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番外編
1 利口者には花束を(セイリオス&クロード
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その男は男性なのに、一番最初から花の名前がつけられていた。
白百合、氷で出来た百合、と。
人の噂に疎いクロードでもその目立つ容姿と名前を知っている。それ程今年の一年生の中で、セイリオス・リンツは目立つ生徒だった。
セイリオスが現れるまで、リンツ家は目立った人物を排出する家ではなかったが、兎角セイリオスの優秀さは群を抜いていて、いずれは王の側近……いや、宰相を賜るだろうと言われていた。
「住む世界が違う」
と、交流を持とうと思わなかったが、それはセイリオスも同じでクロードもとても目立つ存在だった。
クロード・ラグデール。負け知らずの黒い狼犬。学生時代から騎士団入りが確定しているほどの使い手であり、しっかりした体躯は大きくも俊敏でとにかく強い。
そして、二人とも人目を引く美しい顔立ちをしているーーー。
目立つ存在故に孤独に陥り易い。互いが互いを認識し、同じような悩みを持つ事を知れば仲良くなるのはすぐだった。
「クロード!」
「セリー」
「その呼び方は止めろと言っている。女性のようだから」
「すまない、私の弟がセイルと言う物でな」
区別したいと眉毛をへにょりと下げるクロードをため息混じりに許す。
「もし誰かがそう呼んだら一緒に否定してくれよ?」
「分かった」
「じゃあ私も違う名前で呼ぼうかな?そうだなぁ、クロードだから……ケリー?」
「女性名だな?意趣返しか」
そうして二人で笑い合う。
「ほう!クロードのくせに難しい言葉を知っている!」
「最近誰かの影響のせいで図書館は昼寝以外に使える事を知ったんだよ」
「良い事だ」
そうやって特別な相性で呼び合う二人が「出来ている」と噂され、更に周りから気を使われて二人っきりにされている事は気が付かなかった。
付き合うなんてつもりは全く無かった、とても馬の合う良い友だと思っていた。
ただ、学園の野外実習で運動神経が死滅しているセイリオスが迷子の上に怪我をして更に悪天候も相まう事件が起こる。
1番に捜索に手をあげ、崖下に蹲るセイリオスを見つけたクロードだったが、落ちた崖は怪我をした足では登れず、悪天候から他の生徒を安全に逃す為に2人で山小屋に避難する事件が起こった。
「……」
「……」
二日後にやっと天候が回復し、救助がやって来た時に、二人の間にとても微妙な空気が流れていたので大半の人間は何も言わなかったけれど気がついた。
あ、くっ付いたな、と。
まあ雨で濡れた衣服を脱いで狭い山小屋の中で乾かした。その間に暖を取るのにくっ付いているだろうし、学生と言う血気盛んで多感な時期で……不安な一夜と言うのは心情的にも互いに頼り合う……色々な事が重なって、二人がより親密になってしまった、そう言う事なのだ。
「セイ……セリー……私は……」
「ケリー……お前も私も王宮勤めが決まった。今までのように毎日顔を合わせる事もないかもしれないが、同じ建物の中で働けるなんて、嬉しい事だよ」
やはり学園の記念卒業旅行と言うものはセイリオスとクロードは二人で行ったし、風光明媚と言う宿に泊まったのに、外に出かけず室内で過ごしていたと言う。
「……こうして触れ合う事も、もうない」
「互いに家の名前を背負う身。女性を娶り、跡継ぎの子をもうけなければいけない……」
「分かっている、これで最後。気楽な学生はこれで最後だ」
二人とも名家の出であり、将来を期待される身。これが最後とお利口に線を引き、これが最後の思い出と二人の特別な関係に終止符を打ったのだ。
白百合、氷で出来た百合、と。
人の噂に疎いクロードでもその目立つ容姿と名前を知っている。それ程今年の一年生の中で、セイリオス・リンツは目立つ生徒だった。
セイリオスが現れるまで、リンツ家は目立った人物を排出する家ではなかったが、兎角セイリオスの優秀さは群を抜いていて、いずれは王の側近……いや、宰相を賜るだろうと言われていた。
「住む世界が違う」
と、交流を持とうと思わなかったが、それはセイリオスも同じでクロードもとても目立つ存在だった。
クロード・ラグデール。負け知らずの黒い狼犬。学生時代から騎士団入りが確定しているほどの使い手であり、しっかりした体躯は大きくも俊敏でとにかく強い。
そして、二人とも人目を引く美しい顔立ちをしているーーー。
目立つ存在故に孤独に陥り易い。互いが互いを認識し、同じような悩みを持つ事を知れば仲良くなるのはすぐだった。
「クロード!」
「セリー」
「その呼び方は止めろと言っている。女性のようだから」
「すまない、私の弟がセイルと言う物でな」
区別したいと眉毛をへにょりと下げるクロードをため息混じりに許す。
「もし誰かがそう呼んだら一緒に否定してくれよ?」
「分かった」
「じゃあ私も違う名前で呼ぼうかな?そうだなぁ、クロードだから……ケリー?」
「女性名だな?意趣返しか」
そうして二人で笑い合う。
「ほう!クロードのくせに難しい言葉を知っている!」
「最近誰かの影響のせいで図書館は昼寝以外に使える事を知ったんだよ」
「良い事だ」
そうやって特別な相性で呼び合う二人が「出来ている」と噂され、更に周りから気を使われて二人っきりにされている事は気が付かなかった。
付き合うなんてつもりは全く無かった、とても馬の合う良い友だと思っていた。
ただ、学園の野外実習で運動神経が死滅しているセイリオスが迷子の上に怪我をして更に悪天候も相まう事件が起こる。
1番に捜索に手をあげ、崖下に蹲るセイリオスを見つけたクロードだったが、落ちた崖は怪我をした足では登れず、悪天候から他の生徒を安全に逃す為に2人で山小屋に避難する事件が起こった。
「……」
「……」
二日後にやっと天候が回復し、救助がやって来た時に、二人の間にとても微妙な空気が流れていたので大半の人間は何も言わなかったけれど気がついた。
あ、くっ付いたな、と。
まあ雨で濡れた衣服を脱いで狭い山小屋の中で乾かした。その間に暖を取るのにくっ付いているだろうし、学生と言う血気盛んで多感な時期で……不安な一夜と言うのは心情的にも互いに頼り合う……色々な事が重なって、二人がより親密になってしまった、そう言う事なのだ。
「セイ……セリー……私は……」
「ケリー……お前も私も王宮勤めが決まった。今までのように毎日顔を合わせる事もないかもしれないが、同じ建物の中で働けるなんて、嬉しい事だよ」
やはり学園の記念卒業旅行と言うものはセイリオスとクロードは二人で行ったし、風光明媚と言う宿に泊まったのに、外に出かけず室内で過ごしていたと言う。
「……こうして触れ合う事も、もうない」
「互いに家の名前を背負う身。女性を娶り、跡継ぎの子をもうけなければいけない……」
「分かっている、これで最後。気楽な学生はこれで最後だ」
二人とも名家の出であり、将来を期待される身。これが最後とお利口に線を引き、これが最後の思い出と二人の特別な関係に終止符を打ったのだ。
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