずの魔王……まあこの場合リズレットなんだが……勇者の適性が外れてしまったんだ」
えーーー!我は勇者では無かったのか!ショックじゃ……。
「それでも神から勇者として、送り込まれたリズレットの適性は次に神聖力が高い聖女として、生まれ落ちてしまった……しかも、私が無理矢理ねじ込んだ影響で聖女なのに男の子で産まれてしまったんだ」
……クロードぉ……我はがっくり力が抜ける。お前は何をやっておるのだ。
「しかし、それのどこに勇者大量製造の謎があるんだよ?」
ダナンがいい事を聞いてくれた。それそれ!
「んんっ!まあ……それに関しては……やっぱり私のせいで……本来なら純潔を守らねばならない聖女を……ん、まあ……なんだ、やっちゃったので運命がまた狂って……」
「……お前ねぇ……」
なんじゃ……悪いのはクロードなのか……?
「本来ならここに転がる元父、更に前は魔王参謀だったこいつは、目覚める事もなく、ただ死んで行くだけだったのに……干渉してしまった。邪神も呼び出されるはずがなかったんだ。邪神が呼ばれ、リズレットを食い魔王としての条件が揃ってしまったので、勇者が生まれた」
魔王が生まれなければ勇者も生まれない。そういう仕組みなのだな?
「それで勇者を選定する力を持つ聖女が……まぁ……アレでこれで……しかも聖女が魔王で……こんな事に」
「………」
この話を聞いた全員が黙った。
大体悪いのはクロードなんだな?
まだ出られぬ黒い檻の中で我は聞いていた。預かり知らぬ事とはいえ、我の肉体が悪事を働いておったのだな。
だから、あんなに我は悪かったのか。
……最初のうちは、我も参謀と言われる奴に指示されて、自ら人殺しをしておったしの。何も弁解する所もないわ。
「私は勇者としてリザレスティンと戦い、勝った。そして、リザレスティンに最後の刃を突き立てた時に……彼に恋をした」
おう……?
思い出して頬を染めるクロードはいかがなものかな……?
「最後の瞬間、間近でみた魔王に一目惚れしたんだ!しかし、私はすぐに気を失い……目が覚めると魔王はなんと神の元に送られていたではないか!」
え、あ、うん。捕縛されて引き出されたわ。
「私は魔王退治の褒美に魔王をくれる様に頼んだ!しかし神の野郎はもう魔王は勇者として別の世界に送り込んだというではないか!」
魔王退治の褒美に魔王くれって……クロードはやはりどこかおかしい。
「神を脅してだだを捏ねて、魔王が行った世界に無理矢理ねじ込ませた!……勇者は1人で良いのに勇者としての適性が強い私が行ってしまったので、先に行ったはずの魔王……まあこの場合リズレットなんだが……勇者の適性が外れてしまったんだ」
えーーー!我は勇者では無かったのか!ショックじゃ……。
「それでも神から勇者として、送り込まれたリズレットの適性は次に神聖力が高い聖女として、生まれ落ちてしまった……しかも、私が無理矢理ねじ込んだ影響で聖女なのに男の子で産まれてしまったんだ」
……クロードぉ……我はがっくり力が抜ける。お前は何をやっておるのだ。
「しかし、それのどこに勇者大量製造の謎があるんだよ?」
ダナンがいい事を聞いてくれた。それそれ!
「んんっ!まあ……それに関しては……やっぱり私のせいで……本来なら純潔を守らねばならない聖女を……ん、まあ……なんだ、やっちゃったので運命がまた狂って……」
「……お前ねぇ……」
なんじゃ……悪いのはクロードなのか……?
「本来ならここに転がる元父、更に前は魔王参謀だったこいつは、目覚める事もなく、ただ死んで行くだけだったのに……干渉してしまった。邪神も呼び出されるはずがなかったんだ。邪神が呼ばれ、リズレットを食い魔王としての条件が揃ってしまったので、勇者が生まれた」
魔王が生まれなければ勇者も生まれない。そういう仕組みなのだな?
「それで勇者を選定する力を持つ聖女が……まぁ……アレでこれで……しかも聖女が魔王で……こんな事に」
「………」
この話を聞いた全員が黙った。
大体悪いのはクロードなんだな?
3
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる