【完結】生き残りたい俺は死者と語る。

鏑木 うりこ

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13 微生物からやり直して

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 団長と副団長は顔を見合わせ、深くため息をついた。

「自分が誰の子供か、覚えているか?」

「母親の名前は確か……ア、アイリス……っ」

 母親の顔を思い出そうとしたらグラリと世界が回転した。あれ?気持ち悪い……そして目の前が真っ暗になって消えた。

「おい!?大丈夫か……!?おい!?おいーー……」

 何も聞こえない、何も分からない……。



「……死体漁り!……ナナ……ナナッ!」

「ふぇい……?」

 あれ、俺どこにいるんだろう?ロベル副団長の顔が目の前にあるぞ……?ここは……あ、俺が連れて来られた死体放置部屋にある俺のベッドじゃないか。そうだそうだ、俺はこの部屋にベッドを置いてもらったんだった。地獄街ではただの布団……いや布の塊にくるまって寝てたけど、ここにはベッドがあるんだったー……って、あれ?

「気が付いたか?どこか痛い所は?」

「ない……ですけど。あれ?俺いつの間にここに?」

「……そんなことはどうでもいい。ロベル副団長、ちょっと話がある。死体漁り……ナナだったな。仕事を続けろ、あとこの部屋は随分と臭い、掃除用具はあるから掃除をしておけ」

「はぁい」

 団長さんに言われて、俺はのそのそとベッドから這い出した。二人は部屋から出て行き、俺は言われた通り部屋を掃除し始める。そりゃ死体が大量に置いてあった部屋だ。臭いに決まってんだろ!いや~な気も大量に溜まっていて、それは俺の作業部屋の扉を開けてそっちに箒ではきこんでおく。
 これ、多分人の魂だろうね、きっとこの世にい過ぎて善行ポイントを失って、人としての形も失ってドロドロべろべろになったやつ。取れないシミはまあ後にして、俺も部屋に入ってドロドロどもをやっつけちまおう。

「おーい、自我のあるやつ、いるかー?」

 ……無反応!駄目だ。これはもうどぶ沼色のスライムになっているのでスコップで掬って袋に詰める。それでもこれは魂だから、その詰めた袋をどぶ沼色の風船に括り付けて上へ飛ばした。元人間のこいつらは天界の転生の扉を通ってどこかの土地にばらまかれる。
 するとその土地は豊かになる。微生物からやり直し、ってやつだ。

「ふうふう……どんだけ溜まってるんだよ~!」

 風船は20個になり30個になり……どんどんどんどん空へ飛ばす。中にはまだ動き回るスライムもいてそいつらを袋に詰めるのは大変だった。それでも転生扉を抜ければ……多分少し動けるミジンコとかクンショウモとかになって今度は池を豊かにするんだろうな。

 死んだらあんまり地上にとどまりすぎるなよ?微生物になっちゃうぞ。


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