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我、知る
37 すとーかーという奴らしい
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「く、クロゥ…ド……」
「リジー!」
我は声を振り絞る。
「お、まえの、せいで、我は勇者でなくなった、のか?」
何とか外に届いた。
「リズレット!我の中で沈んでおれ!」
邪神が圧力を強めてくる。ああ!潰されそうだ!クロード、早く教えてくれ!
「リジー!」
「くろ…うど」
ああ、我を閉じ込めた檻がミシミシと音を立てておるわ。
「ああ!そうだよ!リジー!私は君と居たくて、運命をねじ曲げた!」
「責任、とれ。クロ、ウド」
みんながいる前で告白させるのは苦だと思うが我はかなーり怒っている。我は、勇者になりたかったのだ!
我を倒した勇者のように、強くて真っ直ぐな強さを持った勇者に。
それなのに!クロードときたら!我の望みを最初からへし折りおって!!
「黙れ!黙れ!リズレット!お前を消してやる!」
我を閉じ込めた檻は大きな音を立てて、潰されてしまう。中にいた我も暗闇に飲み飲まれてしまった。
「リジー!!!!」
最後にクロードの声を聞いた気がしたが、我の意識は戻らなかった。
我は神である。どこから来たかは覚えておらぬが神である。
我は招ばれ、そして招んだものが望んだように、この世界を滅ぼした。我は高い所に居を構えて、眼下には赤茶けた不毛の大地がどこまでも広がっている。
基本的に神だから、食う事も寝る事も必要ない。だから世話人も必要ない。
我を招んだ男が死んだ。自らこの高い城のバルコニーから身を踊らせた。
「何もない……何もないとは、なんと……不幸な事か」
男は呟きながら、落ちて行った。何も無い世界を望んだのに、叶うと絶望して死ぬとは何事か?
『人だからのう』
む、我の思考に何か割り込む者がおるわ。
『何も無ければ人は脆いものよ』
はて、どこかから我にくっついて来た虫の類であろうか?
『虫ではないわ!だが、一つ前でお主にくっついてしもうたわ。ぬかった』
我を招んだ者も亡く、誰も何もなく退屈した我はこの虫と話をする事にした。
『虫ではない!元々は人であったが、2度もお主と交わった為にくっ付いてしもうたようじゃ。お主は邪でも神である故に世界を渡る力がある。それに我は巻き込まれてしもうたわ』
良く、我の事を知っておるな。
『うむ。実はな?我もお主にすまん事をしたと思うておる。我には……天上の神曰くすとーかーがおってな?多分また其奴が追ってくる。我もお主にくっついて来たかった訳ではないのだ。ごめんね?』
なんだそれは。何が来ようが我の敵ではないであろう。我は神ぞ?大地を滅ぼし世界を破壊する者。
その我が何を恐れると言うのか?
『だってお主、もう2度も負けてるじゃろ?』
は?我が負ける、だと?そんな馬鹿な事が……。いや待て、我はここに招ばれる前、どこにおった?そこで我は何をしていた?何かと、戦った。何かを取り込んだ。
『その時、取り込んだのが我じゃな。そしてくっ付いてしもうた……すまんが、そろそろ来るぞ?奴が』
「なんだ、と?」
確かに何か生きている者が、この城を登って来ている。我以外誰も居ないこの城をだ。
「あのクソ創造神……また私のリジーをどこにやった……!邪神に取り込まれて世界を渡っただと?!ふざけるのも良い加減にしろよ……!」
な、なんだ。この人であるはずの者の圧は。
『すまんなぁ。まあ頑張ってくれ』
我の中の虫のような存在は哀れな物を見るような雰囲気を出しておる。
「我は神ぞ!何故人を恐れねばならぬ!」
「リジー!」
我は声を振り絞る。
「お、まえの、せいで、我は勇者でなくなった、のか?」
何とか外に届いた。
「リズレット!我の中で沈んでおれ!」
邪神が圧力を強めてくる。ああ!潰されそうだ!クロード、早く教えてくれ!
「リジー!」
「くろ…うど」
ああ、我を閉じ込めた檻がミシミシと音を立てておるわ。
「ああ!そうだよ!リジー!私は君と居たくて、運命をねじ曲げた!」
「責任、とれ。クロ、ウド」
みんながいる前で告白させるのは苦だと思うが我はかなーり怒っている。我は、勇者になりたかったのだ!
我を倒した勇者のように、強くて真っ直ぐな強さを持った勇者に。
それなのに!クロードときたら!我の望みを最初からへし折りおって!!
「黙れ!黙れ!リズレット!お前を消してやる!」
我を閉じ込めた檻は大きな音を立てて、潰されてしまう。中にいた我も暗闇に飲み飲まれてしまった。
「リジー!!!!」
最後にクロードの声を聞いた気がしたが、我の意識は戻らなかった。
我は神である。どこから来たかは覚えておらぬが神である。
我は招ばれ、そして招んだものが望んだように、この世界を滅ぼした。我は高い所に居を構えて、眼下には赤茶けた不毛の大地がどこまでも広がっている。
基本的に神だから、食う事も寝る事も必要ない。だから世話人も必要ない。
我を招んだ男が死んだ。自らこの高い城のバルコニーから身を踊らせた。
「何もない……何もないとは、なんと……不幸な事か」
男は呟きながら、落ちて行った。何も無い世界を望んだのに、叶うと絶望して死ぬとは何事か?
『人だからのう』
む、我の思考に何か割り込む者がおるわ。
『何も無ければ人は脆いものよ』
はて、どこかから我にくっついて来た虫の類であろうか?
『虫ではないわ!だが、一つ前でお主にくっついてしもうたわ。ぬかった』
我を招んだ者も亡く、誰も何もなく退屈した我はこの虫と話をする事にした。
『虫ではない!元々は人であったが、2度もお主と交わった為にくっ付いてしもうたようじゃ。お主は邪でも神である故に世界を渡る力がある。それに我は巻き込まれてしもうたわ』
良く、我の事を知っておるな。
『うむ。実はな?我もお主にすまん事をしたと思うておる。我には……天上の神曰くすとーかーがおってな?多分また其奴が追ってくる。我もお主にくっついて来たかった訳ではないのだ。ごめんね?』
なんだそれは。何が来ようが我の敵ではないであろう。我は神ぞ?大地を滅ぼし世界を破壊する者。
その我が何を恐れると言うのか?
『だってお主、もう2度も負けてるじゃろ?』
は?我が負ける、だと?そんな馬鹿な事が……。いや待て、我はここに招ばれる前、どこにおった?そこで我は何をしていた?何かと、戦った。何かを取り込んだ。
『その時、取り込んだのが我じゃな。そしてくっ付いてしもうた……すまんが、そろそろ来るぞ?奴が』
「なんだ、と?」
確かに何か生きている者が、この城を登って来ている。我以外誰も居ないこの城をだ。
「あのクソ創造神……また私のリジーをどこにやった……!邪神に取り込まれて世界を渡っただと?!ふざけるのも良い加減にしろよ……!」
な、なんだ。この人であるはずの者の圧は。
『すまんなぁ。まあ頑張ってくれ』
我の中の虫のような存在は哀れな物を見るような雰囲気を出しておる。
「我は神ぞ!何故人を恐れねばならぬ!」
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