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10 おバカな猫ではありません
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「ひいい!なんでぇ~~」
俺は足に鎖を付けられた。何も悪い事をしていないのに、奴隷……犯罪者扱いなのか?
「お前、馬鹿か?」
「ひいっ!違います……」
おっかなびっくりちょっとだけ逆らってみる。俺を見張っているのはロベル副団長で、俺が作業部屋に死体を運び入れるのを見た人だ。あと俺のお店に押し入って来たのもこの人達。
「良いか?お前がこのおかしな作業部屋に入る。そうしたら誰もお前を引き出せなくなる」
「あ!そっか」
コンコン、と俺が出した作業部屋の扉を叩く。ロベル副団長は何か見えない壁のようなものに阻まれ、その先へは入ることは出来ない。
「その点、鎖が付いていれば引っ張ればいいだろう?」
「あ、そっか!」
なるほど。
「って事は、店にあんたらが入ってきた時に知らんぷりして作業部屋に籠ってれば良かったのかーー!俺、馬鹿か?!」
「だから、お前は馬鹿だと言っている」
「うえー……なんてこった」
自分の頭の悪さにショックを受けた。まあここにいると大量の死体が手に入るから良いと言えば良い。しかも
「ったく!敵兵は邪魔だよなぁ!」
「全くだぜ」
「あの……そのままその部屋に投げ入れて貰えますか……」
もう直接投げ入れて貰っている。あとたまに生きている奴がいて跳ね返されたりしていたから騎士団の騎士達も驚いていた。
「本当にいっぱいあるなぁ」
どれだけスキルが取れるのか、売れるのかと俺が死体の山をみてニヤニヤしていると、またロベル副団長が不機嫌になっている。この人頭良さそうな人で怒るととても怖いんだ。いや、騎士は皆怖いけど。
「な、なんですか……」
「お前、臭うな?一体いつから風呂に入ってないんだ?!」
「……さあ?」
地獄に風呂なんてある訳ないのに……服だって血の汚れが目立たないから黒ばっかり着ている。風呂……うーん、あの町に落とされてから入ってないかな?あ、土砂降りの日に遠出しちゃってずぶぬれで帰って来たことがあったぞ、うん。あれ以降は~……?
「我慢ならん!洗ってやるっ!」
「ぎゃーーー!嫌ですーー!」
どうせ解体する時に汚れるんだから、洗っても意味がないと俺は思うんだ。
「うるさい、お前は水が嫌いなネコか!」
「ウギャアアア!」
とても残念なことに俺の足には鎖がついていて、引っ張られると体力と筋力で騎士には勝てなかった……!
「ぎゃー!」
「黙れっ!」
水場で水をかけられて、冷たくてすぐ逃げ出そうとしたらロベル副団長に捕まって更に鎖まで近くに繋がれて移動できなくなってしまった。
「臭いと汚れが取れるまで徹底的に洗ってやる!もう我慢ならん!」
「ひ、ひいいいい!」
この世界じゃ贅沢品の中に入る石鹸を握り締めて副団長が怒っている。この人結構きれい好きなんだろうか……ならゴミ捨て場の地獄から拾い物なんてしてこないで欲しい!ゴミ捨て場にはゴミしか落ちてないんだから。剣をデッキブラシのようなものに持ち替えて、仁王立ちしている……ヒイイ!そんなのでこすられたら痛いに違いない!
「うっ……水が茶色い!泡が立たない!」
「すいませんすいません。自分でできますからあ……」
「嘘をつくな!絶対適当に済ますだろう!」
「うう~~……」
酷い事にこの人は本当にきれい好きみたいで、耳のへこんでいる所や、足の指の間まで洗われた……。意外と丁寧で痛く無かった……や、優しい……。
「爪も長い!切ってやる!その後そのもじゃもじゃ頭の毛づくろいだ!」
「お、俺!猫じゃねえですー!」
「飼い猫以下だ!馬鹿ものめ!」
「ひいいいいい!」
あの地獄に投げ捨てられてから初めてちゃんと体を洗った。何年も積もった垢が流されて久しぶりに伸ばしっぱなしのぼさぼさの髪も切られた。
「櫛の歯がが折れる!酷い場所は切る!」
「もう好きにしてくださいぃ~~~」
「……お前……金髪だったんだな……」
「そうでしたっけ……?」
「目の色も……名前、なんだっけ?」
「ナナですけど……」
「ナナ……」
副団長さんは俺をじーっと見ていた。はて?何だろう。
俺は足に鎖を付けられた。何も悪い事をしていないのに、奴隷……犯罪者扱いなのか?
