36 / 61
36 僕は死にかけで天使に出会った
しおりを挟む
キシャルティオ王子。だいぶ昔に捨てた名前だ。
「キース、逃げて。貴方だけでも。今がチャンスよ、こんな鳥籠から逃げ出す機会はもうない。貴方は貴方の好きに生きるのよ」
「母さん!」
「行って!それが貴方の母さんの願い」
焼け落ちる城、その火の手は閉じ込められひっそり生きる事を余儀なくされた僕達の小さな家にも襲いかかってきた。
母上。いや、母さん。城の下働きだった母さんが王様の気まぐれで召し抱えられ、僕と言う子供を産んでしまった。
僕が女の子だったら、問題は少なかったし、正妃様が男子を産めば問題もなかった。何と正妃様の子供は全て女子、男子は側妃様が産んだ俺より5つ下の子供が一人のみ。あと全て女子だった。
女子には王位継承権がない。
僕達親子は監視下に置かれた。雨霰のような虐め。僕は王子になんかなりたくなかった。王位継承権も要らないと言ったのに、僕達は自由にはなれなかった。
そして王城は燃え、僕は一人で逃げ出した。
母さんが色々教えてくれたし、父親なんて一欠片も思った事がない王様が気まぐれで寄越した金目のものは全て持たせてくれたので、なんとか食いつないできた。
それでも街から街へと転々と逃げ回った。何処にいても追われている気がして休まる事が無かった。
とうとう運悪く、移動中の馬車が魔物に襲われた。
「うわああーー!」
皆、散り散りに逃げ、僕も死を覚悟した。魔物に噛まれた傷は深くて、血がいっぱい流れている。あまり良い人生じゃなかった、目を閉じようとしたら
「おい、お前。死ぬのか?」
天使が目の前にガラ悪く座り込んでいた。背中から羽はないけど、目の色は金色と紫と言う色違いに、水色の長髪が綺麗だった。
一目惚れって本当にあるんだ、と思った。死ぬ前にこんな綺麗な人?を好きになれて良かった、僕の人生は捨てたもんじゃ無かったなぁと神に感謝したけど、天使はその整った唇からとんでもない提案をしてきた。
「なあ、お前。もう死ぬんだろ?なら、お前の残りの命、俺にくれや」
僕の命が欲しい?この天使が?良いよ、僕はもう何も未練もないし、人体実験でもなんでも。
天使は無造作にポーションを僕にぶっかける。あっという間に傷が塞がってしまった!これなに?!噂の冒険者とかが持ってるエクストラポーションとかそういうの??なんかめちゃくちゃ高くて平民なら一年遊んで暮らせるとか言うやつ??
「立てんだろ?行くぞ」
ここで死ぬ予定だった僕はノロノロだけど、自分の足で立ち上がる事が出来た。そのまま翼のない天使について行くと、物すごくぐちゃぐちゃの酷い隠れ家に案内された。天使はお片づけは苦手のようだ。
そして
「わりぃんだけど、俺とヤってくんねぇ?」
って服を脱ぎ始めたもんだから、僕はほっぺをつねった。けれど、その人はごちゃごちゃで汚いベッドに素っ裸で転がって
「あー男の体だからなー。どうしたら良いんだ?なんかジェル?あ!尻ん中洗わねえとやばい奴?!なんかその辺の補正かかってねぇかなー。いやでも、確かにケツから出るもん出るしなー」
ちょっとトイレ行ってくるわ、とか言っていなくなった。僕が逆のほっぺをつねりあげていると戻って来て
「もし、腫れたら薬やるから、ちょっとまず呪いの変質が可能か試したいんだ。挿れてくれ」
と、こっちにテロテロ光ったお尻の孔を向けられた時、僕の中で色んな物が弾け飛んだね。そりゃ盛大に。僕って結構ケダモノだったんだよ、知らなかった。
「あっ!馬鹿!やっ!初めてなんだから!痛い!痛い!!」
「あっ!あっ!す、すご、凄い!凄いです!ああ!!凄いいいーー!」
「やめろ!馬鹿っ!痛い!変質のっ!あっ!やっ!やん、やっ!あっーーー!」
僕の初めてはファイさんでファイさんの初めては僕だったけど、
「てめ!この、阿呆!!」
無茶苦茶に突っ込んで中に出し、嫌がって捻る体を押さえつけてやりまくった。もう出るのものが無くなってぐったり気絶をして……目が覚めたら、思いっきり殴られた。
「痛いぃーー!天使が殴ったぁ!」
「天使じゃねーし!俺の名前はファイだ!」
「僕はキースです、ファイさん」
僕達の出会いは僕にとっては最高だった。
「キース、逃げて。貴方だけでも。今がチャンスよ、こんな鳥籠から逃げ出す機会はもうない。貴方は貴方の好きに生きるのよ」
「母さん!」
「行って!それが貴方の母さんの願い」
焼け落ちる城、その火の手は閉じ込められひっそり生きる事を余儀なくされた僕達の小さな家にも襲いかかってきた。
母上。いや、母さん。城の下働きだった母さんが王様の気まぐれで召し抱えられ、僕と言う子供を産んでしまった。
僕が女の子だったら、問題は少なかったし、正妃様が男子を産めば問題もなかった。何と正妃様の子供は全て女子、男子は側妃様が産んだ俺より5つ下の子供が一人のみ。あと全て女子だった。
女子には王位継承権がない。
僕達親子は監視下に置かれた。雨霰のような虐め。僕は王子になんかなりたくなかった。王位継承権も要らないと言ったのに、僕達は自由にはなれなかった。
そして王城は燃え、僕は一人で逃げ出した。
母さんが色々教えてくれたし、父親なんて一欠片も思った事がない王様が気まぐれで寄越した金目のものは全て持たせてくれたので、なんとか食いつないできた。
それでも街から街へと転々と逃げ回った。何処にいても追われている気がして休まる事が無かった。
とうとう運悪く、移動中の馬車が魔物に襲われた。
「うわああーー!」
皆、散り散りに逃げ、僕も死を覚悟した。魔物に噛まれた傷は深くて、血がいっぱい流れている。あまり良い人生じゃなかった、目を閉じようとしたら
「おい、お前。死ぬのか?」
天使が目の前にガラ悪く座り込んでいた。背中から羽はないけど、目の色は金色と紫と言う色違いに、水色の長髪が綺麗だった。
一目惚れって本当にあるんだ、と思った。死ぬ前にこんな綺麗な人?を好きになれて良かった、僕の人生は捨てたもんじゃ無かったなぁと神に感謝したけど、天使はその整った唇からとんでもない提案をしてきた。
「なあ、お前。もう死ぬんだろ?なら、お前の残りの命、俺にくれや」
僕の命が欲しい?この天使が?良いよ、僕はもう何も未練もないし、人体実験でもなんでも。
天使は無造作にポーションを僕にぶっかける。あっという間に傷が塞がってしまった!これなに?!噂の冒険者とかが持ってるエクストラポーションとかそういうの??なんかめちゃくちゃ高くて平民なら一年遊んで暮らせるとか言うやつ??
「立てんだろ?行くぞ」
ここで死ぬ予定だった僕はノロノロだけど、自分の足で立ち上がる事が出来た。そのまま翼のない天使について行くと、物すごくぐちゃぐちゃの酷い隠れ家に案内された。天使はお片づけは苦手のようだ。
そして
「わりぃんだけど、俺とヤってくんねぇ?」
って服を脱ぎ始めたもんだから、僕はほっぺをつねった。けれど、その人はごちゃごちゃで汚いベッドに素っ裸で転がって
「あー男の体だからなー。どうしたら良いんだ?なんかジェル?あ!尻ん中洗わねえとやばい奴?!なんかその辺の補正かかってねぇかなー。いやでも、確かにケツから出るもん出るしなー」
ちょっとトイレ行ってくるわ、とか言っていなくなった。僕が逆のほっぺをつねりあげていると戻って来て
「もし、腫れたら薬やるから、ちょっとまず呪いの変質が可能か試したいんだ。挿れてくれ」
と、こっちにテロテロ光ったお尻の孔を向けられた時、僕の中で色んな物が弾け飛んだね。そりゃ盛大に。僕って結構ケダモノだったんだよ、知らなかった。
「あっ!馬鹿!やっ!初めてなんだから!痛い!痛い!!」
「あっ!あっ!す、すご、凄い!凄いです!ああ!!凄いいいーー!」
「やめろ!馬鹿っ!痛い!変質のっ!あっ!やっ!やん、やっ!あっーーー!」
僕の初めてはファイさんでファイさんの初めては僕だったけど、
「てめ!この、阿呆!!」
無茶苦茶に突っ込んで中に出し、嫌がって捻る体を押さえつけてやりまくった。もう出るのものが無くなってぐったり気絶をして……目が覚めたら、思いっきり殴られた。
「痛いぃーー!天使が殴ったぁ!」
「天使じゃねーし!俺の名前はファイだ!」
「僕はキースです、ファイさん」
僕達の出会いは僕にとっては最高だった。
0
お気に入りに追加
351
あなたにおすすめの小説
【BL】【完結】神様が人生をやり直しさせてくれるというので妹を庇って火傷を負ったら、やり直し前は存在しなかったヤンデレな弟に幽閉された
まほりろ
BL
八歳のとき三つ下の妹が俺を庇って熱湯をかぶり全身に火傷を負った。その日から妹は包帯をぐるぐるに巻かれ車椅子生活、継母は俺を虐待、父は継母に暴力をふるい外に愛人を作り家に寄り付かなくなった。
神様が人生をやり直しさせてくれるというので過去に戻ったら、妹が俺を庇って火傷をする寸前で……やり直すってよりによってここから?!
やり直し前はいなかったヤンデレな弟に溺愛され、幽閉されるお話です。
無理やりな描写があります。弟×兄の近親相姦です。美少年×美青年。
全七話、最終話まで予約投稿済みです。バッドエンド(メリバ?)です、ご注意ください。
ムーンライトノベルズとpixivにも投稿しております。
「Copyright(C)2020-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
悪役令息は楽したい!
匠野ワカ
BL
社畜かつ童貞のまま亡くなった健介は、お貴族様の赤ちゃんとして生まれ変わった。
不労所得で働かず暮らせるかもと喜んだのもつかの間。どうやら悪役令息エリオットに転生してしまったらしい。
このままじゃ、騎士である兄によって処刑されちゃう!? だってこの話、死ぬ前に読んだ記憶があるんだよぉ!
楽して長生きしたいと処刑回避のために可愛い弟を演じまくっていたら、なにやら兄の様子がおかしくなってしまい……?(ガチムチ騎士の兄が受けです)
「悪役令息アンソロジー」に寄稿していた短編です。甘々ハッピーエンド!!
全7話完結の短編です。完結まで予約投稿済み。
出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま
【R18/短編】2度目の人生はニートになった悪役だけど、賢王に全力で養われてる
ナイトウ
BL
有能わんこ系王様攻め、死に戻り私様ツンデレ悪役従兄弟受け
乳首責め、前立腺責め、結腸責め、好きって絶対言わせるマン
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
【R18】奴隷に堕ちた騎士
蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。
※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。
誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。
※無事に完結しました!
騎士団長である侯爵令息は年下の公爵令息に辺境の地で溺愛される
Matcha45
BL
第5王子の求婚を断ってしまった私は、密命という名の左遷で辺境の地へと飛ばされてしまう。部下のユリウスだけが、私についてきてくれるが、一緒にいるうちに何だか甘い雰囲気になって来て?!
※にはR-18の内容が含まれています。
※この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる