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108 あの領の名前
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小さな混乱は始終起こっているけれど、すぐに対処できる範囲内に収まってくると、俺はやっぱり思い出すんだ。
「スローライフぅ」
「久しぶりに聞いたな。その言葉」
「へへ」
俺は多分真面目に働いた。社畜って感じの働き方じゃない、きちんとホワイトな働き方。
休みも休暇も、昇給もきちんとある良い働き方をしたと思う。
皇帝のラムだって休みを取れるように人材を育成したから、近くに旅行とかも行った。
まあ皇帝の移動だからお付きの人がいっぱいでちょっと大変だったけど。俺とラムの旅行は恒例行事になって毎年予定が組まれる。遊びじゃなくて仕事になってしまったが、まだ現役のリゼロ達をまいてふらふら歩き回ったりもしてる。
「いやぁ、神様にお願いなんてしなくても自力ですりゃ良いじゃんって気がついたんだよー」
若いうちにいっぱい稼いでセミリタイア、スローライフ。普通だろ?だからいっぱい働いた。お陰で帝国は平和である。俺偉い!
「そうだな。アイリス領の書架は図書館並だと皆言っている」
「どんだけ持ち込んだんだよー」
ラムはアイリス領の屋敷に気になる本を溜め込んでいる。スローライフで雨の日は本を読むんだって言ったらアホみたいに溜め始めた。全部読むのに何年かかるんだ?
慣れたラムの執務室で慣れた書類整理をしている。最近はこの書式も馴染んできて皆分かりやすい書類を上げてくるから効率が良い。
因みにアイリス領とは元レジム領で、俺預かりになってからあの執事のニコラスおじさんに丸投げしていた。
「特に問題なく」
何せ元々ニコラスさんが管理していた場所だ。聞けば元レジム公爵は机で踏ん反り返っていただけで経営は全部このニコラスさんがやってたらしい。成程納得だった。
「たまに思いついたように余計な案件をお持ち込みになる方でした」
「余計ね……」
「ええ。隠し鉱山を作ろうとか、余計な事を……」
「ははは……」
使用人や街の人達にも顔はきくし、元レジム領の正常化は簡単だった。限界まで削られていた使用人達の給料を戻したら、皆やる気を出してくれたし、当然犯罪も減った。
たまに視察に行くとなーんか領があやめの花だらけになっていて、いつの間にかアイリス領って呼ばれてた。
「どしたの、これ?」
開花時期になるとそりゃあ見事に咲くもんで観光客が増えてる。
「私がお屋敷に植えておりましたら、皆が真似をしたい、分けてほしいしときまして」
「ふぅん……?」
「皆、ディエス様に感謝しておるのですよ。生活は格段に豊かになりましたから」
「近くて便利だったからなんだけどなぁ」
何せ元レジム領は王都のすぐそばだから、王都に作り辛い工場とかを計画的に建てたから仕事が増えた。
後は……。
「カジノだよねぇ」
「莫大な売り上げが入っておりますね」
でっかいカジノを建てたんだ、セイリオスが。やるなら派手にしましょうって。おかげで帝国民だけでなく近隣国の金持ちまで遊びに来る始末。
そんでぼろぼろお金を落として行くんで、カジノは儲かってる……て言うか儲かる仕組みで経営している。
ほんと気持ち悪い売り上げが毎月報告されてて、逆に怖い。
「他国から搾り上げらるるとは……最高ですね」
セイリオスがとても楽しそうに売上表をみているから、なんかやらかしたんだろうな。
「VIP待遇制度って、本当にいい制度ですね」
そういえばそんな事を教えた気がする。
「人はね、特別扱いをされたがるんだって」
他国VIPからむしり取っているみたいだ。ま、まあ他国ならいいかな。どんどんむしり取ってくれたまえ。
「スローライフぅ」
「久しぶりに聞いたな。その言葉」
「へへ」
俺は多分真面目に働いた。社畜って感じの働き方じゃない、きちんとホワイトな働き方。
休みも休暇も、昇給もきちんとある良い働き方をしたと思う。
皇帝のラムだって休みを取れるように人材を育成したから、近くに旅行とかも行った。
まあ皇帝の移動だからお付きの人がいっぱいでちょっと大変だったけど。俺とラムの旅行は恒例行事になって毎年予定が組まれる。遊びじゃなくて仕事になってしまったが、まだ現役のリゼロ達をまいてふらふら歩き回ったりもしてる。
「いやぁ、神様にお願いなんてしなくても自力ですりゃ良いじゃんって気がついたんだよー」
若いうちにいっぱい稼いでセミリタイア、スローライフ。普通だろ?だからいっぱい働いた。お陰で帝国は平和である。俺偉い!
「そうだな。アイリス領の書架は図書館並だと皆言っている」
「どんだけ持ち込んだんだよー」
ラムはアイリス領の屋敷に気になる本を溜め込んでいる。スローライフで雨の日は本を読むんだって言ったらアホみたいに溜め始めた。全部読むのに何年かかるんだ?
慣れたラムの執務室で慣れた書類整理をしている。最近はこの書式も馴染んできて皆分かりやすい書類を上げてくるから効率が良い。
因みにアイリス領とは元レジム領で、俺預かりになってからあの執事のニコラスおじさんに丸投げしていた。
「特に問題なく」
何せ元々ニコラスさんが管理していた場所だ。聞けば元レジム公爵は机で踏ん反り返っていただけで経営は全部このニコラスさんがやってたらしい。成程納得だった。
「たまに思いついたように余計な案件をお持ち込みになる方でした」
「余計ね……」
「ええ。隠し鉱山を作ろうとか、余計な事を……」
「ははは……」
使用人や街の人達にも顔はきくし、元レジム領の正常化は簡単だった。限界まで削られていた使用人達の給料を戻したら、皆やる気を出してくれたし、当然犯罪も減った。
たまに視察に行くとなーんか領があやめの花だらけになっていて、いつの間にかアイリス領って呼ばれてた。
「どしたの、これ?」
開花時期になるとそりゃあ見事に咲くもんで観光客が増えてる。
「私がお屋敷に植えておりましたら、皆が真似をしたい、分けてほしいしときまして」
「ふぅん……?」
「皆、ディエス様に感謝しておるのですよ。生活は格段に豊かになりましたから」
「近くて便利だったからなんだけどなぁ」
何せ元レジム領は王都のすぐそばだから、王都に作り辛い工場とかを計画的に建てたから仕事が増えた。
後は……。
「カジノだよねぇ」
「莫大な売り上げが入っておりますね」
でっかいカジノを建てたんだ、セイリオスが。やるなら派手にしましょうって。おかげで帝国民だけでなく近隣国の金持ちまで遊びに来る始末。
そんでぼろぼろお金を落として行くんで、カジノは儲かってる……て言うか儲かる仕組みで経営している。
ほんと気持ち悪い売り上げが毎月報告されてて、逆に怖い。
「他国から搾り上げらるるとは……最高ですね」
セイリオスがとても楽しそうに売上表をみているから、なんかやらかしたんだろうな。
「VIP待遇制度って、本当にいい制度ですね」
そういえばそんな事を教えた気がする。
「人はね、特別扱いをされたがるんだって」
他国VIPからむしり取っているみたいだ。ま、まあ他国ならいいかな。どんどんむしり取ってくれたまえ。
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