【完結】悪い我、ちぃとを貰う!次は勇者で世界を救うぞ、みんなついて来い!

鏑木 うりこ

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我、知る

36 大体悪い

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「私はここではない別の世界で勇者だった。そしてその世界でリズレットは魔王だった。……そこの元父が、魔王リザレスティンを謀って邪神に食わせ、何十年も人々を虐げ続けた」

 まだ出られぬ黒い檻の中で我は聞いていた。預かり知らぬ事とはいえ、我の肉体が悪事を働いておったのだな。
 だから、あんなに我は悪かったのか。
 ……最初のうちは、我も参謀と言われる奴に指示されて、自ら人殺しをしておったしの。何も弁解する所もないわ。

「私は勇者としてリザレスティンと戦い、勝った。そして、リザレスティンに最後の刃を突き立てた時に……彼に恋をした」

 おう……?
 思い出して頬を染めるクロードはいかがなものかな……?

「最後の瞬間、間近でみた魔王に一目惚れしたんだ!しかし、私はすぐに気を失い……目が覚めると魔王はなんと神の元に送られていたではないか!」

 え、あ、うん。捕縛されて引き出されたわ。

「私は魔王退治の褒美に魔王をくれる様に頼んだ!しかし神の野郎はもう魔王は勇者として別の世界に送り込んだというではないか!」

 魔王退治の褒美に魔王くれって……クロードはやはりどこかおかしい。

「神を脅してだだを捏ねて、魔王が行った世界に無理矢理ねじ込ませた!……勇者は1人で良いのに勇者としての適性が強い私が行ってしまったので、先に行ったはずの魔王……まあこの場合リズレットなんだが……勇者の適性が外れてしまったんだ」

えーーー!我は勇者では無かったのか!ショックじゃ……。

「それでも神から勇者として、送り込まれたリズレットの適性は次に神聖力が高い聖女として、生まれ落ちてしまった……しかも、私が無理矢理ねじ込んだ影響で聖女なのに男の子で産まれてしまったんだ」

 ……クロードぉ……我はがっくり力が抜ける。お前は何をやっておるのだ。

「しかし、それのどこに勇者大量製造の謎があるんだよ?」

 ダナンがいい事を聞いてくれた。それそれ!

「んんっ!まあ……それに関しては……やっぱり私のせいで……本来なら純潔を守らねばならない聖女を……ん、まあ……なんだ、やっちゃったので運命がまた狂って……」

「……お前ねぇ……」

 なんじゃ……悪いのはクロードなのか……?

「本来ならここに転がる元父、更に前は魔王参謀だったこいつは、目覚める事もなく、ただ死んで行くだけだったのに……干渉してしまった。邪神も呼び出されるはずがなかったんだ。邪神が呼ばれ、リズレットを食い魔王としての条件が揃ってしまったので、勇者が生まれた」

 魔王が生まれなければ勇者も生まれない。そういう仕組みなのだな?

「それで勇者を選定する力を持つ聖女が……まぁ……アレでこれで……しかも聖女が魔王で……こんな事に」

「………」

 この話を聞いた全員が黙った。

 大体悪いのはクロードなんだな?

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