「お前、馬鹿か?」
「ひいっ!違います……」
おっかなびっくりちょっとだけ逆らってみる。俺を見張っているのはロベル副団長で、俺が作業部屋に死体を運び入れるのを見た人だ。あと俺のお店に押し入って来たのもこの人達。
「良いか?お前がこのおかしな作業部屋に入る。そうしたら誰もお前を引き出せなくなる」
「あ!そっか」
コンコン、と俺が出した作業部屋の扉を叩く。ロベル副団長は何か見えない壁のようなものに阻まれ、その先へは入ることは出来ない。
「その点、鎖が付いていれば引っ張ればいいだろう?」
「あ、そっか!」
なるほど。
「って事は、店にあんたらが入ってきた時に知らんぷりして作業部屋に籠ってれば良かったのかーー!俺、馬鹿か?!」
「だから、お前は馬鹿だと言っている」
「うえー……なんてこった」
自分の頭の悪さにショックを受けた。まあここにいると大量の死体が手に入るから良いと言えば良い。しかも
「ったく!敵兵は邪魔だよなぁ!」
「全くだぜ」
「あの……そのままその部屋に投げ入れて貰えますか……」
もう直接投げ入れて貰っている。あとたまに生きている奴がいて跳ね返されたりしていたから騎士団の騎士達も驚いていた。
「本当にいっぱいあるなぁ」
どれだけスキルが取れるのか、売れるのかと俺が死体の山をみてニヤニヤしていると、またロベル副団長が不機嫌になっている。この人頭良さそうな人で怒るととても怖いんだ。いや、騎士は皆怖いけど。
「な、なんですか……」
「お前、臭うな?一体いつから風呂に入ってないんだ?!」
「……さあ?」
地獄に風呂なんてある訳ないのに……服だって血の汚れが目立たないから黒ばっかり着ている。風呂……うーん、あの町に落とされてから入ってないかな?あ、土砂降りの日に遠出しちゃってずぶぬれで帰って来たことがあったぞ、うん。あれ以降は~……?
「我慢ならん!洗ってやるっ!」
「ぎゃーーー!嫌ですーー!」
どうせ解体する時に汚れるんだから、洗っても意味がないと俺は思うんだ。
「うるさい、お前は水が嫌いなネコか!」
「ウギャアアア!」
とても残念なことに俺の足には鎖がついていて、引っ張られると体力と筋力で騎士には勝てなかった……!
「ぎゃー!」
「黙れっ!」
水場で水をかけられて、冷たくてすぐ逃げ出そうとしたらロベル副団長に捕まって更に鎖まで近くに繋がれて移動できなくなってしまった。
「臭いと汚れが取れるまで徹底的に洗ってやる!もう我慢ならん!」
「ひ、ひいいいい!」
この世界じゃ贅沢品の中に入る石鹸を握り締めて副団長が怒っている。この人結構きれい好きなんだろうか……ならゴミ捨て場の地獄から拾い物なんてしてこないで欲しい!ゴミ捨て場にはゴミしか落ちてないんだから。剣をデッキブラシのようなものに持ち替えて、仁王立ちしている……ヒイイ!そんなのでこすられたら痛いに違いない!
「うっ……水が茶色い!泡が立たない!」
「すいませんすいません。自分でできますからあ……」
「嘘をつくな!絶対適当に済ますだろう!」
「うう~~……」
酷い事にこの人は本当にきれい好きみたいで、耳のへこんでいる所や、足の指の間まで洗われた……。意外と丁寧で痛く無かった……や、優しい……。
「爪も長い!切ってやる!その後そのもじゃもじゃ頭の毛づくろいだ!」
「お、俺!猫じゃねえですー!」
「飼い猫以下だ!馬鹿ものめ!」
「ひいいいいい!」
あの地獄に投げ捨てられてから初めてちゃんと体を洗った。何年も積もった垢が流されて久しぶりに伸ばしっぱなしのぼさぼさの髪も切られた。
「櫛の歯がが折れる!酷い場所は切る!」
「もう好きにしてくださいぃ~~~」
「……お前……金髪だったんだな……」
「そうでしたっけ……?」
「目の色も……名前、なんだっけ?」
「ナナですけど……」
「ナナ……」
副団長さんは俺をじーっと見ていた。はて?何だろう。
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